日々是成長・HDリマスター(本編の少し前のお話)

９月８日

９月８日。
お互いの物。














   藍色の髪が風に少しだけなびかれては風の音に集中するも、遠くを見つめて睨んでいる彼女が。
   遠くに位置する藁人形を狙っているようで、その姿はなぜだかあまりにも滑稽なのは言うまでもない。

 【パァアァァァァンッ！！】

   乾いた破裂音が空に響き渡った瞬間、遠くの藁人形の頭部を破壊してはその場に倒れ込む。

 「うわ……あ、聖奈さん、刀だけじゃなくて銃の扱いも出来るんですね。」

   恵麻は目を輝かせては聖奈に近寄るも、あんなデモンストレーションを見せても恵麻には頭は上がらず、相変わらず謙遜してしまう。

 「銃の専売特許は恵麻様の方では……。 私にはこれがありますから、普段は必要ないのですが。」

   聖奈は腰の刀を抜刀すると、その白銀に光刃に映る自分の顔を見てはため息をつく。
   確かに聖奈の刀の腕は師範代レベルに等しいものだが、しかし、武人たるもの刀を扱えるだけでは自慢の足しにもならないもので、人によっては銃だの槍だの薙刀……、あらゆるものを獲得しなくては名乗れないのだ。

   さて、七曜神それぞれにも皆武器は違い、刃物を扱うのであれば天音の軍刀に聖奈の刀、智美の大剣と来れば玄弥や菊花のサバイバルナイフ。
   恵麻は純粋に拳銃で恋は棍、ただの棍ではなく、発砲できる銃の機能までついてる。
    桃子はレイピアと言う細剣は扱うものの、結愛と同じく曜日魔法で制圧する力に長けているため、皆が皆同じ存在であろうとも個々があるようなのだ。

 「しかし、火縄銃の火力は小型大砲にも匹敵するのではないでしょうか！？ あ……頭取れちゃいましたよ？」

 「確かに火力なら普通の拳銃をしのぐかもしれませんね……、しかし火力や初速は上回れても一発限りなのですから確実に仕留めなくてはいけないので、ある意味使いようによっては強さの関係は左右されやすいでしょうね。」

   聖奈はポータルを開くと火縄銃をしまっては、瞬時に勢いよく走り去って行き藁人形の所まで急接近すると、見えない早さで抜刀すると瞬く間に藁人形が細切れになってゆく。
   そして恵麻を見つめてはニコッと微笑むのだが、その笑顔の意味がなんなのかと聞かれると恵麻にはわからずゾッとする一方で、ある意味ドン引きものである。

 「その点につきましては、刀の方が私にとってはしっくり馴染むものこの上無いのですが。」

   歯こぼれひとつせぬ白銀の刃は蒼い電気を纏いながら納刀されるのだが、物足りない表情をしている聖奈は次に相手にしてくれるのは恵麻だろうと言う期待を持つ前に逃げなくては、どうなるかは目に見えている。

 「まだもの足りませんね……。」

   聖奈の瞳の奥底に紅く交わる何かが渦巻いており、若干であるものの髪の毛もほんのり緋色に染まりつつあるこの頃、恵麻はボロボロになって帰宅するのは言うまでもなく、次の日の筋肉痛で貴重な休みが丸々一日潰れたそうな。














恵麻も聖奈と互角に戦うえるほどの実力はありますが、負けて喜ぶ癖があるのでわざと負ける時もあるみたい。