遠空に駈ける女神の浮浪録・神様project2

青衣

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第零点九百九十九章・揃物商店へ

お菓子の朝食

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   ――美味しいけど……。

   浅葱は震える手でポテトチップをつまんでは少しずつ口に運ぶも思考がメチャメチャなのだ。
   これはおやつではない、朝食なのだと思うとこれだと言うのを考えると胃が死にそうである。

    あのあと、七時前には揃物は起き出しては朝食を勝手に食べ初めて居たようで、居眠りから起こされた形となって今に至るのだ。

 「うん、美味しい!」

   牛乳パックに押し潰されて平べったくなった雑巾のような菓子パンを揃物は食べ、ご機嫌なご様子だが、浅葱の顔は真っ暗である。
   菓子パンなら許容範囲だが、そちらを提供して欲しかったけど居候の分際ではそんなことは言えない。
   黙ってあらかた食べるのに十五分、満たされるわけでもないのに重たいお腹をさすって一日が始まろうとしていたこの頃。














   ――何やら書類を纏めているようだけど?

   歯磨きをして洗顔を終えてさっぱりした浅葱は見渡すと、揃物が前日の書類をまとめているのがわかる。
   自分の名前が記載されていたため、何かに使うようなのだが気になった浅葱は聞いてみることに。

 「この書類って何?」

 「あー、新しい神様の申請書だ。 一応浅葱は神だけどまだ仮だからな。 役所に提出して認可してもらうわけよ。」

   仮と言われても神様の実感はわかないもののきちっとした書類なのだと思うと、なんだか揃物にも申し訳ないようだ。
   けど、こればかりは自分には書くことはたぶん無理だろう。

   一通り纏めたりしていると揃物はジャケットを着込む。
   どうやら出掛けるみたいだ。

 「さてと、電気代でも払いに行くかねぇ。 浅葱も来るんだぞ!」

   あいにくセーラーの制服一張羅なもので防寒着などは無いと思っていたが、そこは揃物の防寒着を貸してくれたようだ。
   男物の物なのでかなり大きいが包まれるような温かさ。

 「布団に続いてこれも酸味があるのかよ。」

   浅葱は脱ぎ捨ててはカッとなって目を見開くも、それがなきゃ今の朝は寒くて身震いしてしまうほどだ。
   無くてもいいが肌寒いのには変わりはなくなるとなると嫌なのでしぶしぶ着込むことに。
   けど、なぜか嫌じゃない不思議な気持ちの浅葱。

 「行くぞ。 裏に車停めてあるからよ。」

 「ま、待ってよ! チャックが噛んで……あぁもう。」

   何とか着込みながら外に出ると顔には冷たい風が吹き付けては、冬の訪れを感じさせる冷たい空気。
   少しだけ空を見上げては、胸一杯に空気を吸っては体に活を入れるのだった。
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