HGのリアル

リアルHG

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2章

転換期

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この頃より一人公園でたたずむことが増えた。

今までの人生、まったく考えたこともないようなことを色々と考えるようになった。

蝶が楽しそうに色々な花にとまる姿。

蟻が頑張って餌を巣に運ぶ姿。

なんだか心が癒された。

「この蝶は楽しそうやな・・・幸せにな・・・」
「蟻も頑張ってんやなぁ。踏み潰さんように気をつけんとな・・・」

そんな感情HGになるまで一度も芽生えたことはなかった。

正確には思う思わないというより、悪意はないが、視界にはいれど見ていなかったというべきかもしれない。

何か色々な景色の「見え方」が変わった瞬間だった。

近所の鳥はワリと私の車にフンを無駄にHITさせる。

いままでなら

「またかよ・・・勘弁してくれよ・・・めんどくさいな・・・」

という気持ちでイライラしていた。

しかしこの頃からは

「鳥には車なんて分からないしワザとじゃないんだから仕方ない」

と、受け入れられるようになった。

弱い立場の生物や人に対しての考え方がまるで変わった。

(諦めもあるが)何か自分の都合や欲がどうでもよくなってきて、せめて今のうちに何か色々と還元して終わりたいという気持ちが強くなってきた。

HG前は、自分の趣味の服や靴、財布に時計、アクセサリーなど、ファッション関連が好きでわりとお金を使っていた。

しかしHGである。どこにも行きたくない&行かないのに、そんなものに金をかけるのも馬鹿らしい。

意味のないものに金をかけるくらいなら家族にケーキでも買った方がよほどマシだ。

家にあるもので友人が欲しいものがあればあげよう。

断捨離のはじまりである。

誤解のないように言わせていただきたいのは、私はまったくもってイイ人ではない。そんなアピールする意味も気持ちもイチミリもない。

純粋に、単に身を軽くしたいと思った。

俗にいう「終活」というやつだ。

ちなみに私はまだ青年?と中年?の間くらいの年齢である。

早すぎる気もするが、生前整理が始まったのだ。
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