オーバードライブ ・エロス〜性技カンストの俺が魔王をイカせるまで帰れない世界〜

ぽせいどん

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第32話 ー決戦、魔王との在り様ー

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魔王城の大広間は、黒い炎と光の衝突に震えていた。
 天井を覆う漆黒の結晶は、剣戟の余波に亀裂を走らせ、砕け落ちるたびに轟音を響かせる。
 レイジは剣を振り抜きながら、目の前に立つ「彼女」を見据えていた。

 魔王――その存在はただそこに在るだけで、世界を支配してきた理そのものだった。
 紅玉のような瞳は妖艶に輝き、黒炎を纏った肢体は、凛然とした美しさと官能を同時に湛えている。
 女神のような威厳と、サキュバスのような淫靡さを兼ね備えた姿。その存在感が、大広間全体を圧する。

 「……まだ抗うか。人の身で、ここまで私に刃を届かせるとは……」
 魔王の声は、艶を含んだ吐息と共に広がる。
 耳に触れた瞬間、心臓が跳ね、血が熱を帯びる。
 それは攻撃でも防御でもない。ただ“在り様”の発露――魔王そのものが放つ官能的な力だった。

 レイジは奥歯を噛み締め、膝が揺らぐ感覚を必死に抑え込む。
 「……あんたの在り様は……力に縛られすぎている。俺たちは違う」

 彼の声に呼応するように、背後から双姫が駆け寄る。
 セレーナは冷徹な眼差しを保ちながら、鮮やかな魔術陣を紡ぎ、光の矢を放つ。
 リリィナは逆に、艶やかな笑みを浮かべ、軽やかに魔王を挑発するように跳躍する。

 「ねぇ、魔王さま――そんなに強がっちゃって。本当は……気持ちよくなりたくて震えてるんじゃない?」
 「黙れ、小娘……!」

 魔王の吐息が震えた瞬間、空気が痺れる。
 黒炎が奔流となり、広間全体を呑み込もうと広がった。
 セレーナが咄嗟に魔術障壁を展開するが、その衝撃に床がひび割れ、背筋を刺すような熱が全員を貫いた。

 「っ……レイジ、まだ持つ?」
 「当たり前だ……俺たちはもう引けない!」

 レイジは剣を強く握りしめた。
 剣先に宿るのは、ただの力ではない。仲間と積み重ねた記憶と、未来を切り開こうとする意志。
 その熱は、魔王の官能的な圧力さえ打ち払う。

 魔王の瞳が揺らいだ。
 「……愚かだな。それがどれほど無力か、わからぬか」

 彼女の声は冷酷でありながらも、どこか甘美に掠れていた。
 それは――揺さぶられている証拠だった。

 広間に轟く衝撃は、雷鳴のように壁を揺らした。
 レイジの剣が魔王の黒炎を切り裂き、紅蓮の光が火花のように散る。その一瞬の隙を突くように、リリィナが細身の短剣を振るい、魔王の腰へと斬りかかった。

 だが、魔王の動きは艶やかで、獲物を翻弄する舞姫のごとく流麗だった。
 リリィナの刃は寸前で逸らされ、逆に腰を絡めとるような蹴りが返ってくる。
 「きゃっ……!」
 リリィナの身体が宙に弾かれ、床に転がる。すぐにセレーナが詠唱で結界を張り、追撃を防いだ。

 「……無駄な抵抗ばかり。だが……その無謀さ、嫌いではない」
 魔王の声は、甘やかに濡れた響きを帯びていた。
 その艶声に包まれた瞬間、全員の耳に快楽の余韻が忍び込む。まるで指先で愛撫されたかのような錯覚。
 呼吸が浅くなり、鼓動が速まる。魔力ではない。魔王の“在り様”そのものが、心と肉体に淫靡な影響を及ぼしていた。

 レイジは一瞬、膝が震えそうになる。だが彼は剣を突き立て、己を支えた。
 「……俺は、負けない。仲間を……未来を、守るために!」

 その声に呼応するように、セレーナの瞳が強く光る。
 「ええ、そうよ。ここで折れたら、私たちの全てが無駄になる!」
 彼女の魔術陣が輝き、天井から無数の光槍が降り注ぐ。

 魔王は腕を広げ、黒炎を纏った翼のような障壁でそれを弾く。
 だが光と闇がぶつかり合うたびに、彼女の白い喉元がわずかに震え、艶やかな吐息が洩れる。

 「はぁ……くっ……。この感覚……久しいな……。抗う者の熱が、私の深奥を刺激している……」

 その言葉に、リリィナが床から跳ね起きた。
 「ほらね! やっぱり効いてるんじゃない。あんたも……感じちゃってるんでしょ!」
 挑発的に笑みを浮かべ、彼女は魔王の正面に飛び込む。
 短剣と黒爪が交錯し、火花が弾けた。

 レイジは隙を逃さず、魔王の背後へ回り込む。
 剣に宿る光が強烈な輝きを帯び、振り下ろされた瞬間――
 「……っ!」
 魔王の背筋がわずかに仰け反る。衣の布地が裂け、透き通るような白肌が覗いた。

 ただの傷ではない。
 魔王の艶めいた肢体に、痛みと快楽が同時に走ったのだ。
 彼女は眉を寄せながらも、紅の瞳を蕩けるように揺らがせる。

 「く……ふふ……。人間風情が……ここまで私を昂らせるとはな」
 言葉とは裏腹に、その声音は濡れた熱を帯びていた。

 レイジの胸に確信が灯る。
 「……効いてる。俺たちの在り様は、確かに魔王に届いてる!」

 広間の空気はすでに戦場ではなかった。
 力と力のぶつかり合いは、快楽と官能の交錯へと変質しつつあった。
 次の瞬間、誰もがそれを悟った。
 ――この戦いは、ただの戦闘ではない。魔王を「イカせて」打ち倒す、命を賭した官能の決戦なのだと。

 黒炎が渦を巻き、広間を淫靡な香気で満たしていった。
 燃え盛るはずの炎は熱を奪い、代わりに甘く蕩けるような快感を全員の肌へと絡みつかせる。

 「くぅっ……! な、なんなのこれ……」
 リリィナが短剣を握る手を震わせた。熱いはずの黒炎は、まるで舌で丹念に這われるように、全身をくすぐり続けていた。彼女の頬は紅潮し、唇は熱を帯びて開きかけている。

 「……魔王の“在り様”だ。戦うだけで……淫らに蝕まれていく」
 セレーナもまた額に汗を浮かべ、苦悶と陶酔の狭間に立たされていた。彼女の結界は揺らぎ、光が震えるたびに衣の隙間から素肌が覗く。

 そんな二人を前に、魔王は愉悦を隠そうともせず微笑んだ。
 「感じているのだろう? 戦うことそのものが、私との交合に等しいのだから……」

 その声が、直接脳を撫でるように響く。
 耐えようとする意思が、甘く蕩かされていく。

 だが、レイジは剣を握り締めた。
 (……これじゃ、ただ溺れるだけだ。だが――)
 彼の脳裏に、数々の修練がよぎる。官能と戦闘を融合させた独自の戦法。
 「……そうだ。なら、逆に利用してやる!」

 レイジは意識的に魔王の黒炎を受け入れた。
 快感に抗わず、あえて呑み込む。すると、震えが制御へと変わり、彼の剣先に官能の熱が宿った。

 「なっ……?」
 魔王の瞳がわずかに揺らぐ。
 レイジの剣が閃き、彼女の衣を大きく裂いた。黒と紅に彩られた衣装が床へ舞い落ち、艶やかな双丘と腰の曲線が露わになる。

 「はぁっ……ふふ……。なるほど、そういう在り様か」
 魔王の吐息は熱を帯び、頬に朱が差していた。快感を与えるつもりが、逆に自らも煽られてしまう――その事実に気づいたのだ。

 リリィナが笑う。
 「ほら、やっぱり効いてる! あんたも……もう我慢できないんじゃない?」
 彼女はわざと胸元をはだけ、艶やかな笑みを浮かべながら魔王に迫った。

 魔王は一瞬だけ息を呑むが、次の瞬間には妖艶な笑みに変わる。
 「小娘が……。だが、挑発は甘美だな」
 黒爪が閃き、リリィナの服を切り裂く。布が散り、白い肌が露出する。リリィナは一瞬怯みながらも、艶笑を崩さなかった。

 「ふふ、もっと見たいんでしょ? だったら……倒してみなさいよ!」

 セレーナは双子の妹の無謀さに眉を寄せたが、すぐに理解した。
 「……そう。力で勝てないなら、官能で揺さぶる。なら、私も……!」
 彼女は自ら衣の裾を解き、魔術と共に艶やかな姿を晒す。
 白い太腿に魔力の文様が浮かび、光と官能が重なり合った。

 「……くっ……ふふ……。これは、たまらない」
 魔王の吐息は次第に熱を増し、その身体は戦いの中で次第に震えていく。

 レイジは仲間の覚悟を見て、剣を再び握り直した。
 「魔王……お前を、俺たちの在り様で打ち倒す!」

 広間はもはや戦場ではなかった。
 快楽と戦闘が入り混じる、淫靡な決闘の舞台。
 魔王の吐息が甘く蕩け、剣と爪の交錯が肉体の官能を響かせる――。

 決着の気配は、確実に近づきつつあった。

 広間は、甘美な熱と黒炎の揺らぎに包まれていた。
 魔王の吐息はすでに乱れ、豊満な胸が大きく上下している。爪を振るうたびに快感が全身を震わせ、瞳の奥に支配者の威厳と女の本能がせめぎ合っていた。

 「ふふ……っ、くぅ……。これが……お前たちの在り様か……」
 その声にはもはや余裕がない。艶めく声がこぼれるたび、広間の空気はさらに熱を帯びていった。

 リリィナが跳ねるように魔王へ飛び込み、短剣を閃かせる。だが狙いは急所ではなく、彼女の衣を切り裂くことだった。
 「ほら、もっと見せてよ! 女王様の本性を!」
 布が裂け、魔王の白く輝く腰と腿が露わになる。その瞬間、魔王の顔に羞恥と悦楽が交錯した。

 セレーナも続いた。魔力を編んだ結界が波打ち、彼女の指先が魔王の首筋に触れる。
 「……貴女も女。なら、この快楽に抗えない」
 魔術は熱となって魔王の神経に流れ込み、甘い痺れを与えた。魔王は呻き声を上げ、足がわずかに震える。

 「く……っ、あぁっ……! だが、私は……魔王だぞ……っ!」
 彼女は最後の抵抗を見せるように黒炎を放つ。しかし、その炎は逆に自らの快感を増幅し、呻き声を艶やかな絶叫へと変えてしまう。

 その隙を突き、レイジが一歩踏み込んだ。
 剣に宿した光が、官能の熱と一体となり、彼の身体から溢れ出す。
 「……終わりだ、魔王。お前はこの快楽に溺れて、俺たちに負ける!」

 剣先が魔王の胸元をなぞり、そこから奔った光は彼女の全身へと広がった。
 魔王の身体が仰け反り、声が絶叫へと変わる。

 「ああああああああっ――――!」

 その叫びは苦痛ではなく、最高潮の絶頂の声だった。
 黒炎は霧散し、彼女の身体から力が抜けていく。脚が崩れ、広間の床に膝をついた魔王は、荒い呼吸を繰り返しながら、なおもレイジたちを見据えた。

 「……っはぁ、はぁ……。見事だ……。お前たちの在り様……。私を……凌駕した……」
 その瞳には敗北の悔しさではなく、どこか安堵にも似た光が宿っていた。

 リリィナが剣を下ろし、息をつきながら笑った。
 「ふふ、女王様も……結局は女の子。イカされちゃえば、もう敵じゃないね」

 セレーナは妹を咎めることなく、静かに頷いた。
 「けれど、これは終わりではない……。魔王が保っていた均衡が崩れる。世界は、新たな混沌を迎えるでしょう」

 レイジは倒れ伏した魔王を見つめた。
 その美貌はなおも艶やかで、敗北の姿さえ妖しく神々しかった。
 「魔王……。お前は世界を支配していたんじゃない。均衡を……守っていたのか」

 魔王はうっすらと笑みを浮かべた。
 「……そうだ。私を倒したその先に……まだ見ぬ地がある。人の形をせぬ、恐ろしき淫欲の化け物ども……。そして、その頂点に立つ“五つの天凶”が……」

 彼女の言葉が途切れると同時に、全身の力が抜け、魔王は静かに崩れ落ちた。

 広間に、沈黙が訪れる。
 だがそれは、勝利の静寂ではなく、次なる嵐の前触れであることを、誰もが直感していた。
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