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第零点九十九章・まみれまみれの不時着
土まみれの女神様
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――衝撃はある程度緩和されたけど……。
しばらくしてから浅葱は目が覚めると急に痛覚が覚醒し始める。
それは当たり前だろう、いくら衝撃吸収されたとてかなりの高度から落下したのだからいくら目立った外見はなくとも打ち身の体には鈍痛が橋って仕方がない。
「うっ……うぅ、痛い……。 あのチビ帽子めぇ。 なぁにが幸運と待遇だよ。」
土の山からモゾモゾと這い落ちるとあちらも浅葱に気がついたのか駆け寄ってくる。
「おいおい、嬢ちゃん大丈夫か?」
サングラスのオッサンは腕の青いアザを見つめると少しばつが悪そうに口先の表情が悪くなる。
完璧に無傷とはいかなかったのが少し心残りなのだろう。
「すまねぇな、ワシも砂山作って助けたかったが内出血作らしてしまったぜ……。」
浅葱は自身を助けようとするために砂山を作ってくれたオッサンに、とんでもないとお礼をする。
助けてもらってむしろありがたかったのだ。
「と、とんでもない! 助けてくれて本当にありがとうだったよ。」
深々と頭を下げていると若いお兄さんも到着したみたいで、二人の近くに停車すると窓がスッと開いてはこちらの方に手を降る。
「おーいっ、大丈夫かぁ!? そこのお姉ちゃん!!」
「だいじょっ、おふぅ。」
遠回しでも見てわかるイケメンに一瞬ドキッとしたようで、イケメンの待遇とは言ってたけど数ある中の爽やか系の待遇をしてくれたことに、内心グッドマークを贈りたかった。
幸先の落下の不幸がなければもっと良かったのだが、それは内緒。
「とりあえず乗ってくれ、その身なりじゃダメだろ? な、なんっつーかよ、青さんから通達でそっちに新入りの神が降ってきたとか言うから確認したら彼女だとよ。 あの人らしい手荒い歓迎だな。」
「今日の畑仕事は切り上げだ。 あ~っ、この取れ立ての野菜で酒のつまみを作りたいぜ!」
オッサンは荷台に野菜の箱を詰め込むと、同時に浅葱も後ろの荷台に座るように命じられる。
待遇としては不遇よりだが、土まみれでさすがに座席に座るわけにも行かない。
申し訳程度のブルーシートに座っては、エンジンの発進音と共に畑をあとにする。
――大切なことが。
助けてもらったけど、ここの神様の世界と言うところに来ての第一発見者なのだから縁を拡げておかねば後々困ると思うと挨拶は重要。
「あ、あの……私は色取 浅葱っていう新入りの神様ですが、ど……どうぞよろしく。」
自己紹介なんてマトモにしたことがなくぎこちのないものだったが、オッサンは助手席から後ろを振り向いてはグッドマークを贈ってくれた。
「ワシは土方 米異や。 まぁ、分からないことがあったらワシに聞いてくれや、まぁ……イマドキの若者のことを聞かれてもわからないことはある。」
神様も人も見た目によらないけど、とてもいい人そうで軽快なオッサンの土方さんで、異様なほどに似合うサングラスの奥の瞳は計り知れないものを感じる。
「それでこっちの兄ちゃんは、揃物 鍵人や。 話は聞いて……あー、あの帽子の嬢ちゃんの事だから説明なんて皆無だと思うが、こいつの商店で一緒に暮らすんや。 それで神様としてのあり方を勉強してくれや。」
「はぁ!? ちょっ、俺も初耳だぞ!?」
「な、わ……私もなんだけど。」
どうやら聞かされてたには聞かされてたけど詳しく物事を伝えられていたのは土方さんだけであり、突然の出来事に戸惑う二人。
イケメンと同居できるのは願ってもいない待遇だったが、心の準備はまだまだである。
しばらくしてから浅葱は目が覚めると急に痛覚が覚醒し始める。
それは当たり前だろう、いくら衝撃吸収されたとてかなりの高度から落下したのだからいくら目立った外見はなくとも打ち身の体には鈍痛が橋って仕方がない。
「うっ……うぅ、痛い……。 あのチビ帽子めぇ。 なぁにが幸運と待遇だよ。」
土の山からモゾモゾと這い落ちるとあちらも浅葱に気がついたのか駆け寄ってくる。
「おいおい、嬢ちゃん大丈夫か?」
サングラスのオッサンは腕の青いアザを見つめると少しばつが悪そうに口先の表情が悪くなる。
完璧に無傷とはいかなかったのが少し心残りなのだろう。
「すまねぇな、ワシも砂山作って助けたかったが内出血作らしてしまったぜ……。」
浅葱は自身を助けようとするために砂山を作ってくれたオッサンに、とんでもないとお礼をする。
助けてもらってむしろありがたかったのだ。
「と、とんでもない! 助けてくれて本当にありがとうだったよ。」
深々と頭を下げていると若いお兄さんも到着したみたいで、二人の近くに停車すると窓がスッと開いてはこちらの方に手を降る。
「おーいっ、大丈夫かぁ!? そこのお姉ちゃん!!」
「だいじょっ、おふぅ。」
遠回しでも見てわかるイケメンに一瞬ドキッとしたようで、イケメンの待遇とは言ってたけど数ある中の爽やか系の待遇をしてくれたことに、内心グッドマークを贈りたかった。
幸先の落下の不幸がなければもっと良かったのだが、それは内緒。
「とりあえず乗ってくれ、その身なりじゃダメだろ? な、なんっつーかよ、青さんから通達でそっちに新入りの神が降ってきたとか言うから確認したら彼女だとよ。 あの人らしい手荒い歓迎だな。」
「今日の畑仕事は切り上げだ。 あ~っ、この取れ立ての野菜で酒のつまみを作りたいぜ!」
オッサンは荷台に野菜の箱を詰め込むと、同時に浅葱も後ろの荷台に座るように命じられる。
待遇としては不遇よりだが、土まみれでさすがに座席に座るわけにも行かない。
申し訳程度のブルーシートに座っては、エンジンの発進音と共に畑をあとにする。
――大切なことが。
助けてもらったけど、ここの神様の世界と言うところに来ての第一発見者なのだから縁を拡げておかねば後々困ると思うと挨拶は重要。
「あ、あの……私は色取 浅葱っていう新入りの神様ですが、ど……どうぞよろしく。」
自己紹介なんてマトモにしたことがなくぎこちのないものだったが、オッサンは助手席から後ろを振り向いてはグッドマークを贈ってくれた。
「ワシは土方 米異や。 まぁ、分からないことがあったらワシに聞いてくれや、まぁ……イマドキの若者のことを聞かれてもわからないことはある。」
神様も人も見た目によらないけど、とてもいい人そうで軽快なオッサンの土方さんで、異様なほどに似合うサングラスの奥の瞳は計り知れないものを感じる。
「それでこっちの兄ちゃんは、揃物 鍵人や。 話は聞いて……あー、あの帽子の嬢ちゃんの事だから説明なんて皆無だと思うが、こいつの商店で一緒に暮らすんや。 それで神様としてのあり方を勉強してくれや。」
「はぁ!? ちょっ、俺も初耳だぞ!?」
「な、わ……私もなんだけど。」
どうやら聞かされてたには聞かされてたけど詳しく物事を伝えられていたのは土方さんだけであり、突然の出来事に戸惑う二人。
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