33 / 47
皇女たちは、幸せを勝ち取りました。今日も幸せです。
しおりを挟む
「皇族が贅沢三昧で、国民の流出が止まらないそうではありませんか?」
エリシアが、興味ありげに身を乗り出して言った。
「国民は国の宝、彼らがいてこそ国が成り立ちますのよ?」
ルシアは呆れたかのように、その身を椅子の背もたれへと傾けた。
「そして彼らを守るのが、我ら皇族の務めだと言いますのに……。」
「そんなこともおわかりにならないなんて……ね?」
「どのような教育を受けられたらそうなるのかしら?」
エリシアがあえて分からぬように扇の中で、クスリと小さな笑いを漏らす。
「国の内情も、かなり荒れていると聞き及んでおりましてよ?近隣諸国でも有名になるくらいに……」
姉に倣い、ルシアも静かに扇を傾けた。
「そのような国に……」
エリシアは続けて、目の前にいる他国の皇子たちへ、冷たい視線を送った。
「何故私たちが、嫁がなければならないのでしょうか?」
続けてルシアが冷たい視線を、皇子たちへと落とす。
「ヴァーミリオン皇国の援助さえあれば、我が国の威厳などすぐに――」
「私たちは、本当に皇女様たちを愛して……」
皇子たちが、慌てて弁明するも。
「援助など、国民を大事に出来ないあなたたちに、何故しなくてはならないのです?」
エリシアがそう言い捨てた。
続けて、ルシアが扇を打ち鳴らす。
「先ほどの会話で、あなた方の愛とやらは、よく理解したつもりです。」
そして、ルシアが言い捨てた後。
パシン!
扇が叩き鳴らされる音が、謁見の間に鋭く響いた。
「その上でまだ、そのようなことをおっしゃるとは。わたくしたちを馬鹿にしておいでかしら?」
エリシアはさらに冷え切った視線で、皇子たちを見据えた。
「馬鹿にしているのは、そっちだろう!」
とうとう第二皇子が切れた。
「女というものは、男の決断を支える立場にあるはずだろう!」
つづけて、第三皇子も切れだした。
「あらあら怖いこと。」
「怒鳴れば言うことを聞くとでも、お思いなのかしら?」
「哀れだわ。」
「哀れね。」
皇子たちの怒鳴り声を異に返すこともなく、皇女たちは扇で口元を隠しながら答えた。
「こ、このような屈辱を受けるのは初めてだ!決闘を申し込む!」
「そうだ!お前たちがいかに非力か、その身にたたき込んでやる!」
皇子たちは好戦的に、そう言い放った。
“選ぶ側”であると疑わなかった皇子たちは、値踏みされ、見下された現実に耐えきれず、決闘という形で尊厳を取り戻そうとしたのだ。
「分かりましたわ。」
「では、わたくしたちの未来の夫たちと決闘をしてもらいましょう。」
皇女たちはニヤリと、その大きな目を意味ありげに細めた。
「もしそちらが勝てたのなら、結婚の件は承諾しましょう。」
「ええ。もし、勝てたのなら……ね?」
怒りに我を忘れた皇子たちの前で、双子の皇女は美しく、そして怪しく微笑んでいた。
◇ ◇ ◇
「ふん!お前たち家臣程度に、この我々が……。」
「負けるはずはなかろう?」
皇子たちは鼻息荒く、目の前の二人をさげずんで見せた。
彼らの相手をするのは、皇女の代理であるアレクシスとフェリクスだった。
「私たちの未来の夫たちと、対戦していただきますわ。」
「まさか、負けるとはおっしゃいませんわよね?」
突然「未来の夫たち」と名指しされ、アレクシスとフェリクスは一瞬だけ言葉を失った。
それとは対照的に、皇子たちは顔を真っ赤にして怒りを露わにする。
「家臣などと……」
「皇国は、なんと哀れな選択を……」
明らかに上から目線である。
そんな皇子たちを前にしても、アレクシスとフェリクスは平然とし、通常運転だった。
「お前らはバカなのか?」
「恥を知れ!」
彼らはまだ、自分たちが選ぶ側だと疑っていなかった。
そんな二人の態度が気に障るのか、皇子はなおも悪態をついて見せたのだが……。
アレクシスとフェリクスは顔を見合わせることすらせず、ただ静かに相手を見返した。
結果……。
学力も剣術の試合も惨敗であった。
国家予算の再編案を問われ、皇子たちが答えたのは、自分たちに都合の良い、税収を無視した理想論だけだった。
一方、アレクシスとフェリクスは、現行制度の欠陥と隣国との交易への影響まで即座に指摘した。
皇子の剣は、自分のプライドのための剣だった。
だが、アレクシスとフェリクスの剣は、国を背負う覚悟をもった、皇女たちを守る剣として振るわれていた。
当然どちらが勝利したかは、言うまでもない。
かたや、権力を行使するだけで名ばかりのお坊ちゃま兄弟。
かたや、国の今後を見据えた皇女たちを守る忠実な臣下である。
「……では、今回はご縁がなかったということで。」
「ええ。」
皇女たちは同時に頷いた。
「二度と、同じ理由で扉を叩かれませんように。」
その言葉は、丁寧で、礼儀正しく、そして二度と立ち直れないほど、辛辣だった。
皇子たちの心は、見事なまでにへし折られ、イシャロット一行は、逃げるように帰国していった。
その背を見送りながら、皇女たちは静かに肩を並べた。
「……やれやれですわね。」
「ええ。でも、すっきりしました。」
皇女たちは知っている。
自分たちは、守られるだけの宝石ではない。
――運命すら、選び取る覚悟を持った皇女であることを。
そして今日も皇女たちは、愛しの彼らの元へと歩み寄る。
一人は、薄い水色の柔らかな髪に、サファイア色の澄んだ瞳が、眼鏡の奥に静かに隠れている。
すらっとした、細身で長身の体。
でも、剣術は意外にも強くて、そして博識。
もう一人は、赤に近い茶色のくせっ毛に、エメラルド色の意志の強さを秘めた瞳が、まっすぐに輝いている。
こちらも背は高く、すらりとして均衡のとれた体をしている。
剣術の腕は大人顔負けで、意外にも博識。
皇女たちは学術でも剣術でも、彼らに勝てたためしがない。
「アレクシス、どこに行くの?」
「フェリクス、どこに行くの?」
「ごきげんよう、エリシア様、ルシア様。今から図書館で調べ物をしようと思っております。」
「ごきげんよう、エリシア様、ルシア様。私も、今から図書館に参ります。」
アレクシスとフェリクスはいつものように、優しい笑みを皇女たちに向けた。
彼らの微笑みはいつも、皇女たちの心をふんわりと優しく包み込んでくれる。
「私たちもご一緒してもよろしくて?」
エリシアが、アレクシスの右腕に、自分の両手を絡めた。
「もちろん、いいわよね?」
ルシアが、フェリクスの左腕に、自分の両手を絡める。
「もちろんです。手伝っていただけますか?」
「とても助かります。ありがとうございます。」
アレクシスとフェリクスの依頼を皇女たちは快く引き受けた。
「「ええ、喜んで!」」
皇女たちは声をそろえ、笑った。
エリシアが、興味ありげに身を乗り出して言った。
「国民は国の宝、彼らがいてこそ国が成り立ちますのよ?」
ルシアは呆れたかのように、その身を椅子の背もたれへと傾けた。
「そして彼らを守るのが、我ら皇族の務めだと言いますのに……。」
「そんなこともおわかりにならないなんて……ね?」
「どのような教育を受けられたらそうなるのかしら?」
エリシアがあえて分からぬように扇の中で、クスリと小さな笑いを漏らす。
「国の内情も、かなり荒れていると聞き及んでおりましてよ?近隣諸国でも有名になるくらいに……」
姉に倣い、ルシアも静かに扇を傾けた。
「そのような国に……」
エリシアは続けて、目の前にいる他国の皇子たちへ、冷たい視線を送った。
「何故私たちが、嫁がなければならないのでしょうか?」
続けてルシアが冷たい視線を、皇子たちへと落とす。
「ヴァーミリオン皇国の援助さえあれば、我が国の威厳などすぐに――」
「私たちは、本当に皇女様たちを愛して……」
皇子たちが、慌てて弁明するも。
「援助など、国民を大事に出来ないあなたたちに、何故しなくてはならないのです?」
エリシアがそう言い捨てた。
続けて、ルシアが扇を打ち鳴らす。
「先ほどの会話で、あなた方の愛とやらは、よく理解したつもりです。」
そして、ルシアが言い捨てた後。
パシン!
扇が叩き鳴らされる音が、謁見の間に鋭く響いた。
「その上でまだ、そのようなことをおっしゃるとは。わたくしたちを馬鹿にしておいでかしら?」
エリシアはさらに冷え切った視線で、皇子たちを見据えた。
「馬鹿にしているのは、そっちだろう!」
とうとう第二皇子が切れた。
「女というものは、男の決断を支える立場にあるはずだろう!」
つづけて、第三皇子も切れだした。
「あらあら怖いこと。」
「怒鳴れば言うことを聞くとでも、お思いなのかしら?」
「哀れだわ。」
「哀れね。」
皇子たちの怒鳴り声を異に返すこともなく、皇女たちは扇で口元を隠しながら答えた。
「こ、このような屈辱を受けるのは初めてだ!決闘を申し込む!」
「そうだ!お前たちがいかに非力か、その身にたたき込んでやる!」
皇子たちは好戦的に、そう言い放った。
“選ぶ側”であると疑わなかった皇子たちは、値踏みされ、見下された現実に耐えきれず、決闘という形で尊厳を取り戻そうとしたのだ。
「分かりましたわ。」
「では、わたくしたちの未来の夫たちと決闘をしてもらいましょう。」
皇女たちはニヤリと、その大きな目を意味ありげに細めた。
「もしそちらが勝てたのなら、結婚の件は承諾しましょう。」
「ええ。もし、勝てたのなら……ね?」
怒りに我を忘れた皇子たちの前で、双子の皇女は美しく、そして怪しく微笑んでいた。
◇ ◇ ◇
「ふん!お前たち家臣程度に、この我々が……。」
「負けるはずはなかろう?」
皇子たちは鼻息荒く、目の前の二人をさげずんで見せた。
彼らの相手をするのは、皇女の代理であるアレクシスとフェリクスだった。
「私たちの未来の夫たちと、対戦していただきますわ。」
「まさか、負けるとはおっしゃいませんわよね?」
突然「未来の夫たち」と名指しされ、アレクシスとフェリクスは一瞬だけ言葉を失った。
それとは対照的に、皇子たちは顔を真っ赤にして怒りを露わにする。
「家臣などと……」
「皇国は、なんと哀れな選択を……」
明らかに上から目線である。
そんな皇子たちを前にしても、アレクシスとフェリクスは平然とし、通常運転だった。
「お前らはバカなのか?」
「恥を知れ!」
彼らはまだ、自分たちが選ぶ側だと疑っていなかった。
そんな二人の態度が気に障るのか、皇子はなおも悪態をついて見せたのだが……。
アレクシスとフェリクスは顔を見合わせることすらせず、ただ静かに相手を見返した。
結果……。
学力も剣術の試合も惨敗であった。
国家予算の再編案を問われ、皇子たちが答えたのは、自分たちに都合の良い、税収を無視した理想論だけだった。
一方、アレクシスとフェリクスは、現行制度の欠陥と隣国との交易への影響まで即座に指摘した。
皇子の剣は、自分のプライドのための剣だった。
だが、アレクシスとフェリクスの剣は、国を背負う覚悟をもった、皇女たちを守る剣として振るわれていた。
当然どちらが勝利したかは、言うまでもない。
かたや、権力を行使するだけで名ばかりのお坊ちゃま兄弟。
かたや、国の今後を見据えた皇女たちを守る忠実な臣下である。
「……では、今回はご縁がなかったということで。」
「ええ。」
皇女たちは同時に頷いた。
「二度と、同じ理由で扉を叩かれませんように。」
その言葉は、丁寧で、礼儀正しく、そして二度と立ち直れないほど、辛辣だった。
皇子たちの心は、見事なまでにへし折られ、イシャロット一行は、逃げるように帰国していった。
その背を見送りながら、皇女たちは静かに肩を並べた。
「……やれやれですわね。」
「ええ。でも、すっきりしました。」
皇女たちは知っている。
自分たちは、守られるだけの宝石ではない。
――運命すら、選び取る覚悟を持った皇女であることを。
そして今日も皇女たちは、愛しの彼らの元へと歩み寄る。
一人は、薄い水色の柔らかな髪に、サファイア色の澄んだ瞳が、眼鏡の奥に静かに隠れている。
すらっとした、細身で長身の体。
でも、剣術は意外にも強くて、そして博識。
もう一人は、赤に近い茶色のくせっ毛に、エメラルド色の意志の強さを秘めた瞳が、まっすぐに輝いている。
こちらも背は高く、すらりとして均衡のとれた体をしている。
剣術の腕は大人顔負けで、意外にも博識。
皇女たちは学術でも剣術でも、彼らに勝てたためしがない。
「アレクシス、どこに行くの?」
「フェリクス、どこに行くの?」
「ごきげんよう、エリシア様、ルシア様。今から図書館で調べ物をしようと思っております。」
「ごきげんよう、エリシア様、ルシア様。私も、今から図書館に参ります。」
アレクシスとフェリクスはいつものように、優しい笑みを皇女たちに向けた。
彼らの微笑みはいつも、皇女たちの心をふんわりと優しく包み込んでくれる。
「私たちもご一緒してもよろしくて?」
エリシアが、アレクシスの右腕に、自分の両手を絡めた。
「もちろん、いいわよね?」
ルシアが、フェリクスの左腕に、自分の両手を絡める。
「もちろんです。手伝っていただけますか?」
「とても助かります。ありがとうございます。」
アレクシスとフェリクスの依頼を皇女たちは快く引き受けた。
「「ええ、喜んで!」」
皇女たちは声をそろえ、笑った。
51
あなたにおすすめの小説
赤毛の伯爵令嬢
もも野はち助
恋愛
【あらすじ】
幼少期、妹と同じ美しいプラチナブロンドだった伯爵令嬢のクレア。
しかし10歳頃から急に癖のある赤毛になってしまう。逆に美しいプラチナブロンドのまま自由奔放に育った妹ティアラは、その美貌で周囲を魅了していた。いつしかクレアの婚約者でもあるイアルでさえ、妹に好意を抱いている事を知ったクレアは、彼の為に婚約解消を考える様になる。そんな時、妹のもとに曰く付きの公爵から婚約を仄めかすような面会希望の話がやってくる。噂を鵜呑みにし嫌がる妹と、妹を公爵に面会させたくない両親から頼まれ、クレアが代理で公爵と面会する事になってしまったのだが……。
※1:本編17話+番外編4話。
※2:ざまぁは無し。ただし妹がイラッとさせる無自覚系KYキャラ。
※3:全体的にヒロインへのヘイト管理が皆無の作品なので、読まれる際は自己責任でお願い致します。
一年だけの夫婦でも私は幸せでした。
クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。
フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。
フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。
更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
子供のままの婚約者が子供を作ったようです
夏見颯一
恋愛
公爵令嬢であるヒルダの婚約者であるエリックは、ヒルダに嫌がらせばかりしている。
嫌がらせには悪意しか感じられないのだが、年下のヒルダの方がずっと我慢を強いられていた。
「エリックは子供だから」
成人済みのエリックに、ヒルダの両親もエリックの両親もとても甘かった。
昔からエリックのやんちゃな所が親達には微笑ましかったらしい。
でも、エリックは成人済みです。
いつまで子供扱いするつもりですか?
一方の私は嫌がらせで寒い中長時間待たされたり、ご飯を食べられなかったり……。
本当にどうしたものかと悩ませていると友人が、
「あいつはきっと何かやらかすだろうね」
その言葉を胸に、私が我慢し続けた結果。
エリックは子供を作りました。
流石に目が覚めた両親とヒルダは、エリックと婚約破棄するも、今まで甘やかされたエリックは本当にしつこい。
ねえエリック、知ってる?
「私にはもっと相応しい人がいるのよ?」
非常識な婚約者に悩まされていたヒルダが、穏やかな結婚をするまでの物語。
婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします
たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。
荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。
「この猫に構うな。人間嫌いだから」
冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。
猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。
「君を愛することはない」と言われたので、私も愛しません。次いきます。 〜婚約破棄はご褒美です!
放浪人
恋愛
【「愛さない」と言ったのはあなたです。私はもっとハイスペックな次(夫)と幸せになりますので、どうぞお構いなく!】
侯爵令嬢リディアは、建国記念舞踏会の最中に、婚約者である王太子レオンハルトから婚約破棄を宣言される。 「君を愛することはない!」という王太子の言葉は、国中に響く『公的拒絶誓約』となってしまった。
しかし、リディアは泣かなかった。 「承知しました。私も愛しません。次いきます」 彼女は即座に撤退し、その場で慰謝料請求と名誉回復の手続きを開始する。その潔さと有能さに目をつけたのは、国の行政を牛耳る『氷の宰相』アシュ・ヴァレンシュタインだった。
「私の政治的盾になれ。条件は『恋愛感情の禁止』と『嘘がつけない契約』だ」
利害の一致した二人は、愛のない契約結婚を結ぶ。 はずだったのだが――『嘘がつけない契約』のせいで、冷徹なはずの宰相の本音が暴走! 「君を失うのは非合理だ(=大好きだ)」「君は私の光だ(=愛してる)」 隠せない溺愛と、最強の夫婦による論理的で容赦のない『ざまぁ』。
一方、リディアを捨てた王太子は「愛さない誓約」の呪いに苦しみ、自滅していく。 これは、悪役令嬢と呼ばれた女が、嘘のない真実の愛を手に入れ、国中を巻き込んで幸せになるまでの物語。
今さら執着されても困ります
メイリリー
恋愛
「これから先も、俺が愛するのは彼女だけだ。君と結婚してからも、彼女を手放す気はない」
婚約者・リアムが寝室に連れ込んでいたのは、見知らぬ美しい女だった――
アンドレセン公爵令嬢のユリアナは、「呪われた子」として忌み嫌われながらも、政略結婚によりクロシェード公爵家の嫡男・リアムと婚約し、彼の屋敷に移り住んだ。
いつか家族になれると信じて献身的に尽くすが、リアムの隣にはいつも、彼の幼馴染であり愛人のアリスがいた。
蔑まれ、無視され、愛人の引き立て役として扱われる日々。
ある舞踏会の日、衆前で辱めを受けたユリアナの中で、何かがプツリと切れる。
「わかりました。もう、愛される努力はやめにします」
ユリアナがリアムへの関心を捨て、心を閉ざしたその夜。彼女は庭園で、謎めいた美しい青年・フィンレイと出会う。
彼との出会いが、凍りついていたユリアナの人生を劇的に変えていく。
一方、急に素っ気なくなったユリアナに、リアムは焦りと歪んだ執着を抱き始める。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる