吾輩は魔王である

鬼武蔵

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13 ーhero sideー

(不思議な感覚だ・・・ふわふわしてる。時間も、1秒ってこんなに長かったかな?)

永遠にも感じる1秒1秒がリョウの心を落ち着かせた。もはや、光速に届くリョウを捉える事は誰にも出来なかった。ふと、仲間の魔術師が魔法を放ちそうな場面を目撃した。

(あいつ、あのゴーレムに魔法を使うのか?死ぬぞ)

案の定、ゴーレムに放った炎の矢はゴーレムが投げた小石の風圧でかき消えた。さらには小石が魔術師に向かっている。

(・・・まずいな、あれは即死だ)

リョウは魔術師に駆けつけ、小石を粉砕すると一言。

「手を出すな」

と言い残す。すぐさまゴーレムの背後に移動した後回し蹴りを繰り出す。しかし、ゴーレムはこれに反応し、しゃがんで回避した。

(身軽になって運動神経も上がったのか?さっきとは別格だ。まだ俺のことも見えてるし、ほんと化け物だよな)

「速さは君だけのものじゃないよ?」

魔物であるゴーレムが声を出した。その事実に驚いたのも束の間、ゴーレムはほんの一瞬だけリョウと並列で走った。

「・・・あり、得ない・・」

流石のリョウも困惑する。大岩を一直線に投げ飛ばす力、そして、リョウと並ぶ素早さのゴーレムなど、人が太刀打ちできるわけがない。

「一つ、いい事を教えてあげるよ。君達はまだ強くなれる。限界を超えるほどの負荷を受けるときっと覚醒する。特に、セイランって子はね」

(・・・助言?一体何のために?何が目的なんだ)

しかし、それ以上深く考える事はしなかった。所詮は魔物、人間の事など分かるはずもない。リョウは再び戦いに集中した。

「はぁ、先人の知恵は学ぶべきだよ」

正面から攻撃を仕掛けるリョウをゴーレムはデコピンのみで吹き飛ばした。

「ガッ・・・⁉︎」

吹き飛ばされたリョウは何が起きたかも分からずセイランの元まで退避する。

「リョウ⁉︎一体何が!」

「俺にも分からねぇ。何かのスキルか、もしくは・・・・」

「とにかく、今はこの方法で戦うしかありません。支援は任せてください」

「・・・セイラン、俺たちは本当に奴らに勝てるのか?」



「・・・?何を今さら。やらなければ、こちらがやられるわ、・・・あの日のように」

「・・・・あぁそうだった。俺はこんな所で燻ってるわけにはいかないんだ。今この時も魔王が引き起こす自然災害がみんなを苦しめてる。・・・早く、終わらせないとな」

リョウの纏うオーラが、まるで血のように赤く変化する。危険な状態である事は見ただけでも分かった。

「リョウ、あなた死ぬ気ですか?」

「・・・さぁな。でも、きっとこれしかないんだ。・・・後のことは頼む」

一度だけで良かった。ほんの一度光速すら超える一撃を与えることが出来れば、きっと勝つことができると確信していた。

「いくぜ・・・奥義、迅雷一閃!!」

拳を前に出し、照準をゴーレムに向ける。刹那、闘技場の壁にゴーレムが吹き飛ぶ。後追いで轟音が鳴り響き、リョウが居た場所は地面が砕かれ爆風が巻き起こった。

「・・・やったの?」

吹き飛ばされた場所は砂煙が立ち込めリョウとゴーレムがどうなったのか確認が取れなかった。

「・・まったく、この子は無茶をする」

絶望、ただそれしかなかった。おそらく4名の中で最強の攻撃。命を賭した一撃。それすらもあの魔物には効かなかった。

「・・・そんな」

砂埃から姿を表したのは黒い髪を背中まで伸ばした子供だった。人間と同じ風貌の魔物を見た瞬間、セイランは何かが体を駆け巡り震えた。

「さぁ、次の相手は誰?」

ー残り時間 11分25秒ー
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