魔法の世界で新たな人生を～捨てられた人生のやり直し～

第76話 決意

美桜は明臣の隣に座って、マリアさんを救いましょうと語り掛ける。明臣は私が救えるかなと弱音を吐くと、美桜が明臣の右頬を叩いた。美桜は明臣に対して男が弱気になってどうするのと声を荒げる。

「好きな女のために動けない男が、人を好きになるなんておこがましいわ！ 好きなら好きらしく、好きな女を手に入れるために動きなさい！」

美桜が明臣を叱咤すると、明臣は目を見開いてそうですよねと言う。

「男なら好きな女の子のために動かないとな！」

明臣はそう叫び立ち上がる。そして、美桜にありがとうと言うと二人して家屋から出ていった。美桜を部屋まで送り届けた明臣は帰り際に叱咤してくれたお礼に君も助けると言ってくれた。

「急に気負う必要はないですよ。 まだマリアさんを助けたわけじゃないんですから、まだ外面上は婚約者として過ごしましょう」

美桜がそう言うと、明臣はそうですねと言って自室へと歩いて行った。その後美桜はベットに寝頃がって大貴族でも様々な問題があるんだなと考えていた。それに父親のことについて協力をしてくれるとのことで、この機会に一気に決着を付けたいとも思っていた。

「もう私達はお父様の道具でもないし、良いように扱われないわ」

美桜はそう決心をすると、そのまま寝ることにした。美桜はベットの中でこれからのことを考えていた。

「明臣と協力をしてマリアを救って、明臣とマリアを結婚させてお父様をぶちのめす！ もう私は道具じゃないわ！」

自身の人生を変えるために動いている出雲のことを考えながら、自身の人生を良い方向に変えるぞと意気込んでいた。美桜はそのまま寝て、熟睡をしていた。そして朝に目が覚めると、昨日は色々あったわと呟いていた。

「皇家も問題を抱えているのね。 それに篁家も」

美桜はそう呟きながらベットから起き上がると、身支度を整えて近くにある椅子に座ってテレビの電源を入れた。テレビは平日とのこともあり情報番組ばかりであった。美桜はつまらないなと言いながらチャンネルを変えていく。

「全番組面白くないわ！ スマートフォンで映画でも見ようかしら」

美桜は電源を切っていたスマートフォンの電源を入れた。すると一気に三十通以上のメールを受信して、スマートフォンのバイブレーションが鳴り続けた。美桜はそのメールを一通ずつ見ていくと、出雲や蓮に琴音、椿達からのメールが沢山届いていた。

「こんなに沢山のメールが皆から……何も言わずに飛び出たのに、心配してくれているなんて……」

美桜は朝から出雲達のメールを見て朝から泣いてしまった。

「皆とは永遠に友達だね。 こんなことをしても、私のことを気にしてくれるなんて……」

美桜は出雲達のことを想うと、心が温かくなると感じていた。こんな気持ちは初めてで、出雲が来てからだと感じていた。

「本当にあいつが来てから私の人生が変わり始めているわね。 出雲と会わなければ私は今頃お父様の命令で人生を進んでいたのかもしれないわね」

美桜はそんなことを考えながらメイドが来るのを待っていた。美桜がメイドを待ちながらメールの変身を打とうか悩んで、琴音に途中まで返信の内容を打っている時に、部屋のドアがノックされた。美桜は突然ノックされたので、メール内容が中途半端なのに送信ボタンを押してしまった。

「あ、中途半端だけど送っちゃったわ……まぁいいか」

美桜は途中で送信してしまったメールを気にせずに、どうぞと声をあげた。すると、失礼しますと昨日のメイドと同じ声がして部屋の扉が開いた。

「美桜様おはようございます。 そろそろ朝食の時間なので、こちらにどうぞ」

その感情がないような声色のまま、美桜は呼ばれた。美桜はありがとうと返答をして部屋を出ていった。部屋を出るとそのまま後ろについて行き食堂に向かった。

食堂に入ると既に朝食が机の上においてあり、美桜は指示された席に座る。美桜が朝食を見ると、白米に納豆と味噌汁に目玉焼きであった。美桜は家庭的な朝食ねと呟いて食べ始めた。

「今日はお二人は来ないのですか？」

美桜が後ろで待機をしているメイドの女性に聞くと、メイドの女性がお二人は用事があるために先に食べましたと教えてくれた。

「そうなんですね。 ありがとうございます」

美桜はそう返事をして静かに食べ進める。食堂には美桜の食べる音しかしないために、静かすぎて料理が美味しいのに美味しくないと感じていた。

「こんなに静かだとダメね。 料理が美味しくないわ……出雲や雫達と食べる料理が恋しい……」

美桜はそんなことを考えて呟きながら朝食を食べていた。