神様project【七曜の女神と幾億の旅跡】

青衣

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第3章【火曜の火山《燎煉》】

跳んで飛んで翔んで、とんでもないどんでん返し

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 私は風圧を切り裂きながら都市の上、森の上……そして湖の上を全力で駆け抜けている、どう? カッコいいだろう?
 七曜神は実は空を翔ぶ能力が備わっており飛翔することが可能なのだが、私達にはあいにく健脚な脚と言うものがあるためによっぽどの事がないと走ったりする方が気が楽なんだ。
 あっ、いや……こっちの方が断然早いんだけど全力疾走みたいに疲れるからただ翔ぶ事自体が便利って訳じゃない。
 何事にもメリットとデメリットがあるって訳さ。

 そして翔ぶ事だいたい20分くらいかな、硫黄が香る火山地帯が見えてきた辺りからようやく着いたってホッと安堵してきた。
 真下に広がる眼下の世界は夜朧と同じく風化して枯れ果てたような灼熱の世界。
 こんな草木も生えてない過酷な環境になろうとも人はそれに適応しくれしていけることに力強さを考えさせてくれると言っても過言じゃないし、過酷とわかっていながらも智美はここに街を作ろうと決意してはそして住人もそれに付いていく。

 あんな暴力好きの性格が剥離した私といえども根っからの悪人なら人は寄り添わないだろう?
 彼女についていきたいと願うカリスマがあるあたり誰よりも神様って雰囲気出してると思わない?

 さて、話しは少し鳥居の話しに戻そうか。
 ぶっちゃけた話し燎煉にも神社と同じタイプの鳥居が存在すると言うのは初めて言わせて貰うがまぁ聞いて欲しい。
 厳密には燎煉に限った訳じゃなく、七刻のすべての地区に存在して結愛がすぐにワープできるように設置したものなんだけど、面白いことに入り口……いや、出口なのかは知らないが全て神社の方角を向いているらしい。
 だからなんだという訳じゃないけどね。

 そして燎煉にある鳥居は神社のよりさらに紅く、夜朧にはなぜか集落の付近ではなく少し離れた松の林の中にポツンと紺色の鳥居が寂しく構えており、あげくのはてに奇抜な色なら陽光……浜辺と丘陵地に黄色い鳥居が設置されている。
 実はその色は土地独特を表すカラーリングでね、民の髪の毛の色と同じになってるから今度よく見てみたらどう?

 さてさてそんな駄弁を語ってるうちにまもなく鳥居の上空……にさしあたる。
 豆粒みたいに見える結愛達も私の事を見つけたのか手を降ってくれた。

「あーっ、全く遅いわよっ!!」

 誰のせいだと思ってるんだ?
 勝手にワープゲートを閉じておいてよく言うよ。

「まあまあ、落ち着いてくださいよ……。」

 仲を割って仲裁してくれた瑞穂が言うなら仕方がない、私だって大人げない姿は他人にあまり見せたくもない。
 でも結愛と1対1なら話は別、放送禁止用語並べてもまだ足りないくらいのいい争いが発展されるぞ?
 別に自分同士なんだからイメージダウンのしようすら無いのだからな。

「朝からうるさいわよ? 何してるのかしら?」

 その直後だった、嫌な感覚が脳裏に直接よぎり、聞き覚えのある艶やかな声が後ろから頭をむんずって鷲掴みにされてしまう。
 振り向いたらたぶん頭がザクロのようになって……というか固定されてる以上振り向くもなにも無いんだけど、ってぇ……あいだだだだぁっ!?

 万力にかけられたかのように徐々にメキメキと握る力がどんどん強くなってるのは気のせいじゃないよね?
 私の頭だけどうしてこんな目に遭わなきゃいけないのだ、理不尽極まっちゃって嫌になっちゃうが謝罪しておかないともう頭が限界。
 脳ミソぶちまけて瑞穂のトラウマに刻むのは良くないしね。

「騒いですみませんでし……ひぃいいっ。」

「わかればよろしいのよ。」

「ねーねー、まだー? ここじゃアレだから速く行きましょ?」

 ようやく智美から解放され、スッと軽くなったのは手放された頭と解放された安堵の気持ちの心の2つだろう。
 何はともあれ彼女に関わるとガチで命が何個あっても足りないが、死神がこんなのに怯えて頭ペコペコのヒィヒィってのも噴飯ものだと思われたってこれだけはどうにも仕方のない事実なのだ。

 世の中にはね、冗談の通じない核爆弾よりも恐ろしいものをお腹に抱えて生きている人だって居るんだろうからさぁ……これ、教訓ね?
 いわゆる【君子危うき近寄らず】だ、私との約束だぞ?

「冥綾さん、丸聞こえですよ……。」

「別に構わないわ。 何たって私同士なんだから隠す必要ないし。」

 智美はいつものことよって苦笑いしながら3人を発電所までご案内される。















 硫黄が館内に充満し慣れない香りに顔を歪ませる瑞穂のためにジョークでガスマスクを渡したら案外あっさりと装着してくれたことに驚く智美と、苦笑いする私。
 何のためらいもなく歩いてるのだからすれ違う従業員に2度見よろしく3度見だってされる始末。

 隣でコホーコホーって闇に落ちたような呼吸音と廊下に響き渡る智美のハイヒールの軽やかな音、なぜか知らないが先頭を仕切っている結愛の可愛らしい足音が1歩先へと誘う。
 ちなみに私は低出力で浮遊しゲンナリした表情でこの開拓で何回コンテニューするのか頭で計算しながら皆について行く。



 ……今回私の扱いがひどくないか?



 なんなのこれ、3人そろって私を辱しめようと企むグルなの?
 止めてくれ、私に新たな感情を芽生えさせないでくれ……頼むから。
 そんな趣味はあいにくございませんって全否定してあげるからさ。

 あぁ智美よ、私は独り言を喋っている訳じゃないから不審者を見るような目で見つめないでくれない?
 こればかりはどうにも慣れそうにないなぁ。
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