オーバードライブ ・エロス〜性技カンストの俺が魔王をイカせるまで帰れない世界〜

ぽせいどん

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第1話 ーこの世界、快感が魔力らしいんだがー

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「……っ、あつ……」

目を開けると、そこには異様なまでに甘ったるい香りが満ちていた。
熟れた果実を煮詰めたような芳香。奥にスパイスと、ほんの少しの汗の香りが混ざる。現実には存在しない種類の匂いだった。

天井は高く、アーチを描いた大理石の天蓋には、金細工で描かれた花模様。まるでエロティックな中世の王宮──いや、娼館のVIPルームのようだった。淡いランプが壁に並び、透けるカーテンが空気に揺れている。

(あれ……俺……死んだんじゃ……?)

確か、深夜のコンビニ帰りにトラックに──ああ、あの音。骨の砕ける感触。鮮明すぎて思い出したくない。
でもそれが本当なら、今こうして見知らぬ天井を眺めているのはおかしい。

思考を巡らせていると、ふと、胸に“なにか”が当たっているのに気づいた。

「……んっ、やっと起きた?」

聞き覚えのない女の声。
柔らかく、そして妙に艶を帯びた声音。振り返ると、そこにはとんでもなくエロい格好をした女の子がいた。

髪はラベンダー色、耳は長く尖っていて──エルフ、だろうか?
彼女は上半身にレースの透けた布1枚、下は……ほぼ何も履いていない。肌が、艶めいて光っている。まるで潤滑油でも塗られているようだった。

そして彼女は、俺の胸の上に跨っていた。

「きゃっ♡ すっごい硬くなってる……ふふ、初対面なのに素直すぎ」

彼女の手が、俺の腹を這うように下へ向かう。意識がそこに集中して、思わず声が漏れた。

「ま、待て待て!ちょ、今どんな状況なんだこれ!?」

「えー、だって“エクスタシア”の転生者って、まずは初回調整が必要でしょ?この部屋、専用よ?」

彼女は言葉を投げるたびに、腰をくねらせ、ぴったりと自分の太ももを俺の脇に沿わせてきた。
そのたびに、触れ合う肌が熱を持つ。理性の淵に追いやられる感覚。だが必死に堪えながら、俺は混乱を吐き出すように問いかけた。

「転生……ってことは、ここ、異世界なのか……?」

「うん。あなたはこの世界じゃ珍しい“性技カンスト者”。快感で人を癒やす、快楽魔導士ってとこね。ほら、確認してみて」

言われるがまま、視界の端に意識を向けると、突如、空間にウィンドウが浮かんだ。

_(ヴンー)_
▶ 神谷 レイジ(Lv1)
【性技】:999(伝説級)
【誘惑】:321(中毒性あり)
【快感耐性】:∞(数値化不能)
【絶頂干渉】:MAX
【剣術】:0(カスですスライムにも負けます)
【MP(M性感度)】:1000/1000

「なんだこれ?この数値……バグってるやん」

「でしょ?すごいでしょ?あなたの“エロ”はこの世界を救えるって話よ」

そう言いながら、彼女は胸を寄せてきた。2つの膨らみが俺の頬を挟み、言葉を封じる。

「名乗りが遅れたわね。私はリリア。貴族付き快楽調教師。あなた専属よ」

そう言ってウィンクするその顔が、妙にプロっぽくて、ますます混乱する。だが、彼女の言葉はさらに信じがたい方向へ転がっていった。

「この国では、“性的スキル”で敵を倒すのが常識なの。剣も魔法もあるけど、究極の戦術は快感の制御。魔王すら──“イカせれば”倒せるの」

「……いや、イカすって」

「文字通りよ。イカせすぎると、魔力が抜けて死ぬの。伝説の快楽死ってやつ」

すごい世界観だ。
俺は神妙に天井を見上げ、思った。

(つまり俺は、“精力で世界を救う勇者”になったわけか……)

「ね、テストしない?」

リリアが小さく言った瞬間、彼女の指が俺の下腹部に触れた。
そこから一気に電流のような刺激が駆け抜ける。

「うっ……!?」

【スキル:快感誘導Lv5 発動】
【対象のMPが20増加しました】
【好感度が +3 上昇しました】

「ふふっ、可愛い声。男の人って、こうなるとちょっと幼くなるわよね」

「うるせぇ……!」

だが、その声にも言い返す力はなかった。
彼女の指が繊細に、しかし確実に性感帯をなぞるたびに、俺の全神経はそこに集中していく。

(くそ……!くる……!)

【耐性チェック:成功】
【反撃スキル:絶頂干渉カウンター Lv1 起動】

「……ふふっ、まさか、反撃するなんてね?」

彼女の唇が震える。
わずかに体を引いたその瞬間、彼女の肩がビクンと跳ねた。
反射的に俺は問いかけた。

「お前……今、絶頂したな?」

「……うそ。まだ触れてないのに……なに、この“振動”……!」

【リリアが絶頂しました!】
【信頼度が +10 上昇!】
【報酬:媚薬の葉×1 を獲得】

その後、俺たちはしばらく動けなかった。

リリアはシーツにくたりと倒れ、じんわりと汗ばんだ額を手で覆いながら、つぶやいた。

「この世界、あなたが……バグそのものなのね……♡」

そして、俺はそのとき、確信した。

この世界──絶対まともじゃない。
だが、悪くない。

いや、むしろ。

“この世界、最高すぎだろ──。”

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