遠空に駈ける女神の浮浪録・神様project2

青衣

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第零点九百九十九章・揃物商店へ

夜の優しさ

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   ――ゆっくりしたら一仕事。

   浅葱は温かな風呂で疲れを一通り癒してから、脱衣場の洗濯機に手を入れてみる。
   乾燥機能も付いているためか温かい空気の洗濯槽の内部、そしてふんわりと香るのは柔軟剤の効いたフワフワな制服。

 「制服って洗濯できるものだっけ……?」

   浅葱は一式先程と同じものに着替えると、土まみれだったさっきに比べるとなぜか新鮮な気持ちになれる。
   乾燥されて間もないため、温かい制服は肌寒い今の季節にはぴったり。
   緑色のスカーフをしっかり巻いて万端と、風呂場をあとにする。














   ――時は刻々と経過して。

   きれいさっぱりした浅葱はリビングへと戻ると、晩御飯の支度のためか揃物は鼻唄を歌いつつ戸棚の中からカップ麺を取り出した。
   神様の世界言えどもカップ麺は存在するようで、みたことのないメーカーだが日本語で記されたトンコツ味のカップ麺。

   女性は風呂から上がるのが遅いという目でちょっと睨まれながらも、一時間半はさすがに待たせ過ぎたと時計を見つめつつ浅葱は申し訳なさそうに思った。

   さて、ゴミ箱を見てみるとカップ麺の残骸が多くこのような炊飯事情と判断すると揃物はほぼ毎日カップ麺を食しているのだと思い、冷蔵庫などを開けてみると案の定予想は大当たり。
   野菜から卵に何から何まで入ってなく、菓子パンやジュースくらいしか入ってない。

 「ね、ねぇ……。 毎日カップ麺は体に悪いわ。 私が毎日作ろうか?」

   浅葱はお節介を焼くのは嫌いじゃなく、むしろ好き。
   年頃のお兄さんという感じだが食べ盛りの青年、もとい高校生くらいの男の子ならむしろ手料理で栄養をとって欲しいものだ。
   めんどくさいと反対されると思っていたが、笑顔に変わった揃物の表情で安堵する浅葱。

 「作ってくれるのか? ありがてぇな、手料理なんてほぼ食わねぇから楽しみだぜ。」

   揃物も笑顔で了解はしてくれるも、よく考えてみると食材もお金も浅葱の手持ちにはないためそこは後に揃物から貰う予定だが、これだけではこの世界でやるべきことには物事余してしまう。
   やるべき自分のことは見つけなくてはと焦りを見せつけつつも、妥協するなら初心者だからもう少しでも良いかなと言い聞かせたいところ。

 「明日のお昼くらいには作るわ!」

 「明日の昼は持ち運べるものがいいかもな、少し浅葱をある所に連れていきたいしな。 神様の卵ならなおさらさ。」

   揃物はカップ麺にお湯を入れて蓋をしては待ち時間の間に書類などを用意する。
   どうやら浅葱に関係する書類だと思うとちょっと任せっきりになるのは心痛いが、今は頼るものが欲しかった。

   やるべきことを全力で頑張って恩を返すのが優先事項と認識する浅葱である。
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