日々是成長・HDリマスター(本編の少し前のお話)

９月７日

９月７日。
四者面談の暴走。














   残暑の残るこの季節にとってまだまだ暑くグダグダな時間を過ごす少女が三人と垣間見える。
   そして玄弥はまた別な畳の部屋で書類の作成をしつつ、冷たい飲み物を飲みながら頑張っているのだが、それを見つけた三人は暑いのを我慢してるのに玄弥一人だけ涼んでるのがどうにも許せず、普段はデコボコトリオでも珍しく結託して襲撃することに。

   私達にも飲ませろと言わんばかりに輝くのは、普通神社には冷蔵庫に常備麦茶はあるのだが、玄弥が飲んでいるのはアイスココアでなおもバニラアイスが合体してるココアフロート。
   羨ましがるのは、当然。

 「何飲んでるんだーっ、私にも飲ませてくれよっ！」

   菊花は不気味な笑みで玄弥に近づく。

 「なんだこのオバサ……ン、うぐっ。」

   一瞬聞こえてはいけないものが聞こえた菊花は玄弥の背中を軽く蹴っ飛ばすも、目的がそれるといけないために、作戦を実行する。
   玄弥が腰を擦っている間に押し倒し、木曜力で畳の繊維を縄に変えて縛り上げる。

 「縛るよっ！」

 「な、何なんだ！？  ちょっ、流行らせ……離せコラッ！ 」

   玄弥は訳のわからない事態に巻き込まれ、仕事の邪魔で仕方ないためか少し重い声で話すも、彼女達の汗を見つめると大体察しはついてきたし、三人の強い意思が流れ込んでくるとなるとなおさら何を伝えたいのか解ってくる。

 「ど、退けよこのぉっ！」

   結愛が不適な笑みを見せながら玄弥のお腹に股がっている。

 「私もやるわ……。」

 「なんだお前、桃子まで…何をたくらんでる。」

   言いたいことは解ってる玄弥なのだが、こんなことをしなくてもきちんと伝えてくれれば三杯など容易く作ってあげたのだが、いかんせん暑さで頭のやられた三人の思考は強引なものに変わっているため仕方ないのかもしれない。

 「三人に勝てるわけ無いじゃないっ！」

   結愛がそう言うと徐々に重圧が重くなってくるのを感じ、抵抗する力を奪ってくるのがわかる。
   この力は土曜力の桃子のものだが、男一人が小学生レベルの少女三人に負けるのもシャクなので、自力で勝とうと試みる。

 「バカ野郎、お前ら……俺は勝つぞ、お前らあぁっ！！」

   金縛りのように体が固定ささる感覚に無理にでもグイグイと抵抗する。
   負けてたまるかと、男のプライドを爆発させる。

 「お前らニュート……、はぁ……お前らの言う通りには何ねぇからな。」

   玄弥も苦しいはずなのに余裕の表情でニヤッと笑うも、それが楽しくもない結愛は玄弥の顔に自分の顔を近づけては耳元で天音の独特のようなねっとりとした声で甘くささやく。

 「ねぇ、私達にも作ってよぉ～。」

   一瞬玄弥の体が動かないはずなのに、ゾクゾクと身震いしては、緩みきった表情で結愛の頭を撫でながら作ると言い伝える。
   キチンと言ってくれれば、それで良いのだから。

 「や、止めろぉ………いや、ナイスぅ……ぅ。」

   桃子が重圧を解除しても、体がだるくて作るのに時間はかかったものの四人で楽しく涼めたのは最後のお約束。
   やはり独り占めは良くないと悟る玄弥だが、あれも以外と悪くないと思ってたのは内緒であった。














ココアに浮かんだ白い島。
バニラの楽園へようこそ。