遠空に駈ける女神の浮浪録・神様project2

青衣

文字の大きさ
11 / 20
第一章・臼箕電工

森の中で

しおりを挟む
   ――意外と言えば意外。

   よく思えば揃物は見た目の年齢に合わず車を運転いているようなものになってしまっていると気がつく浅葱。
   でも神様だし常識は通用しないとなると考えるだけ無駄で、何よりも心地よい運転には普段の口調の荒ぶりとは正反対で驚く。

   昨日は昨日で乗っていたが、その時は揃物の事をよく知らなかった為に今一度根はいい人なんだと実感させられる。

 「ねぇ、これからどこに行くの?」

   車は南へと走らせては生い茂る暗い森を突き進む。
   窓辺からは木々しか見えないもので退屈してたのだから、この森を出るのかと考えると少しだけワクワクしてならないのだ。

 「街に行くんだ、臼箕電工って会社に今月の電気代を払いにね。」

   ここの世界にもコンビニは昨日見かけたことでこの付近は周知の上だけど、そこで電気代を払えば良いんじゃないかと思うのだが、あいにくここは昨日の今日来たばかりであるためシステム上はよくわからない。

 「知り合いが運営してるからな、たまには顔見せしてみるのも乙なものだ。」

 「それって社長さん!? すごい偉い人じゃ……うげっ!!」

   興奮を隠せない浅葱はついシートベルトがロックされるくらい勢いよく動いたものだからえづいてしまうも、そんなに偉い人が揃物の知り合いなら顔は広いのだと揃物の顔を見る。
   揃物はたしかにイケメンだけど、あまり直視はできないためほんの一瞬だけ。

 「この神様の世界で一番の強さを誇る人だ。 神様は神位と呼ばれるランクがあって臼箕は一位なんだぞ。 まあ、俺は七十二位だけど。」

 「え、最強じゃんそのウスミって人! いや、神様!?」

   これからここで一番強いやつに会いに行くとなると緊張するけど、何故かワクワクする。

 「揃物は微妙だね。」

   声のトーンがガックリ下がってしまうも、何かを察したのか反論する。

 「神位は八百万位まであるんだよ、その内の七十二位っていうのは俺だって相当強いんだけど……、おーい浅葱ぃ。」

 「そりゃそうかもしれないけど、何か微妙すぎるから。」

   けど、そう思うと自分自身が何位なのか気になって仕方がなくなるが、仮にも神だけどランクはきっとあるはずだと確信してる。

 「そういえば私って何位だろ?」

 「さぁ? それも調べてみるか。」

   現段階ではまだわからないようだが、神様としては新入りだしせいぜい百万単位の位だろうとは思うが五百万位くらいかなと勝手に想像を膨らませる。

   後に大変な順位であることと、臼箕に会うことも。














   ――森を抜けて。

   木々の葉が遮っていた陽光がフロントガラス越しから伝わってくるのがわかると驚きが隠せず、興奮気味の浅葱。
   やっぱり新鮮な風景は麻木をドキドキさせるのには充分だし、見るものすべてが新しいのだから無理はないが、そんな無邪気な姿の彼女を見ては頬笑む揃物を浅葱は知らない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

性別交換ノート

廣瀬純七
ファンタジー
性別を交換できるノートを手に入れた高校生の山本渚の物語

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...