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1皿目 魔牛のステーキ
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「なんだよ、おまえ人間だったのかよ。てっきりヒト型の魔物だと思ってた」
リリアナが自己紹介のために自分の冒険者カードを見せると、テオは驚きと安堵を隠さなかった。
「失礼ね! 魔物ってなによ」
「失礼とかじゃなくて大食いのレベルがおかしいだろ。俺、おまえに食べられる覚悟までしたんだからな」
リリアナがぶすくれる。
「嫌よ、不味そうだもの。食べてくださいって懇願されたって御免だわ」
「懇願なんかするか!」
リリアナとテオのやり取りに苦笑しながらハリスが魔牛のステーキを頬張っている。
ハリスがフライパンの前から離れると、今度はリリアナがそこに陣取った。
魔法で水を出し肉を焼いたフライパンに注ぐとスプーンでかき混ぜる。
フライパンに残っている肉やハーブのくずをこそげ取るようにしてよく混ぜ合わせ、さらに追加として草原エリアで採取したハーブをナイフで手際よく刻んで入れる。
爽やかな香りと甘みがあるだけでなく、消化促進・胸やけ改善・解毒効果の高いハーブだ。
魔物の肉が体質に合わず、腹痛を起こしたり蕁麻疹が出たりすることが稀にある。
先ほどテオが魔牛のステーキを食べるのが初めてだと言っていたため、リリアナはこのハーブを使うことにした。
最後に塩・こしょうで味を調えてカップに注ぎ、一口味見する。
ハリスが肉の付け合わせに使ったハーブが、スパイシーな味だったりほのかに酸味のある味だったりとバリエーションが豊富だったため、肉の旨味と合わさって十分味わい深いスープになっている。
熱いスープが喉を通って胃に染み渡る感覚が心地いい。
リリアナは、納得のいく味に仕上がったスープに満足して大きく頷いた。
カップに注いでテオとハリスにもスープを渡すとレオリージャの前には水を置き、火を消して代わりにランタンを灯した。
テオは尚も、
「だいたい俺はこんなちっちぇえヤツに負けたわけじゃないからな!」
とぶつくさ言っていたが、スープを一口飲むと静かになった。
「湯気の立つスープ飲んだの、いつ以来だっけ」
なにかを懐かしむように目を瞑っていたテオが、ゆっくり瞼を開く。
その茶褐色の目には、ランタンのやわらかい灯りが映っている。
「美味い」
呟くようにそう言ったテオを見て、リリアナは嬉しそうにうふふっと笑い、ハリスも満足げに口元を綻ばせたのだった。
リリアナが自己紹介のために自分の冒険者カードを見せると、テオは驚きと安堵を隠さなかった。
「失礼ね! 魔物ってなによ」
「失礼とかじゃなくて大食いのレベルがおかしいだろ。俺、おまえに食べられる覚悟までしたんだからな」
リリアナがぶすくれる。
「嫌よ、不味そうだもの。食べてくださいって懇願されたって御免だわ」
「懇願なんかするか!」
リリアナとテオのやり取りに苦笑しながらハリスが魔牛のステーキを頬張っている。
ハリスがフライパンの前から離れると、今度はリリアナがそこに陣取った。
魔法で水を出し肉を焼いたフライパンに注ぐとスプーンでかき混ぜる。
フライパンに残っている肉やハーブのくずをこそげ取るようにしてよく混ぜ合わせ、さらに追加として草原エリアで採取したハーブをナイフで手際よく刻んで入れる。
爽やかな香りと甘みがあるだけでなく、消化促進・胸やけ改善・解毒効果の高いハーブだ。
魔物の肉が体質に合わず、腹痛を起こしたり蕁麻疹が出たりすることが稀にある。
先ほどテオが魔牛のステーキを食べるのが初めてだと言っていたため、リリアナはこのハーブを使うことにした。
最後に塩・こしょうで味を調えてカップに注ぎ、一口味見する。
ハリスが肉の付け合わせに使ったハーブが、スパイシーな味だったりほのかに酸味のある味だったりとバリエーションが豊富だったため、肉の旨味と合わさって十分味わい深いスープになっている。
熱いスープが喉を通って胃に染み渡る感覚が心地いい。
リリアナは、納得のいく味に仕上がったスープに満足して大きく頷いた。
カップに注いでテオとハリスにもスープを渡すとレオリージャの前には水を置き、火を消して代わりにランタンを灯した。
テオは尚も、
「だいたい俺はこんなちっちぇえヤツに負けたわけじゃないからな!」
とぶつくさ言っていたが、スープを一口飲むと静かになった。
「湯気の立つスープ飲んだの、いつ以来だっけ」
なにかを懐かしむように目を瞑っていたテオが、ゆっくり瞼を開く。
その茶褐色の目には、ランタンのやわらかい灯りが映っている。
「美味い」
呟くようにそう言ったテオを見て、リリアナは嬉しそうにうふふっと笑い、ハリスも満足げに口元を綻ばせたのだった。
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