39 / 47
離婚が成立していないのは何故でしょうか?
しおりを挟む
最後まで不機嫌マックスで母親と離れるのを嫌がるヨナを、なんとか宥めて、ユーリは辺境伯と共に王都へ向かった。
馬車が動き出すまでのあいだ、ヨナリウスは母の外套の裾を小さな手でぎゅっと掴んで離さなかった。
まるで、それが最後の命綱であるかのように。
その大きな瞳いっぱいに涙を溜めていた。
「すぐ戻るわ。ちゃんと、お留守番していてね。」
何度目になるかわからない言葉を、ユーリは静かに繰り返す。
けれど、ヨナリウスは頷かない。
視線を逸らしたまま、唇を尖らせ、明らかに不機嫌を全身で主張していた。
「……やだ」
この三日間、何度もヨナリウスから発せられた言葉。
小さく、しかしはっきりとした拒絶だった。
辺境伯はその様子を見て、何も言わず、ただ一歩下がった。
口を挟めば、かえって火に油を注ぐと分かっているからだ。
ユーリは一度だけ深く息を吸い、ヨナリウスの前に膝をついた。
「王都にはね、大事なご用があるの。終わったら、必ず帰ってくるわ。ヨナはいい子ですもの。お母さんの言うこと、分かってくれるわよね?」
「……うん。」
本当は分かっている。
けれど……。
ヨナリウスは泣き叫びたい気持ちを、懸命にこらえていた。
いくら離れるのが嫌だとは言え、幼子のような態度で、母を困らせたくはない。
たとえ今、自分がまだ四歳であると分かっていても……だ。
「……」
何を言えばいいのか分からず、ヨナリウスは黙ったままでいた。
「すぐよ。遅くてもヨナが、十回寝て起きるまでには帰ってくるわ……。」
「え! 十回……」
ヨナリウスは絶望的な顔をユーリに向けた。
その顔を見て、辺境伯は思わず口を出してしまった。
「大丈夫だよ。ヨナが五回寝て起きるまでには戻ってくると、約束しよう。だから、留守番をお願いできるかな?」
ヨナリウスの視線に合うよう、その場にしゃがみ込み、辺境伯は視線を同じにしてお願いをした。
「……本当?」
ヨナリウスがやっとのことで口を開く。
「では、約束を守るために、今からお願いをしようか。」
辺境伯はそう言うと、近くにいた執事に、王都への伝令を至急送るよう言い渡す。
「ローウェン様がそうおっしゃるのなら大丈夫よ? ヨナ、お留守番をお願いできるかしら?」
「……わかった。」
ぶっきらぼうに返答するしかない、ヨナリウス。
愛する母のお願いを断るわけにはいかない。
ユーリはヨナリウスを抱き寄せ、微笑みながら額を軽く寄せた。
「約束するわ。」
「うん。絶対だよ!」
「ええ……」
ヨナリウスはその小さな手で、母親を力いっぱい抱きしめた。
しばらくの沈黙の後、ようやくヨナリウスは手を離した。
その表情は、納得というよりも、諦めに近い。
馬車が動き出す。
窓越しに見える小さな姿が、次第に遠ざかっていく。
ヨナリウスが、馬車に向かって走り出した。
その後ろを必死になってドモンが追いかけている。
そのうち、ヨナリウスの姿が見えなくなったことを確認し、ユーリは初めて馬車の中で深く腰を下ろした。
胸の奥が、ちくりと痛んだ。
「……申し訳ない。」
隣に座る辺境伯が、申し訳なさそうに頭を下げた。
「いいえ。こちらこそ、お手間を取らせてしまい、申し訳ございませんわ。」
ユーリも頭を下げる。
それからしばらく、会話もなく、ただ馬車は前へ前へと進んでいった。
ユーリは窓の外をずっと眺めていた。
王都へ向かう道中、馬車の中は穏やかだった。
街道は整備され、往来も多い。
けれど、ユーリの心だけが、どこか置いていかれたようだった。
「王都へ、この件をすぐに終わらせて帰らせてもらうよう、急ぎ伝令を出しました。大丈夫ですよ。国王も今回の事情を分かっておりますので。」
ユーリを安心させるように、辺境伯が告げる。
「いつもありがとうございます。」
ユーリの微笑みに、辺境伯は思わず顔を赤らめ、窓の外を向いてしまった。
「そうしないと、ヨナが心配ですので……。」
こうして辺境伯とユーリは、途中の宿で一泊をして、次の日の夕暮れ時には辺境伯の王都別宅へ入ることが出来た。
「ここでなら、誰にもバレないかしら?」
辺境伯の王都別宅の一室に案内され、一息ついた頃である。
ユーリは王都へ行く際、一つだけ、確認しておきたいことがあった。
自分の離婚が、きちんと成立しているかどうか、である。
愛さないと言われた契約上の結婚だ。
置き手紙にも、自分は最初からいない者だったとするよう、きちんと記載もしてある。
当然、すでに離婚は成立しているはずだと、疑う余地はない。
けれども。
やはり、自分の目で確かめてみないことには、安心できなかった。
この五年間。
自由都市シールズーから一歩も出ていないせいで、確認できずにいた不安要素だ。
シールズーにもヨナス教会はあるが、知り合いが多いため、どこでバレるかも分からない。
慎重になるに越したことはない。
ユーリはそう考えていたのだ。
このためだけに、今回だけはヨナリウスの同行を良しとしなかったのだ。
「ごめんなさい、ヨナ……。」
ユーリは心の中で、何度もヨナリウスに謝った。
夕食時。
ユーリは思いきって、辺境伯にお願いをした。
「ローウェン様、明日の朝、少しだけお暇を貰って、外出をしたいのですが……。」
その願いは、フリーダムメンバーを護衛として連れて行くという条件の下で、叶うこととなった。
辺境伯は明日、晩餐会を兼ねた皇女との謁見の打ち合わせで、朝から王城へ登城しなければならないからだ。
「息抜きも必要です。私はご一緒できませんが、楽しんでくださいね。」
辺境伯は、ヨナリウスに買うお土産を選びに行くのだろうと、思っているらしい。
「ありがとうございます。」
ユーリは満面の笑顔で、辺境伯に礼を述べた。
翌日の朝。
早くに出かけてしまった辺境伯の後で、ユーリも城下町へと出かけた。
めざしたのはもちろん、『ヨナス教会』。
一緒に着いてきたフリーダムメンバーには、
「頼まれたことがある。」
と告げて外で待ってもらい、ひとり教会の中へと足を踏み入れた。
高い天井。
静謐な空気。
祈りの声が、どこか遠くで反響している。
自分は使いの者であるといい、大司教に渡すよう、出迎えた関係者にある手紙を渡す。
それは、マジックバッグにこっそりと忍ばせていた、『アメシリア公爵家』の家紋の入った一通の手紙。
しばらくして、王都の大司教が姿を現した。
そして、大司教から告げられる、手紙の答え。
「ユリアーナ・ウィン・ヴァーミリオン公爵夫人は、離婚なぞされておりません。」
その一言が、胸に重く落ちた。
「……なぜ、ですか?」
問いかけた声は、思った以上に冷静だった。
大司教は一瞬、言葉を選ぶように視線を伏せ、帳簿を閉じた。
「奥様になら、直接お話しできますが。」
大司教は、探るような眼でこちらを見ている。
「申し訳ございません。私、さるお方に頼まれただけなので、奥様の居場所までは……」
とっさにそう言い捨て、困ったように視線を背けて見せる。
「困りましたなあ……。奥様以外には、お話しできませんというのに……。」
「さようでございますか。ではそのように伝えます。」
なおも探るような物言いをする大司教に、ユーリは早々に諦め話を切り上げた。
「それにしましても……。」
ユーリは、なおも詰め寄ろうとする大司教の話を遮り、ためらいなく寄付金の話を切り出し、念のための口止めも済ませた。
「……」
その金貨の多さに、大司教は突然、言葉を紡ぐのをやめる。
形式は整った。
けれど、胸の奥の違和感だけは、消えなかった。
教会を出たとき、空は驚くほど晴れていた。
それなのに……。
どうしてだろう。
「……離婚できない事情が、何かあるのかしら?」
胸の中に、黒い影が、静かに広がっていくのを、ユーリははっきりと感じていた。
馬車が動き出すまでのあいだ、ヨナリウスは母の外套の裾を小さな手でぎゅっと掴んで離さなかった。
まるで、それが最後の命綱であるかのように。
その大きな瞳いっぱいに涙を溜めていた。
「すぐ戻るわ。ちゃんと、お留守番していてね。」
何度目になるかわからない言葉を、ユーリは静かに繰り返す。
けれど、ヨナリウスは頷かない。
視線を逸らしたまま、唇を尖らせ、明らかに不機嫌を全身で主張していた。
「……やだ」
この三日間、何度もヨナリウスから発せられた言葉。
小さく、しかしはっきりとした拒絶だった。
辺境伯はその様子を見て、何も言わず、ただ一歩下がった。
口を挟めば、かえって火に油を注ぐと分かっているからだ。
ユーリは一度だけ深く息を吸い、ヨナリウスの前に膝をついた。
「王都にはね、大事なご用があるの。終わったら、必ず帰ってくるわ。ヨナはいい子ですもの。お母さんの言うこと、分かってくれるわよね?」
「……うん。」
本当は分かっている。
けれど……。
ヨナリウスは泣き叫びたい気持ちを、懸命にこらえていた。
いくら離れるのが嫌だとは言え、幼子のような態度で、母を困らせたくはない。
たとえ今、自分がまだ四歳であると分かっていても……だ。
「……」
何を言えばいいのか分からず、ヨナリウスは黙ったままでいた。
「すぐよ。遅くてもヨナが、十回寝て起きるまでには帰ってくるわ……。」
「え! 十回……」
ヨナリウスは絶望的な顔をユーリに向けた。
その顔を見て、辺境伯は思わず口を出してしまった。
「大丈夫だよ。ヨナが五回寝て起きるまでには戻ってくると、約束しよう。だから、留守番をお願いできるかな?」
ヨナリウスの視線に合うよう、その場にしゃがみ込み、辺境伯は視線を同じにしてお願いをした。
「……本当?」
ヨナリウスがやっとのことで口を開く。
「では、約束を守るために、今からお願いをしようか。」
辺境伯はそう言うと、近くにいた執事に、王都への伝令を至急送るよう言い渡す。
「ローウェン様がそうおっしゃるのなら大丈夫よ? ヨナ、お留守番をお願いできるかしら?」
「……わかった。」
ぶっきらぼうに返答するしかない、ヨナリウス。
愛する母のお願いを断るわけにはいかない。
ユーリはヨナリウスを抱き寄せ、微笑みながら額を軽く寄せた。
「約束するわ。」
「うん。絶対だよ!」
「ええ……」
ヨナリウスはその小さな手で、母親を力いっぱい抱きしめた。
しばらくの沈黙の後、ようやくヨナリウスは手を離した。
その表情は、納得というよりも、諦めに近い。
馬車が動き出す。
窓越しに見える小さな姿が、次第に遠ざかっていく。
ヨナリウスが、馬車に向かって走り出した。
その後ろを必死になってドモンが追いかけている。
そのうち、ヨナリウスの姿が見えなくなったことを確認し、ユーリは初めて馬車の中で深く腰を下ろした。
胸の奥が、ちくりと痛んだ。
「……申し訳ない。」
隣に座る辺境伯が、申し訳なさそうに頭を下げた。
「いいえ。こちらこそ、お手間を取らせてしまい、申し訳ございませんわ。」
ユーリも頭を下げる。
それからしばらく、会話もなく、ただ馬車は前へ前へと進んでいった。
ユーリは窓の外をずっと眺めていた。
王都へ向かう道中、馬車の中は穏やかだった。
街道は整備され、往来も多い。
けれど、ユーリの心だけが、どこか置いていかれたようだった。
「王都へ、この件をすぐに終わらせて帰らせてもらうよう、急ぎ伝令を出しました。大丈夫ですよ。国王も今回の事情を分かっておりますので。」
ユーリを安心させるように、辺境伯が告げる。
「いつもありがとうございます。」
ユーリの微笑みに、辺境伯は思わず顔を赤らめ、窓の外を向いてしまった。
「そうしないと、ヨナが心配ですので……。」
こうして辺境伯とユーリは、途中の宿で一泊をして、次の日の夕暮れ時には辺境伯の王都別宅へ入ることが出来た。
「ここでなら、誰にもバレないかしら?」
辺境伯の王都別宅の一室に案内され、一息ついた頃である。
ユーリは王都へ行く際、一つだけ、確認しておきたいことがあった。
自分の離婚が、きちんと成立しているかどうか、である。
愛さないと言われた契約上の結婚だ。
置き手紙にも、自分は最初からいない者だったとするよう、きちんと記載もしてある。
当然、すでに離婚は成立しているはずだと、疑う余地はない。
けれども。
やはり、自分の目で確かめてみないことには、安心できなかった。
この五年間。
自由都市シールズーから一歩も出ていないせいで、確認できずにいた不安要素だ。
シールズーにもヨナス教会はあるが、知り合いが多いため、どこでバレるかも分からない。
慎重になるに越したことはない。
ユーリはそう考えていたのだ。
このためだけに、今回だけはヨナリウスの同行を良しとしなかったのだ。
「ごめんなさい、ヨナ……。」
ユーリは心の中で、何度もヨナリウスに謝った。
夕食時。
ユーリは思いきって、辺境伯にお願いをした。
「ローウェン様、明日の朝、少しだけお暇を貰って、外出をしたいのですが……。」
その願いは、フリーダムメンバーを護衛として連れて行くという条件の下で、叶うこととなった。
辺境伯は明日、晩餐会を兼ねた皇女との謁見の打ち合わせで、朝から王城へ登城しなければならないからだ。
「息抜きも必要です。私はご一緒できませんが、楽しんでくださいね。」
辺境伯は、ヨナリウスに買うお土産を選びに行くのだろうと、思っているらしい。
「ありがとうございます。」
ユーリは満面の笑顔で、辺境伯に礼を述べた。
翌日の朝。
早くに出かけてしまった辺境伯の後で、ユーリも城下町へと出かけた。
めざしたのはもちろん、『ヨナス教会』。
一緒に着いてきたフリーダムメンバーには、
「頼まれたことがある。」
と告げて外で待ってもらい、ひとり教会の中へと足を踏み入れた。
高い天井。
静謐な空気。
祈りの声が、どこか遠くで反響している。
自分は使いの者であるといい、大司教に渡すよう、出迎えた関係者にある手紙を渡す。
それは、マジックバッグにこっそりと忍ばせていた、『アメシリア公爵家』の家紋の入った一通の手紙。
しばらくして、王都の大司教が姿を現した。
そして、大司教から告げられる、手紙の答え。
「ユリアーナ・ウィン・ヴァーミリオン公爵夫人は、離婚なぞされておりません。」
その一言が、胸に重く落ちた。
「……なぜ、ですか?」
問いかけた声は、思った以上に冷静だった。
大司教は一瞬、言葉を選ぶように視線を伏せ、帳簿を閉じた。
「奥様になら、直接お話しできますが。」
大司教は、探るような眼でこちらを見ている。
「申し訳ございません。私、さるお方に頼まれただけなので、奥様の居場所までは……」
とっさにそう言い捨て、困ったように視線を背けて見せる。
「困りましたなあ……。奥様以外には、お話しできませんというのに……。」
「さようでございますか。ではそのように伝えます。」
なおも探るような物言いをする大司教に、ユーリは早々に諦め話を切り上げた。
「それにしましても……。」
ユーリは、なおも詰め寄ろうとする大司教の話を遮り、ためらいなく寄付金の話を切り出し、念のための口止めも済ませた。
「……」
その金貨の多さに、大司教は突然、言葉を紡ぐのをやめる。
形式は整った。
けれど、胸の奥の違和感だけは、消えなかった。
教会を出たとき、空は驚くほど晴れていた。
それなのに……。
どうしてだろう。
「……離婚できない事情が、何かあるのかしら?」
胸の中に、黒い影が、静かに広がっていくのを、ユーリははっきりと感じていた。
74
あなたにおすすめの小説
赤毛の伯爵令嬢
もも野はち助
恋愛
【あらすじ】
幼少期、妹と同じ美しいプラチナブロンドだった伯爵令嬢のクレア。
しかし10歳頃から急に癖のある赤毛になってしまう。逆に美しいプラチナブロンドのまま自由奔放に育った妹ティアラは、その美貌で周囲を魅了していた。いつしかクレアの婚約者でもあるイアルでさえ、妹に好意を抱いている事を知ったクレアは、彼の為に婚約解消を考える様になる。そんな時、妹のもとに曰く付きの公爵から婚約を仄めかすような面会希望の話がやってくる。噂を鵜呑みにし嫌がる妹と、妹を公爵に面会させたくない両親から頼まれ、クレアが代理で公爵と面会する事になってしまったのだが……。
※1:本編17話+番外編4話。
※2:ざまぁは無し。ただし妹がイラッとさせる無自覚系KYキャラ。
※3:全体的にヒロインへのヘイト管理が皆無の作品なので、読まれる際は自己責任でお願い致します。
一年だけの夫婦でも私は幸せでした。
クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。
フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。
フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。
更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。
嫌われたと思って離れたのに
ラム猫
恋愛
私は、婚約者のカイルに嫌われたと思った。冷たくそっけなく、近づくたびに避けられる日々。
距離を置くことを選び、留学の準備も進めて心を落ち着かせようとするけれど——。
子供のままの婚約者が子供を作ったようです
夏見颯一
恋愛
公爵令嬢であるヒルダの婚約者であるエリックは、ヒルダに嫌がらせばかりしている。
嫌がらせには悪意しか感じられないのだが、年下のヒルダの方がずっと我慢を強いられていた。
「エリックは子供だから」
成人済みのエリックに、ヒルダの両親もエリックの両親もとても甘かった。
昔からエリックのやんちゃな所が親達には微笑ましかったらしい。
でも、エリックは成人済みです。
いつまで子供扱いするつもりですか?
一方の私は嫌がらせで寒い中長時間待たされたり、ご飯を食べられなかったり……。
本当にどうしたものかと悩ませていると友人が、
「あいつはきっと何かやらかすだろうね」
その言葉を胸に、私が我慢し続けた結果。
エリックは子供を作りました。
流石に目が覚めた両親とヒルダは、エリックと婚約破棄するも、今まで甘やかされたエリックは本当にしつこい。
ねえエリック、知ってる?
「私にはもっと相応しい人がいるのよ?」
非常識な婚約者に悩まされていたヒルダが、穏やかな結婚をするまでの物語。
婚約破棄されたので田舎で猫と暮らします
たくわん
恋愛
社交界の華と謳われた伯爵令嬢セレスティアは、王太子から「完璧すぎて息が詰まる」と婚約破棄を告げられる。傷心のまま逃げるように向かったのは、亡き祖母が遺した田舎の小さな屋敷だった。
荒れ果てた屋敷、慣れない一人暮らし、そして庭に住みついた五匹の野良猫たち。途方に暮れるセレスティアの隣には、無愛想で人嫌いな青年医師・ノアが暮らしていた。
「この猫に構うな。人間嫌いだから」
冷たく突き放すノアだが、捨て猫を保護し、傷ついた動物を治療する彼の本当の姿を知るうちに、セレスティアの心は少しずつ惹かれていく。
猫の世話を通じて近づく二人。やがて明かされるノアの過去と、王都から届く縁談の催促。「完璧な令嬢」を脱ぎ捨てた先に待つ、本当の自分と本当の恋——。
「君を愛することはない」と言われたので、私も愛しません。次いきます。 〜婚約破棄はご褒美です!
放浪人
恋愛
【「愛さない」と言ったのはあなたです。私はもっとハイスペックな次(夫)と幸せになりますので、どうぞお構いなく!】
侯爵令嬢リディアは、建国記念舞踏会の最中に、婚約者である王太子レオンハルトから婚約破棄を宣言される。 「君を愛することはない!」という王太子の言葉は、国中に響く『公的拒絶誓約』となってしまった。
しかし、リディアは泣かなかった。 「承知しました。私も愛しません。次いきます」 彼女は即座に撤退し、その場で慰謝料請求と名誉回復の手続きを開始する。その潔さと有能さに目をつけたのは、国の行政を牛耳る『氷の宰相』アシュ・ヴァレンシュタインだった。
「私の政治的盾になれ。条件は『恋愛感情の禁止』と『嘘がつけない契約』だ」
利害の一致した二人は、愛のない契約結婚を結ぶ。 はずだったのだが――『嘘がつけない契約』のせいで、冷徹なはずの宰相の本音が暴走! 「君を失うのは非合理だ(=大好きだ)」「君は私の光だ(=愛してる)」 隠せない溺愛と、最強の夫婦による論理的で容赦のない『ざまぁ』。
一方、リディアを捨てた王太子は「愛さない誓約」の呪いに苦しみ、自滅していく。 これは、悪役令嬢と呼ばれた女が、嘘のない真実の愛を手に入れ、国中を巻き込んで幸せになるまでの物語。
今さら執着されても困ります
メイリリー
恋愛
「これから先も、俺が愛するのは彼女だけだ。君と結婚してからも、彼女を手放す気はない」
婚約者・リアムが寝室に連れ込んでいたのは、見知らぬ美しい女だった――
アンドレセン公爵令嬢のユリアナは、「呪われた子」として忌み嫌われながらも、政略結婚によりクロシェード公爵家の嫡男・リアムと婚約し、彼の屋敷に移り住んだ。
いつか家族になれると信じて献身的に尽くすが、リアムの隣にはいつも、彼の幼馴染であり愛人のアリスがいた。
蔑まれ、無視され、愛人の引き立て役として扱われる日々。
ある舞踏会の日、衆前で辱めを受けたユリアナの中で、何かがプツリと切れる。
「わかりました。もう、愛される努力はやめにします」
ユリアナがリアムへの関心を捨て、心を閉ざしたその夜。彼女は庭園で、謎めいた美しい青年・フィンレイと出会う。
彼との出会いが、凍りついていたユリアナの人生を劇的に変えていく。
一方、急に素っ気なくなったユリアナに、リアムは焦りと歪んだ執着を抱き始める。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる