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2章 魔法学園編
己の正義を信じて人は争う
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授業後、学園長室に向かう。
「失礼します」
部屋の中にはヨルド先生と、ユリウス学園長の姿があった。
「やぁ、さっきの授業はすまなかったね。まさか、君があんな事言うなんて生徒たちも思わなかっただろうから、あんな言い方をしてしまった」
「一体、どう言う事なんですか?」
窓を眺めるユリウス学園長は、ため息を吐く。
「それについては私から話そう。この魔法学園は元々、2つの科に分けられていたんだ。騎士科と魔法科にね。武闘大会にガイウスという男がいただろう?あの男も騎士科だったんだ」
ユリウス学園長は窓の外、と言うより昔を思い出しているような遠い目をしていた。
「そして、この学園が魔法科のみに統一された時、騎士科だった生徒たちによる大規模なクーデターが起こった。ひどい惨劇だ。魔法科の生徒は半数以上が死に、騎士科の生徒も多くの命が失われた。それから数年ののち、彼らは灰色の騎士隊と言う武装集団を立ち上げた」
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
「我らが同志よ!我々は魔法と騎士の平等を求めた!だが、魔法側の一方的な差別により多くの友を失ってしまった。これは真の平等を掲げた我らの聖戦である!」
「オォォォォ!」
地鳴りがなるほどの騎士隊の叫び。その中心に立っているのはトーカーという男だ。
「立ち上がれ!灰色の騎士隊よ!黒にも白にも染まる魔法を聖伐する時が来たのだ!」
「全ては平等の名の下に!!」
・・・・・・・・
・・・・・
・・・
「それから、彼らの魔法側に対する一方的な虐殺が始まったんだ」
「・・・なんだよ、それ」
「和解するにはあまりにも多くの血が流れすぎたんですよ。もはや、彼らは根幹たる問題すら忘れているでしょう」
ヨルド先生の言葉は淡々と、それでいて強い怒りを宿していた気がした。
「私の代で和平を持ちかけようと使者を送ったのだが、そのまま・・・・」
その後に続く言葉は概ね察することができた。
「彼らは、騎士の誇りを忘れ、ただの野党と成り下がっている。私はこの争いを一刻も早く終わらせたいんだ。君も協力してはくれないか?」
・・・それは、つまり。
「人を殺せということですか?」
「いや、守って欲しいんだこの学園の生徒を」
「まぁ、君がこの誘いに乗らない事は最初から分かっていましたよ。あなたが掲げる平等は奴等と似ていますが全く違う性質のものですからね」
俺は平等のために戦わない。でもその人達は違う。平等のためには手段を選ばず武器を振るう。
なら俺は、何のために戦う?
決まっている。不毛な暴力から人を守る為に俺は戦いたい。
「分かりました。守ってみせます」
「ありがとう。そして、すまない。本当は君みたいな子供にこんな世界を見せたくはなかったんだ」
「そんな世界を作るためにあなたは戦うんじゃないですか」
「・・・そうだな。私たちは、私たちの信じるもののために戦う!」
ユリウス学園長は決意を新たに固め、学園長室を後にした。
「・・・やはり、君は・・・」
「はい?」
「・・・いえ、何でもありません。次の授業に行きなさい」
そう言われ、俺は学園長室を後にする。
「・・・・・似ていますね・・・あの人に」
「失礼します」
部屋の中にはヨルド先生と、ユリウス学園長の姿があった。
「やぁ、さっきの授業はすまなかったね。まさか、君があんな事言うなんて生徒たちも思わなかっただろうから、あんな言い方をしてしまった」
「一体、どう言う事なんですか?」
窓を眺めるユリウス学園長は、ため息を吐く。
「それについては私から話そう。この魔法学園は元々、2つの科に分けられていたんだ。騎士科と魔法科にね。武闘大会にガイウスという男がいただろう?あの男も騎士科だったんだ」
ユリウス学園長は窓の外、と言うより昔を思い出しているような遠い目をしていた。
「そして、この学園が魔法科のみに統一された時、騎士科だった生徒たちによる大規模なクーデターが起こった。ひどい惨劇だ。魔法科の生徒は半数以上が死に、騎士科の生徒も多くの命が失われた。それから数年ののち、彼らは灰色の騎士隊と言う武装集団を立ち上げた」
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「我らが同志よ!我々は魔法と騎士の平等を求めた!だが、魔法側の一方的な差別により多くの友を失ってしまった。これは真の平等を掲げた我らの聖戦である!」
「オォォォォ!」
地鳴りがなるほどの騎士隊の叫び。その中心に立っているのはトーカーという男だ。
「立ち上がれ!灰色の騎士隊よ!黒にも白にも染まる魔法を聖伐する時が来たのだ!」
「全ては平等の名の下に!!」
・・・・・・・・
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・・・
「それから、彼らの魔法側に対する一方的な虐殺が始まったんだ」
「・・・なんだよ、それ」
「和解するにはあまりにも多くの血が流れすぎたんですよ。もはや、彼らは根幹たる問題すら忘れているでしょう」
ヨルド先生の言葉は淡々と、それでいて強い怒りを宿していた気がした。
「私の代で和平を持ちかけようと使者を送ったのだが、そのまま・・・・」
その後に続く言葉は概ね察することができた。
「彼らは、騎士の誇りを忘れ、ただの野党と成り下がっている。私はこの争いを一刻も早く終わらせたいんだ。君も協力してはくれないか?」
・・・それは、つまり。
「人を殺せということですか?」
「いや、守って欲しいんだこの学園の生徒を」
「まぁ、君がこの誘いに乗らない事は最初から分かっていましたよ。あなたが掲げる平等は奴等と似ていますが全く違う性質のものですからね」
俺は平等のために戦わない。でもその人達は違う。平等のためには手段を選ばず武器を振るう。
なら俺は、何のために戦う?
決まっている。不毛な暴力から人を守る為に俺は戦いたい。
「分かりました。守ってみせます」
「ありがとう。そして、すまない。本当は君みたいな子供にこんな世界を見せたくはなかったんだ」
「そんな世界を作るためにあなたは戦うんじゃないですか」
「・・・そうだな。私たちは、私たちの信じるもののために戦う!」
ユリウス学園長は決意を新たに固め、学園長室を後にした。
「・・・やはり、君は・・・」
「はい?」
「・・・いえ、何でもありません。次の授業に行きなさい」
そう言われ、俺は学園長室を後にする。
「・・・・・似ていますね・・・あの人に」
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