日々是成長・HDリマスター(本編の少し前のお話)

９月２日

９月２日。
無意識の大敵。














   どこやら鈍い音が神社の部屋にこだましては、一人の少女はプルプルと震えつつもバッタリと倒れ、丸まっては再び微震を繰り返す。
   そんな音に結愛は様子見に部屋に入ってくるのだが、倒れて苦しそうにしている桃子を見てただ事じゃないとあわてふためく。

 「どっ、どうしたのよ！？ 大丈夫っ？ と……とにかく救急車を。」

 「こっ……こ、小指……ぃ。」

   右足の小指をどうやらタンスの角にぶつけていたのだが、これまた無口の桃子もこれにはどうやら堪えてしまい、少し呻き声をあげながら震えている。
   申し訳ないが、大したことじゃないと胸を撫で下ろしては結愛は桃子に安静にするように言い渡す。

 「気を付けてはいたのだけど……な、何故かしらね？」

 「足の親指に比べて小指はあまり意識出来るものじゃ無いから、よくぶつけやすいものね。 まぁ、運が悪かったと思いなさいっ！」

   結愛はあまり心配してないように振り向いてはリビングにまた戻ってゆく。
   行き違いなのか菊花が部屋に入ってくるのだが、桃子は自然的に危険を察知したのか付したまま距離をおこうとする。
   ただでさえ岩動の民は風見の民を嫌うのだから、無理はないだろう。

 「桃子何やってんの？」

   ここでタンスの角に小指をぶつけたなど言った暁には笑いのネタにされ、数日は引きずられるのは目に見えていそうなのでなんとか眠いと言っては誤魔化すことに。

 「私は眠いの……あっち行って……。」

   眠そうな表情であるもののどこかぎこちない顔は菊花の心にモヤをかけるものの、やはり眠いと言えばそれまでなのでそれを尊重することに。
   けど、全員七曜神で同一の存在なのだから強い意思は近くの皆に伝わってしまう。
   そして桃子の痛みは菊花にも少しだけ右足の小指に痛いという心が伝わってくる。

 「ちょっ……何？ ふぇあっ！？」

   菊花は桃子をお姫様だっこをして、先程まで寝ていた布団まで抱っこして行くと負担をかけないように下ろしてあげる。

 「まっ、たまにはそういうことはあるよねっ。」

   ニヤニヤとした表情で見つめては桃子を寝かせたままリビングに戻ってゆく。
   しかし菊花には嘘は通用しなかったと心の中で思うも、なぜか安心感がわき出てはホッと安らぎに包まれながら夕飯までぐっすり眠ることができ、痛みも引いたそうである。














小指をぶつけるとはただ事ではない。
骨折することもあるので、違和感があるなら病院へ。