洗脳家族ー生きることは罰ゲーム

分離した足跡～小学生前編

桜舞散る花道、写真に写る祖母の顔、私が小学生になった日。
白く霞んだあの情景は思い出せない。

母親は私を愚図と呼び、いつも先回りで私の行く先を助けていた。
自転車練習の時も持ち前の運動音痴を両親の前で繰り返すと、『もういいや』と諦められた。

色々なことに対して不器用すぎる私を母親は特殊な小学校に入学させた。
自閉症と健常者をまとめて面倒を見る学校のようである。
祖母も私が幼少時から『普通の子と違うちょっと変わった子』と思っていたらしい。
もちろん、私が入るのは自閉症クラスではなく、健常者クラスであった。
当時はカナー型自閉症と言って低機能の子供と中機能の自閉症しか支援を受けられなかった。
そんなことから、私にはその学校がトラウマの雛形になってしまった。

公立の小学校は荒れているから、入れられないぼぉっとしてるから、いじめられるから私立に入れば、一安心と感じたようだった。

甘い、甘い。
私立など設備が整い、カリキュラムが立派なだけで先生は変わらない。
嫌い、鼻つまみ者と判断され、裏で先生から攻撃や必要以上に叱責されたものである。
母はそんな私の苦渋も知らず、『育ちのよいお嬢様になってね』の気持ちを込めて、私学に入れた。

母がやりたかったバイオリンも習い、期待に答えた。
クラシックは聴くだけなら大人になってこそ、好きになれたが、本当は嫌だった。
好きなふりは出来ず、先生から出された宿題はやらないし、伸びた麺のような演奏に先生も呆れ返っていた。
好きになれないものは、徹底して上達しなかった。全体的なストレスで、私はバイオリン教室の前にポテトチップスを一袋毎回食べてから行った。
おじさんみたいに『食わずにやっていられるか！』と啖呵を切りたい。
もう私の中で止められない儀式として確立してしまった。
さらに、終わった後はお決まりの書店での万引きである。
『死角を狙えば、容易い』
私は小学生にして、行動障害という沼に入り込んでしまった。
『だってそれ以外方法あるわけ？逃げられないんだよ！？死ぬ以外残されてない、でも、私は死にたくない』
小学生にして、私は袋小路に追い詰められた人生を送っていた。

当時を更に思い出すと、
万引き以外に乞食行為もやっていた。
「お金を貸して下さい」と街頭で声をかけると大人たちは助けてくれた。
ただの行動障害だが、今思い返せば、お金ではなく、優しくされたかったのかもしれない。
私のSOSなんか、まわりの大人たちはわかるはずもなく、発覚しては、私を犯罪者同様虐待していたぶった。
父に万引きがばれ、手が引きちぎれるくらいに「警察に行こう」と引っ張られた私は痛いのだけがトラウマ記憶となった。

体の帯状疱疹やアトピーも日に日に悪化した。
『かゆくて、眠れない。』
そんな日が長く続いた。
ー精神的に末期ー
本人が「助けて！」と声を上げられないのは絶望的といえるだろう。
私は心は死んでいて、体だけ生きていたのかもしれない。

あの時の彼女を抱きしめて、安全な場所と環境に連れて行ってあげたい！と切に思った。

やさしく抱きしめてあげたい。

「あなたの場所はここだよ、ちゃんと見てるよ」って