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第3章
第31話 闇が切り裂く希望
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漆黒の剣をマグナに向けて振るう。
ただの振り下ろしだが、想像した速度と違う。意識しているわけではないが、明らかに影が身体に入った影響だとすぐに理解できた。
「虚を突いたつもりだろうが、そんな攻撃は通じない……舐めるなよ!」
虚をついたと思ったが、さすがマグナだ。
近距離の攻撃に素早く反応し、防いでくる。
「防がれるのは承知の上だ!」
防がれると想像していたノアは、すかさず剣を弾いて腹部に蹴りを入れた。鈍い音と共にマグナは後方に吹き飛ぶものの、地面に剣を刺して態勢を整えている。
「力も増しているようだな。だが、倒せないわけではないぞ!」
「そんなこと知っている! それでもお前を殺して、ステラを救うんだ!」
地面を強く蹴り、マグナに斬撃を浴びせるノアの攻撃に型などない。
思ったままに剣を振るうことで、惑わせながら攻撃をしようとしていた。だが、この攻撃にも即座に対応してくる。
「型のない攻撃をして惑わせようとしたみたいだが、無意味だ! そんな小細工が通用すると思うな!」
「そのくらい分かってたさ! だけど、可能性があるのならするしかないんだ!」
防がれると思っていてもそこに一筋の可能性があるのならするしかないので、ノアは諦めずに攻撃に魔法を加えることにした。
影の浸食が魔法にどう影響をしているのか定かではないが、そんなこと関係ない。考える前に攻撃をするしかマグナに対抗する手段はない。
「炎剣!」
刀身を触って自身の得意魔法を発動するが、どこかおかしい。
いつも通りの感覚で発動したのだが、燃える赤色ではなく黒が混じった赤黒い色をしている。
「炎剣じゃない!? だけど、これで戦うしかない!」
いつも通りに発動をしたのに明らかに違う魔法だ。
燃え盛る炎が刀身に付与されるはずだが、実際には赤黒い炎が出現している。しかし攻撃は止められない。炎剣でなかろうが、効果がある魔法だと信じるしかない。
「お、お前、その魔法をどうやって知った!?」
「どういうことだ?」
「大罪人に教える義理はないが、その魔法は失われた魔法だ! お前ごときが知ることがない魔法だぞ!」
失われていると言われても実際に使っている。
綺麗な声の女性が闇と言っていたことを思い出すと、この魔法はマグナが使っている光属性と対となる闇属性ではないかとノアは察した。
「そんなこと俺は知らない。この魔法はお前達を滅ぼすために託されたんだ! 俺のことを悪というけどさ、俺にとってはお前達が悪だ! 悪は滅びろ!」
ノアは炎剣を発動したままマグナに斬りかかる。
通常であればただの燃えている刀身なのだが、今回は違う。赤黒い炎が燃え盛り、魔法を発動しているノアでさえ皮膚が焼けるほどの熱さを感じる。
だけど、その程度で攻撃の手を止めることはしない。失われている闇属性が混じっているのなら、それを使い倒してでもマグナを殺すまで。
ノアは周囲に響くほどの声を発しながら剣を縦に振るが、その攻撃は防がれる。何度か鍔迫り合い、斬り合いをするが一向に攻撃は届かない。
斬り合いの最中、顔面に鋭い突きが迫るが左に首を傾けて避け、続けて迫る蹴りを後方に下がって避ける。避けれたが冷や汗が止まらない。一撃でも受けたら最後、戦うことはできない。それほどに鋭く、正確無比な攻撃が繰り出される。
授けられた闇属性の強化が無ければ、既に死んでいると本能が告げるほどだ。
「よく避けたが、それだけでいいのか? 私を殺すのだろう?」
「そうだ! 俺がお前を殺す! そして全てを終わらせるんだ!」
脚に魔力を流し、瞬時にマグナに近づく。その際に左手に小さな火球を出現させ、腹部に闇属性を加えた火球を衝突させた。
周囲に爆音を響かせ、豪華で煌びやかな鎧が砕け散ったのが見える。
「やっと攻撃が通った。油断していたのはお前じゃないか?」
「大罪人が調子に乗るな! たかが一撃! 鎧でダメージは受けていないぞ!」
マグナの言う通りだ。鎧が砕けただけで体には傷一つ付いていない。
しかしノアにとっては大きな一歩だ。明らかに闇属性が加わったことで威力が上がっているので、このまま使い続ければいずれマグナに勝てるかもしれない。
「勝てると思ったか? 希望を見出したかもしれないが、お前が勝つ未来はない」
「ある! 闇属性があれば、お前達を滅ぼせるんだ!」
「何を勘違いしているか知らないが、私がお前を殺す必要はない。後ろにいるステラを殺せば全てが終わることを忘れていないか?」
忘れていた――ノアはマグナを殺すことばかりに気を取られていた。
いくら追い詰めようが、ステラを殺されてしまったら全てが終わる。そのことを失念し、この場で決着をつけることばかり考えていた。
「そんなことはさせない!」
「もう遅い。お前は私を恨みすぎた――そのせいで大切な人を失うのだ!」
倒れているステラに近づき、首筋に剣をマグナは当てた。
殺される。そう感じた瞬間、ノアの脳内に「あの子が死んだら世界が終わるわ」と女性の声が響き渡る。
ただの振り下ろしだが、想像した速度と違う。意識しているわけではないが、明らかに影が身体に入った影響だとすぐに理解できた。
「虚を突いたつもりだろうが、そんな攻撃は通じない……舐めるなよ!」
虚をついたと思ったが、さすがマグナだ。
近距離の攻撃に素早く反応し、防いでくる。
「防がれるのは承知の上だ!」
防がれると想像していたノアは、すかさず剣を弾いて腹部に蹴りを入れた。鈍い音と共にマグナは後方に吹き飛ぶものの、地面に剣を刺して態勢を整えている。
「力も増しているようだな。だが、倒せないわけではないぞ!」
「そんなこと知っている! それでもお前を殺して、ステラを救うんだ!」
地面を強く蹴り、マグナに斬撃を浴びせるノアの攻撃に型などない。
思ったままに剣を振るうことで、惑わせながら攻撃をしようとしていた。だが、この攻撃にも即座に対応してくる。
「型のない攻撃をして惑わせようとしたみたいだが、無意味だ! そんな小細工が通用すると思うな!」
「そのくらい分かってたさ! だけど、可能性があるのならするしかないんだ!」
防がれると思っていてもそこに一筋の可能性があるのならするしかないので、ノアは諦めずに攻撃に魔法を加えることにした。
影の浸食が魔法にどう影響をしているのか定かではないが、そんなこと関係ない。考える前に攻撃をするしかマグナに対抗する手段はない。
「炎剣!」
刀身を触って自身の得意魔法を発動するが、どこかおかしい。
いつも通りの感覚で発動したのだが、燃える赤色ではなく黒が混じった赤黒い色をしている。
「炎剣じゃない!? だけど、これで戦うしかない!」
いつも通りに発動をしたのに明らかに違う魔法だ。
燃え盛る炎が刀身に付与されるはずだが、実際には赤黒い炎が出現している。しかし攻撃は止められない。炎剣でなかろうが、効果がある魔法だと信じるしかない。
「お、お前、その魔法をどうやって知った!?」
「どういうことだ?」
「大罪人に教える義理はないが、その魔法は失われた魔法だ! お前ごときが知ることがない魔法だぞ!」
失われていると言われても実際に使っている。
綺麗な声の女性が闇と言っていたことを思い出すと、この魔法はマグナが使っている光属性と対となる闇属性ではないかとノアは察した。
「そんなこと俺は知らない。この魔法はお前達を滅ぼすために託されたんだ! 俺のことを悪というけどさ、俺にとってはお前達が悪だ! 悪は滅びろ!」
ノアは炎剣を発動したままマグナに斬りかかる。
通常であればただの燃えている刀身なのだが、今回は違う。赤黒い炎が燃え盛り、魔法を発動しているノアでさえ皮膚が焼けるほどの熱さを感じる。
だけど、その程度で攻撃の手を止めることはしない。失われている闇属性が混じっているのなら、それを使い倒してでもマグナを殺すまで。
ノアは周囲に響くほどの声を発しながら剣を縦に振るが、その攻撃は防がれる。何度か鍔迫り合い、斬り合いをするが一向に攻撃は届かない。
斬り合いの最中、顔面に鋭い突きが迫るが左に首を傾けて避け、続けて迫る蹴りを後方に下がって避ける。避けれたが冷や汗が止まらない。一撃でも受けたら最後、戦うことはできない。それほどに鋭く、正確無比な攻撃が繰り出される。
授けられた闇属性の強化が無ければ、既に死んでいると本能が告げるほどだ。
「よく避けたが、それだけでいいのか? 私を殺すのだろう?」
「そうだ! 俺がお前を殺す! そして全てを終わらせるんだ!」
脚に魔力を流し、瞬時にマグナに近づく。その際に左手に小さな火球を出現させ、腹部に闇属性を加えた火球を衝突させた。
周囲に爆音を響かせ、豪華で煌びやかな鎧が砕け散ったのが見える。
「やっと攻撃が通った。油断していたのはお前じゃないか?」
「大罪人が調子に乗るな! たかが一撃! 鎧でダメージは受けていないぞ!」
マグナの言う通りだ。鎧が砕けただけで体には傷一つ付いていない。
しかしノアにとっては大きな一歩だ。明らかに闇属性が加わったことで威力が上がっているので、このまま使い続ければいずれマグナに勝てるかもしれない。
「勝てると思ったか? 希望を見出したかもしれないが、お前が勝つ未来はない」
「ある! 闇属性があれば、お前達を滅ぼせるんだ!」
「何を勘違いしているか知らないが、私がお前を殺す必要はない。後ろにいるステラを殺せば全てが終わることを忘れていないか?」
忘れていた――ノアはマグナを殺すことばかりに気を取られていた。
いくら追い詰めようが、ステラを殺されてしまったら全てが終わる。そのことを失念し、この場で決着をつけることばかり考えていた。
「そんなことはさせない!」
「もう遅い。お前は私を恨みすぎた――そのせいで大切な人を失うのだ!」
倒れているステラに近づき、首筋に剣をマグナは当てた。
殺される。そう感じた瞬間、ノアの脳内に「あの子が死んだら世界が終わるわ」と女性の声が響き渡る。
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