オーバードライブ ・エロス〜性技カンストの俺が魔王をイカせるまで帰れない世界〜

ぽせいどん

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第47話 ー羞恥の探索、古代の手がかりー

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 淫蠱母の巨体が酸の海に沈み、洞窟が静まり返ってから、どれほどの時間が経っただろうか。レイジたちは互いに肩で息をし、荒れた呼吸を整えようとしていた。勝利の余韻が確かに胸に残っているはずなのに、誰もが顔を上げるのをためらっていた。理由はひとつ――戦いの代償だった。

 衣服は酸に焼かれ、もはや布切れ同然。防具は完全に失われ、武器は砕け、杖は折れ、影糸は摩耗していた。いまの彼らは戦士というより、裸に近い姿で震えている旅人の集団に過ぎなかった。

 セレーナは破けた裾を必死に押さえ、頬を赤らめながら呟いた。
 「こ、こんな格好で……外に出るなんて……」
 普段は冷静な姉である彼女が、羞恥に震える姿は痛々しくもあり、仲間の胸を締め付けた。

 カリーネもまた、外交官らしい気品を保とうとしたが、焼け落ちた衣の隙間から白い肌がのぞくたびに耳まで赤くなった。
 「わ、私は平気……じゃない! こんな状態、誰かに見られたら死ぬほど恥ずかしいのに……」

 影の王女は表情こそ冷徹だが、彼女でさえ裂けた衣を隠すように腕を組んでいた。
 「……不快だ。影で覆いたいが、糸は使い果たした。屈辱的だな」

 レイジは彼女たちを見回し、深く息を吐いた。自分もまた剣を失い、鎧も焼け落ち、裸に近い姿を晒している。羞恥と恐怖を力に変えて勝ち残ったとはいえ、このままでは次の戦いなど到底望めない。
 「……とにかく、服と武器を探そう。どんなボロでもいい、今のままじゃ動くことすら危うい」

 一行は洞窟を抜け出し、外の森へと踏み出した。そこは未開の大陸の縁、濃霧に覆われた湿地帯だった。空気は湿り気を帯び、木々は異様に大きくねじれている。葉は鋭利な刃のように光を反射し、踏みしめた土からは甘い香りとともに小さな光の粒が舞い上がった。

 「……ここもまた、普通じゃない」
 カリーネが呟いた。外交官として世界の多くを見てきた彼女ですら、この大陸の自然には背筋を凍らせた。

 セレーナは破れた裾を気にしつつ、仲間に目を向けた。
 「どこかに廃墟か、集落の跡地でもあれば……」

 その言葉の直後、彼女の裾が枝に引っかかり、びりっと裂けた。白い脚が露わになり、彼女は慌てて裾を押さえ、悲鳴を上げた。
 「きゃあっ! も、もう最悪……!」
 顔を真っ赤にしてうずくまるセレーナに、カリーネと影の王女も思わず目を逸らし、レイジは「落ち着け!」と声を荒げた。

 羞恥と不安を抱えながらの探索が始まった。だが彼らはまだ知らなかった。この先で出会うのは、ただの衣や武器ではなく、この大陸に眠る古代文明の痕跡――そして天凶を倒すための希望そのものだということを。

 森の湿気は、肌に張りつくようにまとわりついた。普段なら木陰の涼しさを心地よく感じられるはずが、いまの彼らにとってはむしろ羞恥を際立たせる重苦しい幕だった。酸に焼かれて失われた衣の代わりにまとっているのは、ほとんど布切れ同然の即席の腰布や裂けたマントの切れ端。それを必死に押さえながら進む姿は、戦士というよりも遭難者の一団のようだった。

 「この状態で人里にでも出くわしたら……」
 カリーネは赤面し、言葉を途中で飲み込んだ。外交官としての威厳を何より重んじてきた彼女が、わずかに残った布を気にして歩く姿は、内心の苦悩を如実に物語っていた。

 セレーナもまた、破けた裾を必死に押さえながら歩いていた。だが、草の葉に足を取られて転びかけ、咄嗟に手をついた拍子に胸元の裂け目が大きく開く。
 「ひゃっ……! な、何も見てないわよね!?」
 彼女は必死に胸元を直しながら、レイジに睨みを向けた。だが彼女の大きな乳房は露呈している。レイジは慌てて視線を逸らし、咳払いをした。
 「だ、誰も見てねえ! っていうか前を見ろ、危ないから!」

 影の王女は冷静さを装っていたが、彼女とて酸に焼かれた外衣は腰の辺りで辛うじて繋がっているだけだった。ふとした風で布がめくれ上がり、思わず片手で押さえる。その仕草を見たセレーナが頬を赤くして口を尖らせた。
 「ほら、やっぱり……! 誰だって恥ずかしいのよ!」
 影の王女は冷ややかに返した。
 「羞恥など取るに足らない。だが……視線は感じる。まったく鬱陶しい」

 一行は小川を渡ろうとしたが、湿地のぬかるみに足を取られたセレーナとカリーネが同時に転んだ。水飛沫と泥が舞い上がり、布切れ同然の衣はさらに重く濡れて体に張りつく。
 「や、やだ……透けて……!」
 完全に乳首は露わになっている。
 「ちょ、直視禁止!」
 二人は顔を真っ赤にして互いを背にしながら泥を払い、レイジは頭を抱えて深く息をついた。

 羞恥に翻弄される中でも、影の王女の鋭い目は周囲を見逃さなかった。木々の間に、不自然に直線的な石の列が並んでいることに気づいたのだ。苔むした石柱が並び、その表面には風化した文字のような刻印がある。
 「……見ろ。これは自然のものではない。人工物だ」

 仲間たちが振り返ると、そこには朽ちかけた石造りの回廊の跡が広がっていた。壁面には奇妙な壁画が描かれている。人に似た姿の者たちが巨大な異形と対峙し、その手には光る武器のようなものを握っている。

 セレーナは息を呑んだ。
 「これって……まさか、古代文明……?」

 カリーネは壁画を指でなぞり、真剣な表情になった。
 「武器を掲げ、異形に立ち向かう人々……ここに、私たちが探すべき手掛かりがあるかもしれない」

 羞恥と不安の中で進んできた彼らに、ようやく差し込んだ一筋の光。古代文明の痕跡が、彼らを待っていた。

 苔むした石の回廊を抜けると、薄暗い空間が彼らを迎えた。湿った空気の中に漂うのは、ただの土の匂いではない。どこか鉄と乳香が混ざったような、時代を超えた息吹だった。崩れかけた柱には人の手による装飾が残り、天井の一部からは光の筋が差し込んでいる。その光は床に描かれた巨大な紋章を照らし出していた。

 セレーナが慎重に歩み寄り、裂けた裾を押さえながら紋章を見下ろした。
 「……これ、武器を模している……?」
 彼女の指先が石に刻まれた模様をなぞる。中央には刃を象徴する形があり、その周囲を光輪のような紋様が取り囲んでいた。

 「古代の神器……天凶を封じるために造られたものかもしれないな」
 レイジは低く呟いた。衣はほとんど失われ、肩を覆うものもない状態だったが、目は真剣だった。

 だがその時、影の王女が足を止めた。崩れた階段を降りようとした瞬間、壁が崩れ、石の破片が彼女の外衣を引き裂いたのだ。布切れが床に舞い落ち、残されたのはほとんど隠す部分のない肢体。
 「……っ……」
 普段は冷徹な彼女も、唇をかすかに震わせ、思わず腕で体を覆った。

 セレーナとカリーネも慌てて背を向けた。
 「だ、大丈夫!? 怪我は……」
 「……こ、これは事故よ! 誰も見なかったことにして!」
 赤面する声に、レイジは頭を掻きむしった。羞恥に気を取られている場合ではないのに、胸の奥が妙に熱くなる。

 奥へ進むと、石壁に残された碑文が目に入った。崩れかけて読みにくかったが、ところどころに「封印」「武器」「天凶」という文字が刻まれているのがわかる。

 カリーネが石に手を触れ、慎重に読み解いた。
 「……“五つの災厄を封じるため、力ある器を造り、ここに眠らせる”……そう記されているわ」
 「五つ……」セレーナが呟き、影の王女が冷静に続けた。
 「つまり、この遺跡には天凶と戦うための神器が眠っている可能性がある」

 胸を高鳴らせながらも、四人は互いに顔を見合わせた。衣も武器も失い、羞恥と不安に晒され続けてきた彼らにとって、これはまさに救いの光だった。

 その時、上空から冷たい風が吹き抜け、壁に刻まれた紋章が淡く光を放った。まるで彼らの存在を試すかのように――。

 壁面の紋章が淡い光を放った瞬間、四人は思わず立ち止まった。青白い光が回廊全体を照らし、苔むした石床に走る亀裂の隙間から、かすかな風が吹き上がってくる。まるで「この下に道がある」と告げるかのように。

 「……見えるか?」
 レイジが剣の残骸を突き立て、床を探ると、石がかすかに沈み込む音が響いた。次の瞬間、重い石板がずれ、地下への階段が露わになった。

 セレーナは息を呑み、胸元を押さえたまま階段を見下ろした。
 「これが……神器の眠る場所……?」
 声が震えているのは期待か、それとも羞恥の余韻か。酸に焼かれた布はわずかに残るだけで、彼女の動きに合わせて危うくはだけそうになる。

 「気をつけろ」
 影の王女が冷ややかに言ったが、その彼女もまた外衣の大半を失い、階段を降りる際に片腕で必死に腰を押さえていた。冷徹な視線と裏腹に、その仕草には赤らみが滲んでいる。

 カリーネは外交官らしい冷静さを取り戻そうとしたが、湿った階段に足を滑らせ、思わずレイジにしがみついた。濡れた布切れがずり落ちかけ、彼女は慌てて直しながら叫ぶ。
 「み、見てないで助けてよ!」
 「お、おう!」
 レイジは顔を逸らしながらも腕を伸ばし、彼女を支えた。羞恥と滑稽さが入り混じり、緊張感を和らげる一幕だった。

 階段の先は広間に繋がっていた。壁一面に古代文字が刻まれ、中央には石棺のような台座が据えられている。その周囲には人の姿を模した像が並び、いずれも武器を掲げる形をしていた。

 セレーナが壁を照らし、碑文を読み上げる。
 「“ここに眠るは、五つの災厄を討つため鍛えられし器。心正しき者にのみ、その力を委ねる”……」

 カリーネが真剣な面持ちで続ける。
 「つまり、ここに神器がある。そして……我々がそれを試される」

 レイジは仲間の顔を見渡した。誰もが衣を失い、羞恥に頬を赤らめている。それでもその瞳の奥には、次の戦いへの決意が宿っていた。

 「よし……ここからが本番だ」

 そう呟いた瞬間、石棺の台座が低く唸りを上げ、青白い光が天井へと走った。まるで彼らの存在を認め、試練の始まりを告げるかのように。
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