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第5章【木曜の森林《風見》】
深い森の中と癒しの粒子
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さて今日からまた出勤の日、目的の風見は時雨よりは西側……この近辺だと雪の積もる針葉樹、膨大な数のマツやトウヒがわんさか生やした超大きな森になっている。
玄弥が菊花が迎えに行くって連絡は来ていたみたいだがどうにもこうにも今日になってドタキャンと来るんだから自分で歩いていかなきゃならないから、長い道のりになりそうな予感がする。
だったら翔べば良いじゃんって話になるだろうけど、うまい話というのはそこら辺に転がってるほど便利なものじゃないんだ。
【鳥居でおいてけぼりになった燎煉の時は風見の上空を余裕で翔んでたにござろうな?】
むろん、あのときは翔んでたんだ。
この世界は【カンジョウ】と呼ばれるものが支配していてそれが鍵となって己の行動を阻害しているようなもの、それはこの世界の女神である私だって適応されるって話だから全くおかしな話だよね。
「あの時は本当に切羽詰まってたからな。 今は心に余裕があるから制限として無理なんだろうな。」
端末の時計を見つめても歩いても充分風見自然開発センターまではたどり着ける、だから身体と心が余計な曜力を消耗させないようにある意味この世界の1種の無意識の潜在的な自己セーブ機能付き。
便利な反面こういうときに不便なんだものなぁ。
「歩くしか道はなさそうだな。」
【雪が積もって道すらないにござるがな!!】
寒さを感じないのに寒いのは何でだ?
とりあえず無視して行った方が安全かもしれないから、ここはもうラッセル車みたいにズカズカ勢い良く歩いた方がたぶん気分が晴れるかもしれない。
たどり着く頃には靴の中は最悪な事態になってるかもしれないけどそこは仕方ない、風見のドラッグストアかどこかで予備の靴下を勝手からでも遅くはなさそうなんだけど……間に合うかなぁ。
サクサクっと霜を踏みつけてるとなれば、どんな状況かわかる?
先程は膝まで埋まるような獣道だったからここら辺で時雨の区域は終わりを迎えるという見方で間違いはない……1メートル先に完全に雪がない場所に足を踏み入れた瞬間だ。
身体に伝わる膜のようなものを越えた感覚は慣れないものだけど、風見の領域に入ったお知らせ。
まっ、突入する感覚は微々たるモノだから普段意識しなければ風邪が通り抜けたかなって感じに近い、覚えておけばどこからがどの領域なのか区別しやすいぞ?
「もうすぐだ。」
【時雨とはまた違った建物でござるな。】
文化の違いがあるからそのあたりは当たり前だ。
年がら年中大雪が降る場所は特有の屋根の形だが、風見は純粋に冬しか雪は降らないから平らなものが多い。
だが、相手は雪や氷などのプロフェッショナル……隣接した土地ならばトバっちり食らって規格外の風雪でグシャッと家が潰れるときもあるがねぇ。
雪って1立方メートルくらい……言うなればアイスキューブの重みはあれだけで100キログラムあるらしいからどれ程の負担が屋根にかかるかわかる?
面積で考えても数トンから数十トンはあるだろうさ。
【おや、あれはいつしか見た風見自然開発センターでござるなぁ……。】
待った、私もここまで来たならついでの買い出しのことも考えておかなきゃならないかも。
ここで買う野菜はどこよりも新鮮でしかも安いッ!!
無農薬なのだから身体にも安心ってね。
【目を輝かせてるあたり目的が入れ替わったにござるな。】
「なっ!? そんなことはない……開拓のために来たのだからな。 うーん、家の冷蔵庫にホウレン草とネギと白菜あったかな、不安だわぁ。」
ダメだ、ここに来ると働く以前に野菜の事しか頭に入ってこなくなる。
まるで何者かに洗脳されてるような気分、野菜を帰え~野菜を買え~って心にささやきかけては私を惑わせるのだ。
よって不本意だから野菜を買うのは私のせいではないっ、よし……いざ出陣!!
玄弥が菊花が迎えに行くって連絡は来ていたみたいだがどうにもこうにも今日になってドタキャンと来るんだから自分で歩いていかなきゃならないから、長い道のりになりそうな予感がする。
だったら翔べば良いじゃんって話になるだろうけど、うまい話というのはそこら辺に転がってるほど便利なものじゃないんだ。
【鳥居でおいてけぼりになった燎煉の時は風見の上空を余裕で翔んでたにござろうな?】
むろん、あのときは翔んでたんだ。
この世界は【カンジョウ】と呼ばれるものが支配していてそれが鍵となって己の行動を阻害しているようなもの、それはこの世界の女神である私だって適応されるって話だから全くおかしな話だよね。
「あの時は本当に切羽詰まってたからな。 今は心に余裕があるから制限として無理なんだろうな。」
端末の時計を見つめても歩いても充分風見自然開発センターまではたどり着ける、だから身体と心が余計な曜力を消耗させないようにある意味この世界の1種の無意識の潜在的な自己セーブ機能付き。
便利な反面こういうときに不便なんだものなぁ。
「歩くしか道はなさそうだな。」
【雪が積もって道すらないにござるがな!!】
寒さを感じないのに寒いのは何でだ?
とりあえず無視して行った方が安全かもしれないから、ここはもうラッセル車みたいにズカズカ勢い良く歩いた方がたぶん気分が晴れるかもしれない。
たどり着く頃には靴の中は最悪な事態になってるかもしれないけどそこは仕方ない、風見のドラッグストアかどこかで予備の靴下を勝手からでも遅くはなさそうなんだけど……間に合うかなぁ。
サクサクっと霜を踏みつけてるとなれば、どんな状況かわかる?
先程は膝まで埋まるような獣道だったからここら辺で時雨の区域は終わりを迎えるという見方で間違いはない……1メートル先に完全に雪がない場所に足を踏み入れた瞬間だ。
身体に伝わる膜のようなものを越えた感覚は慣れないものだけど、風見の領域に入ったお知らせ。
まっ、突入する感覚は微々たるモノだから普段意識しなければ風邪が通り抜けたかなって感じに近い、覚えておけばどこからがどの領域なのか区別しやすいぞ?
「もうすぐだ。」
【時雨とはまた違った建物でござるな。】
文化の違いがあるからそのあたりは当たり前だ。
年がら年中大雪が降る場所は特有の屋根の形だが、風見は純粋に冬しか雪は降らないから平らなものが多い。
だが、相手は雪や氷などのプロフェッショナル……隣接した土地ならばトバっちり食らって規格外の風雪でグシャッと家が潰れるときもあるがねぇ。
雪って1立方メートルくらい……言うなればアイスキューブの重みはあれだけで100キログラムあるらしいからどれ程の負担が屋根にかかるかわかる?
面積で考えても数トンから数十トンはあるだろうさ。
【おや、あれはいつしか見た風見自然開発センターでござるなぁ……。】
待った、私もここまで来たならついでの買い出しのことも考えておかなきゃならないかも。
ここで買う野菜はどこよりも新鮮でしかも安いッ!!
無農薬なのだから身体にも安心ってね。
【目を輝かせてるあたり目的が入れ替わったにござるな。】
「なっ!? そんなことはない……開拓のために来たのだからな。 うーん、家の冷蔵庫にホウレン草とネギと白菜あったかな、不安だわぁ。」
ダメだ、ここに来ると働く以前に野菜の事しか頭に入ってこなくなる。
まるで何者かに洗脳されてるような気分、野菜を帰え~野菜を買え~って心にささやきかけては私を惑わせるのだ。
よって不本意だから野菜を買うのは私のせいではないっ、よし……いざ出陣!!
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