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第3章【火曜の火山《燎煉》】
労働からの解放
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畳の香りが心地よく、ついつい初めて上がらせて貰った夜朧城もとい聖奈のご自宅で我が家顔で堂々と私はゴローンと寝そべっては、はしたないとわかっていてもここ数日鞭打ってきた身体が心地良良さを求めて腕や足をピーンと無意識に伸ばしてしまう。
私の他にも客人は居るのだがこんな大きなお城なのだ、結愛は探検と称して朝から見て回ってるが迷子になりかけるほど広く、玄弥にいたってはその広さが仇となりトイレを見つけるのに苦労してお腹をゴロゴロと壊していたのか人生終わってたような顔をしながら走り回っていたよ。
っと、ゴロゴロが多いのは語呂合せでもなんでもなくそもそも現に夜朧一帯はここしばらくは雷雨が多発してる。
常にピカピカ光っては大きな音を立ててどこかに落ちてるような空をつんざく音が鳴り響くが、夜朧ではほぼ年がら年中天候が雷だから仕方ないさ。
「ついに燎煉も終わったんですね、お疲れ様でした。」
聖奈が労いの言葉をかけてくれる。
そして言葉に添えるかのようにニコッと頬笑むその笑顔と来たらどうだ? この破壊力はまさに雷神と言わんばかりの超火力、いや雷は使えるけど聖奈は厳密には月曜神だけど……と、とにかく間違いなく自分が男なら惚れて告白するレベル。
あとメチャクチャ可愛いし健気だし……うむむ、玄弥はシアワセモノだぞ?
「あ、あぁ……ありがとう。」
その【お疲れ様】に込められた言葉の重さは心の底からの本心そのもの、敬意そのものと言っても過言じゃない。
元の性格もそうだけど仁義に熱く、夜朧に立派な城下町を与えた私達にお礼として尽くそうとしてくれるのだろうが、たぶんこの恩返しは永遠に終わることはないんだろうね。
けどなんだ? たかが言葉の1つ投げられただけなのに……開いた口が塞がらないとはこう言うことなのか?
仕事で誉められると言うことがない私の心がじんわりと暖かくて、嬉しかった。
「今日は少し肌寒いので湯豆腐を夕飯にお作りしますね? あっ、そうです!! お湯が沸いたのでお風呂でもどうですか?」
そう言えば日中はずっとパソコンの仕事に打ち込みすぎて汗にも耐えていたからお風呂はとても嬉しいもの。
入りたくてウズウズしてても言おうに言えず、喋ったなら厚かましいと思われるのが嫌だったけど額に伝う汗を見て察してくれたのか、良かったよ。
聖奈にとっては肌寒いといえども燎煉で鍛え抜かれた身体の代謝は半端なく、ちょっとしたことで火照っては汗だくになるからなぁ。
だからお言葉に甘えてお先にと聖奈に手を振る。
もちろん振り返してくれるのは言うまでもないだろうが。
木製の立派なお風呂はとても最高で何より広い、独りで住むには勿体ないほどだからもう私は主の家から夜朧城にガチで移り住もうか迷うレベル。
もちろん主も大切なんだけど、私はずっと前に言ったよね?
……命よりも風呂が重いってねッ!!
もちろん自分だって異常なのはわかってる、七曜神達みんなお風呂が好きすぎるほどの潔癖症って訳じゃないけど頭の狂った連中だってことはさ。
見てみ、結愛なんて私より先に湯船に浸かったままだけどこの恍惚とした表情……蕩けそうなほど。
「あっ、冥綾も入りにきたんだ。 ここは良いよねっ。」
「わかるわかる。 もう戻れないかも~。」
タオルを頭に乗せて、20日ぶりの夜朧の湯を身体に染み込ませる。
地獄のような仕事をしてきたんだからご褒美としては最上級、しかも上がったら聖奈の晩御飯がもれなく付いてくるってどんな高級な旅館よりもすごいおもてなし。
考えただけでも早く上がって楽しみたいところなんだけど、聖奈とお風呂どっち取るかなんて考えてたらのぼせてきそうで怖い。
ならば今は心を無にして瞑想と行こうじゃないか。
私の他にも客人は居るのだがこんな大きなお城なのだ、結愛は探検と称して朝から見て回ってるが迷子になりかけるほど広く、玄弥にいたってはその広さが仇となりトイレを見つけるのに苦労してお腹をゴロゴロと壊していたのか人生終わってたような顔をしながら走り回っていたよ。
っと、ゴロゴロが多いのは語呂合せでもなんでもなくそもそも現に夜朧一帯はここしばらくは雷雨が多発してる。
常にピカピカ光っては大きな音を立ててどこかに落ちてるような空をつんざく音が鳴り響くが、夜朧ではほぼ年がら年中天候が雷だから仕方ないさ。
「ついに燎煉も終わったんですね、お疲れ様でした。」
聖奈が労いの言葉をかけてくれる。
そして言葉に添えるかのようにニコッと頬笑むその笑顔と来たらどうだ? この破壊力はまさに雷神と言わんばかりの超火力、いや雷は使えるけど聖奈は厳密には月曜神だけど……と、とにかく間違いなく自分が男なら惚れて告白するレベル。
あとメチャクチャ可愛いし健気だし……うむむ、玄弥はシアワセモノだぞ?
「あ、あぁ……ありがとう。」
その【お疲れ様】に込められた言葉の重さは心の底からの本心そのもの、敬意そのものと言っても過言じゃない。
元の性格もそうだけど仁義に熱く、夜朧に立派な城下町を与えた私達にお礼として尽くそうとしてくれるのだろうが、たぶんこの恩返しは永遠に終わることはないんだろうね。
けどなんだ? たかが言葉の1つ投げられただけなのに……開いた口が塞がらないとはこう言うことなのか?
仕事で誉められると言うことがない私の心がじんわりと暖かくて、嬉しかった。
「今日は少し肌寒いので湯豆腐を夕飯にお作りしますね? あっ、そうです!! お湯が沸いたのでお風呂でもどうですか?」
そう言えば日中はずっとパソコンの仕事に打ち込みすぎて汗にも耐えていたからお風呂はとても嬉しいもの。
入りたくてウズウズしてても言おうに言えず、喋ったなら厚かましいと思われるのが嫌だったけど額に伝う汗を見て察してくれたのか、良かったよ。
聖奈にとっては肌寒いといえども燎煉で鍛え抜かれた身体の代謝は半端なく、ちょっとしたことで火照っては汗だくになるからなぁ。
だからお言葉に甘えてお先にと聖奈に手を振る。
もちろん振り返してくれるのは言うまでもないだろうが。
木製の立派なお風呂はとても最高で何より広い、独りで住むには勿体ないほどだからもう私は主の家から夜朧城にガチで移り住もうか迷うレベル。
もちろん主も大切なんだけど、私はずっと前に言ったよね?
……命よりも風呂が重いってねッ!!
もちろん自分だって異常なのはわかってる、七曜神達みんなお風呂が好きすぎるほどの潔癖症って訳じゃないけど頭の狂った連中だってことはさ。
見てみ、結愛なんて私より先に湯船に浸かったままだけどこの恍惚とした表情……蕩けそうなほど。
「あっ、冥綾も入りにきたんだ。 ここは良いよねっ。」
「わかるわかる。 もう戻れないかも~。」
タオルを頭に乗せて、20日ぶりの夜朧の湯を身体に染み込ませる。
地獄のような仕事をしてきたんだからご褒美としては最上級、しかも上がったら聖奈の晩御飯がもれなく付いてくるってどんな高級な旅館よりもすごいおもてなし。
考えただけでも早く上がって楽しみたいところなんだけど、聖奈とお風呂どっち取るかなんて考えてたらのぼせてきそうで怖い。
ならば今は心を無にして瞑想と行こうじゃないか。
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