107 / 121
第4章【水曜の湖畔《時雨》】
認めと覚醒【アシダカ軍曹視点】
しおりを挟む
今はただ抑えきれない高揚感に身を任せて廊下を駆け抜けるのみ。
とは言えさすがに狭いのだから全力とは言えないし、せめて小走りって言ったところ。
1つ目の曲がり角を抜けようとした時……何かにぶつかったような抱き抱えられたような、いずれにせよ温かかなあの感覚が身に染みてくる。
何事かって思いながら見上げると智美が抱き締めてくれていたが、このとき軍曹は強い怒りを持っていたか?
否、昨日の自分なら怒りに狂っていたに違いないが今は違う……と言うよりも魔法が使えた嬉しさでそんなことも忘れ、たぶん上書きされてしまったんだろう。
自分で思うのもなんだけどなんとも単純な脳ミソを持っているなって……おにーさんに言われそうだけど、智美のハグの威力は強烈なんだぞ!!
あれを喰らったら誰しもが落ち着いちゃうほどだけど……男の人なら逆に落ち着けないかもだ。
とりあえず、今言えることは顔に胸が埋って苦しいし宣戦布告だと言うことがわかるのだな……ははは。
「あらあら、廊下は走っちゃダメじゃない?」
「うむむ、それはすまなかったんだぞ……けど智美っ、ついに軍曹もアイスキューブが出来たのだ!! 見るのだ!!」
ようやく解放され自由になったら、見て欲しいものをこれ見ようがしに目の前で実践してやると相変わらずのミニサイズだがまるで成長した我が子を見つめる母のように愛おしそうな表情で微笑んでくれた。
そして無言のまま抱き抱えられては食堂へと連れていかされ、朝御飯にありつくことができたのだ。
いつの日かテレビで見たことがあったが今回閉じ込められたのはドッキリというヤツだとカミングアウトされた……でもだ、どうにもモヤモヤが晴れない。
ネタバレの小さな【ドッキリ大成功】の旗を可愛らしく振る智美を見て軍曹はもはや呆れを通り越して何も言えそうにない、そしてやって良いことと悪いことの度が過ぎているんじゃないかって伝えようとしたけど今回のドッキリがなければ軍曹は一生魔法が使えないまま……だったはず。
「その様子だと無事に終わったようね。」
見渡す限り赤い髪の毛の人ばかりだというのにそれに混じって紅一点ではなく茶一点、茶髪の少女が相席よろしく朝食セットのお盆を持ってきては智美の隣に座り込む。
少しだけ大人びた結愛のような見た目の少女、雰囲気が似てる……かな。
「魔法を使えなきゃ死ぬとか脅されて怖かったんだぞ。 けど、何でドッキリなんだぞ? 」
「それについては私が説明するわ。 簡単に言うと夢を操作させて意図的にあの夢を見させた。 限りなく現実に近い夢……言うなれば【仮想現実】ってところ?」
「夢を操作できる枕を開発するだなんて恋も好き者さぁ。」
カソーゲンジツ?
確かおにーさんがバーチャルゴーグルというのを頭につけて遊ぶ体感ゲームもそんな形式であるとを言ってたような気がするぞ。
軍曹も遊ばせてもらったことはあるが映像と音のみ……でもここの技術を持ってしまえば現実と何ら変わりはなく、さらにはこう言った学習法までにも応用できるとはこの七刻の人々は我々の常に斜め上を行くから恐ろしい。
目の前にいる技術者は相当な天才か、あるいは……ううん、やはり結愛の感情の1人に過ぎないと推測するなら紙一重なんだと思うぞ?
何がって? わからなくても良いけど何と何は紙一重って言うぞ、まぁ良いのだ……そんなことは。
「私ご飯食べたら帰るわね。 枕のデーターも取れたし。」
「じゃ、私達はいつも通りスキー場の建設場所へと行きますわぁ。」
「パワーアップした軍曹を見たら結愛も冥綾もきっとビックリするんだぞ!!」
昨日の今日でマスターしたこのアイスキューブを使って砦の建設の第一人者になれるようにさっそく決意を智美に見せつける。
相変わらず苦笑いの彼女だが、軍曹はいたって本気だぞ?
ほ、本当の本当……だぞ?
むぅ……行動で示した方がここは手っ取り早いかもしれないな。
とは言えさすがに狭いのだから全力とは言えないし、せめて小走りって言ったところ。
1つ目の曲がり角を抜けようとした時……何かにぶつかったような抱き抱えられたような、いずれにせよ温かかなあの感覚が身に染みてくる。
何事かって思いながら見上げると智美が抱き締めてくれていたが、このとき軍曹は強い怒りを持っていたか?
否、昨日の自分なら怒りに狂っていたに違いないが今は違う……と言うよりも魔法が使えた嬉しさでそんなことも忘れ、たぶん上書きされてしまったんだろう。
自分で思うのもなんだけどなんとも単純な脳ミソを持っているなって……おにーさんに言われそうだけど、智美のハグの威力は強烈なんだぞ!!
あれを喰らったら誰しもが落ち着いちゃうほどだけど……男の人なら逆に落ち着けないかもだ。
とりあえず、今言えることは顔に胸が埋って苦しいし宣戦布告だと言うことがわかるのだな……ははは。
「あらあら、廊下は走っちゃダメじゃない?」
「うむむ、それはすまなかったんだぞ……けど智美っ、ついに軍曹もアイスキューブが出来たのだ!! 見るのだ!!」
ようやく解放され自由になったら、見て欲しいものをこれ見ようがしに目の前で実践してやると相変わらずのミニサイズだがまるで成長した我が子を見つめる母のように愛おしそうな表情で微笑んでくれた。
そして無言のまま抱き抱えられては食堂へと連れていかされ、朝御飯にありつくことができたのだ。
いつの日かテレビで見たことがあったが今回閉じ込められたのはドッキリというヤツだとカミングアウトされた……でもだ、どうにもモヤモヤが晴れない。
ネタバレの小さな【ドッキリ大成功】の旗を可愛らしく振る智美を見て軍曹はもはや呆れを通り越して何も言えそうにない、そしてやって良いことと悪いことの度が過ぎているんじゃないかって伝えようとしたけど今回のドッキリがなければ軍曹は一生魔法が使えないまま……だったはず。
「その様子だと無事に終わったようね。」
見渡す限り赤い髪の毛の人ばかりだというのにそれに混じって紅一点ではなく茶一点、茶髪の少女が相席よろしく朝食セットのお盆を持ってきては智美の隣に座り込む。
少しだけ大人びた結愛のような見た目の少女、雰囲気が似てる……かな。
「魔法を使えなきゃ死ぬとか脅されて怖かったんだぞ。 けど、何でドッキリなんだぞ? 」
「それについては私が説明するわ。 簡単に言うと夢を操作させて意図的にあの夢を見させた。 限りなく現実に近い夢……言うなれば【仮想現実】ってところ?」
「夢を操作できる枕を開発するだなんて恋も好き者さぁ。」
カソーゲンジツ?
確かおにーさんがバーチャルゴーグルというのを頭につけて遊ぶ体感ゲームもそんな形式であるとを言ってたような気がするぞ。
軍曹も遊ばせてもらったことはあるが映像と音のみ……でもここの技術を持ってしまえば現実と何ら変わりはなく、さらにはこう言った学習法までにも応用できるとはこの七刻の人々は我々の常に斜め上を行くから恐ろしい。
目の前にいる技術者は相当な天才か、あるいは……ううん、やはり結愛の感情の1人に過ぎないと推測するなら紙一重なんだと思うぞ?
何がって? わからなくても良いけど何と何は紙一重って言うぞ、まぁ良いのだ……そんなことは。
「私ご飯食べたら帰るわね。 枕のデーターも取れたし。」
「じゃ、私達はいつも通りスキー場の建設場所へと行きますわぁ。」
「パワーアップした軍曹を見たら結愛も冥綾もきっとビックリするんだぞ!!」
昨日の今日でマスターしたこのアイスキューブを使って砦の建設の第一人者になれるようにさっそく決意を智美に見せつける。
相変わらず苦笑いの彼女だが、軍曹はいたって本気だぞ?
ほ、本当の本当……だぞ?
むぅ……行動で示した方がここは手っ取り早いかもしれないな。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる