日々是成長・HDリマスター(本編の少し前のお話)

９月２３日

９月２３日。
そわそわするのは当たり前？














   菊花はカレンダーをめくっては十日の日に丸印をつけて、ニヤニヤしながら喜んでいるのだ。
   結愛にも知られずこそこそと彼女らしくない動きをしては、納屋の物置に急いで入り込む。

 「結愛の誕生日には何を買おうかな？ 桃子には石鹸とかのセットでもいいし。」

   悩んではいるが一応七曜神は全員が結愛であるために誕生日は皆同じなのである。
   それは菊花も例外ではないのだが、他の事となると自分が誕生日だということが頭から抜け落ちているのは彼女らしいと言えば彼女らしい。

 「結愛には土鍋かな？ ずっと欲しいって言ってたしなー。」

   全員分の項目に欲しいものを書き出していくも筆が止まる場所がひとつだけ存在しているのだ。
   それは紛れもなく玄弥の欄。

 「な、何にしようかな……？」

   菊花と玄弥も同じ結愛であったとしても、この二人はお互い強い絆で結ばれているのは誰でも知っての通り。
   菊花が作り出した存在が玄弥であるために、結愛よりも強い心が存在する。

 「い、いつもより高いビールやお酒が良いのかな？」

   メモの欄にたくさん書き足してゆくも、あれもこれも玄弥が欲しそうなのが頭に思い浮かんできて菊花にはひとつに絞ることも難しいようだ。
   それに誕生日のプレゼントなのだから、誰に相談できるものでもなくて悩みはよりいっそう深いものになって行く。

 「うーん、うーん……本当にどうしようかな？」

   まだ十日とも期限はあるのだから切羽詰まって悩む必要が無いとは見てとれるが、彼女の性格上せっかちなので今決めないと気が済まないというところを見ると、やはり可愛らしい一面もあるようだ。

 「一応候補はビールかな？ 他にもたくさん案は出ちゃうけど、無難なのはそこら辺……かなぁ？」

   普段それほど悩むことのない菊花はため息をたくさんついては、心の中で玄弥がもらって喜びそうなものをじっくりとシュミレートするも、ビールをあげて喜ぶところしか思い浮かばないとなるとやはり玄弥はビールが似合うとクスクス笑ってしまう。

 「やっぱり玄弥にはビールが一番だよね。」

   プレゼントの候補の中でビールの文字に丸印をつけては決定の印をつける。
   オーソドックスだけどもらって嬉しいものは意外とすぐ近くにあり、灯台もと暗しであると納得した菊花だとさ。














欲しいものがあると聞こえたら要チェック。
覚えておいて損はない？