召喚魔法使いの旅

ゴロヒロ

文字の大きさ
230 / 248

第230話

しおりを挟む
 十階層のボス部屋の前に着いたのはお昼前だった為、昼食を食べてからアルたちは冒険者たちの列を並んでボス部屋の中に入って行った。

 十階層のボス部屋にはアイアンガーゴイルと取り巻きのガーゴイルが居た。

 「ボスだけど俺の番だから、何があっても手を出すなよ。」

 一言、ユキたちに告げると、闘気を纏ってアイアンガーゴイルたちに向かって走る。

 一気にアイアンガーゴイルとの距離を詰めると剣を振り抜いて一閃する。

 アイアンガーゴイルに当たる瞬間、剣に纏わせている闘気の量を増やしての一閃でアイアンガーゴイルは二つに両断することが出来た。

 ボスのアイアンガーゴイルを一撃で倒したアルは、残りの取り巻きであるガーゴイルを始末して行き、ボス部屋にはアルと召喚獣の三匹、そして幾つもの灰の山と宝箱だけになっていた。

 『余裕でしたね。あるじ様。』

 「レッサーキッズドラゴンよりは強くなかったからな。ドロップアイテムの回収をしてくれ。」

 シェーレの言う通り、余裕を持って一撃でボスのアイアンガーゴイルと取り巻きのガーゴイルを倒したアルは、ドロップアイテムを拾うのをユキたちに任せると、宝箱に罠が仕掛けられていないのかを確認してから宝箱を開けた。

 『ドロップアイテム、持って来たです!それで宝箱には何が入っていたのです?』

 「ハズレだった。鉄のインゴットだったよ。」

 今回のボス部屋で得られた宝箱には鉄のインゴットが二十個ほど入っており、アルとしてはハズレだった。

 「生産で作れるから、まあ良いか。ドロップアイテム、落ちていたか?」

 『私のところは魔石しか落ちていなかったです!』

 『あるじ様、魔像の心臓が落ちていました。』

 『……ぼくの方も……落ちてた……魔像の心臓。』

 「これで魔像の心臓も五つ集まったな。このダンジョンの攻略が終わったら、これを使って作ってみるか。」

 鉄のインゴットを魔法の収納空間に仕舞って行き、ユキたちが集めた魔石や魔像の心臓を収納していく。

 そして、アルは魔像の心臓を使ってゴーレム馬車やゴーレム、ガーゴイルを作ってみようと思いながら十一階層に向かった。

 「ここからは階層を全部回って進むぞ。現れるモンスターに気を付けろよ。」

 『はい、気を付けてぶっ殺すです!』

 『数が多くてもレッサーキッズドラゴンよりは強くないでしょうから、油断しなければ大丈夫ですよ。』

 『……一発で……倒す。』

 三匹共、やる気が十分なようで張り切っている。これなら一匹だけで数の多いモンスターと戦っても勝てるだろう。

 そう思いながら十一階層を進んで行くと、初遭遇のモンスターを発見した。

 「あれはロックワーム。消化液噴射と土魔法を使うから気を付けろ。ユキ。」

 『分かったです!』

 魔法でモンスターを鑑定すると、ロックワームという全身が岩のように硬い皮膚をしたミミズのようなモンスターだ。

 アルたちの前に出たユキはまだ離れている六匹のロックワームを狙い、角に溜めた闘気を放って狙撃を行なっていく。

 角状の闘気弾は回転してドリルのように進んで行き、ロックワームの皮膚を削り取って穴を開ける。

 流石に角状の闘気弾の大きさが、それほど大きくはなかった為、ロックワームは痛みに悶えてクネクネとしているが生きている。

 その場で悶えているロックワームにユキは一気に距離を詰めると、ロックワームに蹴り技を放ち、角で突きを行ない、至近距離から闘気弾を撃って倒して行った。

 「もうそろそろ終わるな。ユキのところに行くよ。」

 『はい、あるじ様。』

 『……分かった。』

 アルたちは、最後のロックワームを踏み付けて倒したユキの元に向かって移動すると、途中で灰の山から魔石とドロップアイテムを拾っていく。

 「ロックワームはどうだった?」

 『よわよわです!』

 ユキとしては、ロックワームは物足りなかったようだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界の貴族に転生できたのに、2歳で父親が殺されました。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー:ファンタジー世界の仮想戦記です、試し読みとお気に入り登録お願いします。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

【書籍化決定】ギルドの片隅で飲んだくれてるおっさん冒険者

哀上
ファンタジー
チートを貰い転生した。 何も成し遂げることなく35年…… ついに前世の年齢を超えた。 ※ 第5回次世代ファンタジーカップにて“超個性的キャラクター賞”を受賞。 ※この小説は他サイトにも投稿しています。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

無魔力の令嬢、婚約者に裏切られた瞬間、契約竜が激怒して王宮を吹き飛ばしたんですが……

タマ マコト
ファンタジー
王宮の祝賀会で、無魔力と蔑まれてきた伯爵令嬢エリーナは、王太子アレクシオンから突然「婚約破棄」を宣告される。侍女上がりの聖女セレスが“新たな妃”として選ばれ、貴族たちの嘲笑がエリーナを包む。絶望に胸が沈んだ瞬間、彼女の奥底で眠っていた“竜との契約”が目を覚まし、空から白銀竜アークヴァンが降臨。彼はエリーナの涙に激怒し、王宮を半壊させるほどの力で彼女を守る。王国は震え、エリーナは自分が竜の真の主であるという運命に巻き込まれていく。

処理中です...