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第2章
第20話 近衛騎士と大罪人
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「死んでもらえますか? このままじゃ私達が怒られてしまうので」
「そうそう! あたしも怒られるの嫌だし、また減給なんてされたらユティアにお金もらわないといけなくなっちゃう!」
「もらうっていうか、私は貸してますからね? 早く返してくださいよ?」
「返さないわ! 返すお金すらないもん!」
急に二人は漫才を始めた。
殺すと言いつつすぐには襲ってこないことにどぎまぎしていると、ルナが小声で先手で攻撃よと耳うちをしてくる。
「私が仕掛けるから、お兄ちゃんも攻撃して」
「わ、分かった」
「じゃあ、行くわよ」
意を決して駆け出そうとした瞬間、目の前にユティアが突然現れた。
ついさっきまでニアと漫才をしていたはずなのにいつの間に移動して来たのかノアには分からなかった。しかしどうやらルナには見えていたようで、剣を構えて臨戦態勢を取っているのが横目で見える。
「何をどう仕掛けるんですか?」
「な、なんでここに!?」
「近衛騎士で習う移動方法ですよ。ま、教えませんが」
「くそっ!」
勢いよく水平に剣を振るうと、片手に持つ黒色の剣で簡単に受け止められてしまった。
「弱いですね。これが大罪人の力ですか?」
「そんなわけないだろう!」
炎を刀身に纏わせて炎剣を発動すると、ユティアは涼しげな表情でノアの連続攻撃を受け止めている。
「それ本当に炎ですか? 全く熱くありませんね」
「ちゃんと発動してるのに!」
何度攻撃をしても受けられてばかりで、一撃も与えられない。
実力差があると思っていたが、実際に戦うと予想以上の差がある現実に打ちのめされれてしまいそうになる。
剣技も魔法も何も通じないでいると「避けて!」とルナが叫んだので勢いよく後方に下がった。
「氷塊!」
地面に巨大な影が見えたので勢いよく後方に避けると、上空から巨大な氷の塊がユティアに向けて落とされた。
巨大な氷の塊を出現させて落下させる魔法だが、大きさの分魔力の消費が激しい。これほどの魔法を難なく発動させるなんて、嫉妬してしまうほどだ。
「これでどう? 私の中でも範囲攻撃に優れた攻撃よ! これなら避けられないでしょ!」
地面に鉄が衝突したかのような音を響かせ、氷塊が真中から割れた。これほどまでに威力が高いのだから、受けるダメージも凄まじいはず。
しかし、割れた箇所からニアが細剣を頭上に向けている姿と、その背後にいるユティアの姿が目に入ってきた。
「標的が弱いからって油断し過ぎ。銀氷もいるんだから気を引き締めてよ」
「すみません。次は本気でいきますよ」
「分かればよろしい。はい」
「はいとは?」
「助けたお返しにお金ちょうだい。明日欲しい服の発売日なんだけど、お金がないの。だからちょうだい」
「あげませんよ?」
「なんでよー! お金お金お金!」
氷塊を受けたのに傷を負っていない。
ユティアの前にいるニアが細剣で何かをしたことは明白だが、魔法を使ったとは思えない。ただ剣技のみで氷塊を割ったという事実がノアとルナに叩きつけられた。
「わ、私の氷塊をあっさり防ぐなんて……お茶らけてるけど侮れないわね」
「ルナでも倒せないなんて……」
自身よりも強いルナが苦戦するだなんて思っていなかった。
マグナを翻弄していたから、倒せてくれると思っていたがそんなことはない。二人でも敵わないこの現状を打開しなければサレア村ごと殲滅されてしまう。そんなことはさせない。いくら敵わなくても、ボロボロな身体でも立ち向かうしかない。
「ルナはニアを倒してくれ。俺はユティアと戦う」
「大丈夫なの!? さっき圧倒されてたけど」
地味に辛辣なことを言うルナだが、今は言葉一つ一つを相手にしていられない。
「もう大丈夫だ。俺は大罪人だけど騎士だ。ステラの夢を叶えるまでは死ねない」
「分かったわ。死なないでねお兄ちゃん」
「ルナもな。あとで一緒にお茶でも飲もうぜ」
言葉を交わすと、二人とも反対側の方向へかけていく。
ルナは心配ないだろう。苦戦はしても必ず勝つはずだ。ノアは死ねないとは言ったことを現実に、肉を立って骨を断つ気持ちで挑む。
「また来るんですか。あなたは私には勝てませんよ?」
「そんなことやって見ないと分からない。俺はお前を倒して村を救う!」
「そうですか。ならやってみるといいですよ。そんな威勢は折って差し上げます」
ノアとユティアの戦闘が始まる前に、既にルナはニアと戦闘を始めていた。
凄まじい戦闘音が聞こえてくるが、見たくても見れない。視線をずらした瞬間に斬り殺される未来が見えるからだ。
「大罪人を斬り殺す正義を執行します。悪は滅することでしか救われない。あなたもそうでしょう? 大虐殺をした過去を持つのなら理解できるはずだ」
「あれは俺のしたことじゃない。させられたんだ」
「悪は息をするように嘘をつく。早く死んでください!」
白い炎を纏わせた黒色の剣で斬りかかってくる。
それはマグナが使った魔法と同じだ。やはり何か特別な魔法だと決まった瞬間だが、聖なる炎の意味が理解できない。異なる属性の融合なのだろうか、近衛騎士にだけ伝わる特別な魔法だという線が今のところノアの中で濃厚だ。
「そうそう! あたしも怒られるの嫌だし、また減給なんてされたらユティアにお金もらわないといけなくなっちゃう!」
「もらうっていうか、私は貸してますからね? 早く返してくださいよ?」
「返さないわ! 返すお金すらないもん!」
急に二人は漫才を始めた。
殺すと言いつつすぐには襲ってこないことにどぎまぎしていると、ルナが小声で先手で攻撃よと耳うちをしてくる。
「私が仕掛けるから、お兄ちゃんも攻撃して」
「わ、分かった」
「じゃあ、行くわよ」
意を決して駆け出そうとした瞬間、目の前にユティアが突然現れた。
ついさっきまでニアと漫才をしていたはずなのにいつの間に移動して来たのかノアには分からなかった。しかしどうやらルナには見えていたようで、剣を構えて臨戦態勢を取っているのが横目で見える。
「何をどう仕掛けるんですか?」
「な、なんでここに!?」
「近衛騎士で習う移動方法ですよ。ま、教えませんが」
「くそっ!」
勢いよく水平に剣を振るうと、片手に持つ黒色の剣で簡単に受け止められてしまった。
「弱いですね。これが大罪人の力ですか?」
「そんなわけないだろう!」
炎を刀身に纏わせて炎剣を発動すると、ユティアは涼しげな表情でノアの連続攻撃を受け止めている。
「それ本当に炎ですか? 全く熱くありませんね」
「ちゃんと発動してるのに!」
何度攻撃をしても受けられてばかりで、一撃も与えられない。
実力差があると思っていたが、実際に戦うと予想以上の差がある現実に打ちのめされれてしまいそうになる。
剣技も魔法も何も通じないでいると「避けて!」とルナが叫んだので勢いよく後方に下がった。
「氷塊!」
地面に巨大な影が見えたので勢いよく後方に避けると、上空から巨大な氷の塊がユティアに向けて落とされた。
巨大な氷の塊を出現させて落下させる魔法だが、大きさの分魔力の消費が激しい。これほどの魔法を難なく発動させるなんて、嫉妬してしまうほどだ。
「これでどう? 私の中でも範囲攻撃に優れた攻撃よ! これなら避けられないでしょ!」
地面に鉄が衝突したかのような音を響かせ、氷塊が真中から割れた。これほどまでに威力が高いのだから、受けるダメージも凄まじいはず。
しかし、割れた箇所からニアが細剣を頭上に向けている姿と、その背後にいるユティアの姿が目に入ってきた。
「標的が弱いからって油断し過ぎ。銀氷もいるんだから気を引き締めてよ」
「すみません。次は本気でいきますよ」
「分かればよろしい。はい」
「はいとは?」
「助けたお返しにお金ちょうだい。明日欲しい服の発売日なんだけど、お金がないの。だからちょうだい」
「あげませんよ?」
「なんでよー! お金お金お金!」
氷塊を受けたのに傷を負っていない。
ユティアの前にいるニアが細剣で何かをしたことは明白だが、魔法を使ったとは思えない。ただ剣技のみで氷塊を割ったという事実がノアとルナに叩きつけられた。
「わ、私の氷塊をあっさり防ぐなんて……お茶らけてるけど侮れないわね」
「ルナでも倒せないなんて……」
自身よりも強いルナが苦戦するだなんて思っていなかった。
マグナを翻弄していたから、倒せてくれると思っていたがそんなことはない。二人でも敵わないこの現状を打開しなければサレア村ごと殲滅されてしまう。そんなことはさせない。いくら敵わなくても、ボロボロな身体でも立ち向かうしかない。
「ルナはニアを倒してくれ。俺はユティアと戦う」
「大丈夫なの!? さっき圧倒されてたけど」
地味に辛辣なことを言うルナだが、今は言葉一つ一つを相手にしていられない。
「もう大丈夫だ。俺は大罪人だけど騎士だ。ステラの夢を叶えるまでは死ねない」
「分かったわ。死なないでねお兄ちゃん」
「ルナもな。あとで一緒にお茶でも飲もうぜ」
言葉を交わすと、二人とも反対側の方向へかけていく。
ルナは心配ないだろう。苦戦はしても必ず勝つはずだ。ノアは死ねないとは言ったことを現実に、肉を立って骨を断つ気持ちで挑む。
「また来るんですか。あなたは私には勝てませんよ?」
「そんなことやって見ないと分からない。俺はお前を倒して村を救う!」
「そうですか。ならやってみるといいですよ。そんな威勢は折って差し上げます」
ノアとユティアの戦闘が始まる前に、既にルナはニアと戦闘を始めていた。
凄まじい戦闘音が聞こえてくるが、見たくても見れない。視線をずらした瞬間に斬り殺される未来が見えるからだ。
「大罪人を斬り殺す正義を執行します。悪は滅することでしか救われない。あなたもそうでしょう? 大虐殺をした過去を持つのなら理解できるはずだ」
「あれは俺のしたことじゃない。させられたんだ」
「悪は息をするように嘘をつく。早く死んでください!」
白い炎を纏わせた黒色の剣で斬りかかってくる。
それはマグナが使った魔法と同じだ。やはり何か特別な魔法だと決まった瞬間だが、聖なる炎の意味が理解できない。異なる属性の融合なのだろうか、近衛騎士にだけ伝わる特別な魔法だという線が今のところノアの中で濃厚だ。
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