上 下
30 / 52
2章 魔法学園編

灰色の騎士隊

しおりを挟む
「・・・やはりそういう事だったのですね、学長」

「ヨルド先生は相変わらず鋭いですね。彼がこの学園にもたらすものは、今までの教育を革変させると私は信じている」

「平民の魔法使いなれど、求めるものに魔法は答える。・・・あなたの口癖でしたな」

「ああ・・・貴族と平民の格差。このような悪しき風習は彼の時代をもって終わらせる」

学長室の窓から外を眺め、揺るぎない決心を固めるユリウス。
彼もまた、平民の生まれで格差差別を受けていた。

「面白く、なりそうですね」

「ああ、そうだな」

「話は変わりますが、あの灰色の騎士隊が動きを見せつつあります」

「そうか・・・では、講義を一時変更してくれ」

・・・・・・・

・・・・・

・・・

もうすぐ午後の講義が始まる。確か、次の時間は体内の魔力を外に放出する仕組みの講義だったよな。

魔力適正がない俺には関係あるか分からないけどな。

予鈴が鳴ると、ヨルド先生が入って来て教壇に立った。

「え~、いまから体内魔力の放出の仕組みの講義を中断し、別の事を行ってもらいます」

クラス中がざわめき始めた。講義が変更されるのは異例中の異例らしく、緊急時でしかありえないらしい。

「え~、静粛に!では、あなた方へ『正義』についての定義をそれぞれの解釈で答えてもらいます」

正義?なぜ急にそんな話になるんだ?クラス中はさらにざわめく。

「では、リーエン君から答えてください」

1番前の席に座っているリーエンという人は、このクラスの委員長で、文武両道、才色兼備のいわゆる天才というやつだ。

なぜこの世界に、チャイナ服を着ている人がいるのか疑問だが、気にしていても仕方ない。

「はい、私が思う正義とは。強者から弱者を守る者のことを指します」

「うん。優秀な君らしい素晴らしい正義だ。次はヒーロ君」

「俺の正義は、悪い奴らを片っ端から追い詰めるやつのことだ。白の自警団のようなな!」

「確かに、悪は根絶させなければならないな」

その後も、様々な定義が上がった。その中でも、悪を許さないといった意見が多い印象だ。

そして、俺の番が回ってきた。

「次は、転校生君だな」

「あの、先生。いい加減名前覚えてください」

「ああ、すまなかったね」

「まぁ、いいです。私の正義はありません。なぜなら、正義のために振るう暴力は結論からして悪の暴力と変わりないからです。正義のために暴力を振るうのは人間のエゴだと、私は思います」

「・・・本気で、言っているのかね?」

先生の言葉で、周りの雰囲気がおかしい事に気付く。

「君の持つその考えは・・・灰色の騎士隊のそれと同じだよ」

灰色の騎士隊?一体、何の話をしているんだ?
シャロットでさえもこちらを不安そうな目で見ている。

「君は授業後、学園長室へ来なさい」

こうして、訳もわからず学園長室へと向かう事になった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

投稿遅くなりました。
夏バテからの細菌性胃腸炎で執筆作業への意欲が著しく低下していました。

これからまた、ぼちぼち執筆していきますのでよろしくお願いします。
しおりを挟む

処理中です...