魔法の世界で新たな人生を~捨てられた人生のやり直し~

天羽睦月

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第96話 くじ引きの時間

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自身の指を軽く出雲の舌で舐められた美桜は、ひゃっと言う声を上げて一歩後ろに下がった。

「きゅ、急に舐めないでよ! びっくりするじゃない!」

美桜が舐められた指を見ながら出雲に言った。出雲はつい舐めちゃったと言って、ズボンの中に入れていたハンカチを取り出して美桜に手渡す。

「もう! 舐めちゃダメよ!」

美桜は頬を膨らませながら出雲が舐めた指をハンカチで拭く。すると美桜達のレシートに書かれている番号が呼ばれた。

「お、俺達のハンバーガーが出来たんだ」

出雲はそう言って受け取りカウンターに行くと、カウンターの前にいる店員にレシート番号を見せて、出雲と美桜のハンバーガーを受け取った。

「はい。 これだよ」

出雲が手渡すと美桜がありがとうと言った。

「さ、歩きながら食べましょう」

美桜が横にいる出雲にハンバーガーを手に持ちながら言うと、出雲は笑顔でそうだねと返答した。店舗から出ると、既に時刻は二十一時を回っていた。出雲はこれを食べながら帰ろうかと美桜に言う。

「そうね。 だけど、雫にお土産を買って帰らないといけないわ」

そう美桜の言葉を聞いた出雲は、忘れてたと言葉を発した。

「忘れちゃダメよ! 何も買わずに帰ったら雫が怒るわよ?」

怒ると言う言葉を聞いた出雲は、雫が怒ったら絶対怖いと思っているのでヤバイと冷や汗を流していた。出雲は商店街を歩くのを止め、横を歩く美桜にどうしようと服を掴みながら言った。

「急に引っ付くな! ハンバーガーのケチャップが服にくっつくでしょう!」

美桜が出雲を引き剥がすと、美桜は漬物屋を見つけた。美桜はその漬物屋に小走りで行くと、食べていたハンバーガーを一気に食べ終える。

「ど、どうしたの突然?」

出雲が驚きながら聞くと、美桜が雫は漬物が好きなのよと出雲に言う。

「雫さんは漬物が好きなんだ。 どんな漬物が好きなの?」

出雲が店舗前に陳列されている商品を見て聞くと、美桜が雫が浅漬けや塩漬けが好きよと言った。

「特にキュウリやたくあん、大根の漬物が好きみたいね」

美桜が商品を見ながら出雲に言う。出雲はそれを聞いて、その三つの漬物がないか店内に入って商品を見ていく。

「うーん……ないかなー……」

出雲は明るい店内に敷き詰められた棚の中に置かれている多種多様な漬物を見ていく、壺の中に入っている漬物や、袋詰めされている漬物など目を引くものが沢山あった。

出雲はその中でキュウリとたくあんに大根の漬物が入った袋を発見した。各種十個ずつ入っているようで、これなら雫は満足をするだろうと雫の笑顔を思い浮かべながら商品を手に取った。出雲が商品を手に取ると、その様子を見ていた美桜があったのと話しかけてきた。出雲は話しかけられた美桜の方を向くと、袋に入っている漬物を見せる。

「これなら雫さん喜ぶんじゃないかな?」

笑顔で漬物を美桜に見せると、美桜はそれいいと思うと笑顔で出雲に言う。さらに美桜は、あと三袋買いましょうと言って棚から三袋を手に取った。

「これなら雫も喜ぶはずよ!」

美桜が出雲から手渡された漬物を加えて、四袋を店内の奥にある会計カウンターに歩いていった。

「俺もお金出すよ!」

出雲は慌てて美桜の横に立つと、ズボンから財布を取り出した。美桜は出雲にお金あるのと聞くと、出雲の財布の中には千円とレシートの束しかなかった。

「またお小遣いあげるから、今日は私が払うわ」

そう言われた出雲は、ごめんと言って一歩後ろに下がった。

「全部でいくらですか?」

美桜が会計カウンターにいる店員に話しかけると、店員は全部で二千五百円ですと言う。

「これでお願いします」

美桜は財布からちょうど二千五百円を取り出すと、店員に手渡した。

「ありがとうございます」

美桜はありがとうと言い、ビニール袋に入った漬物を出雲に渡す。

「これ持ってね」

笑顔で出雲に渡すと、美桜は帰りましょうと言いながら店から出ていく。出雲は帰り道の途中に、商店街に入った時に見たくじを引こうと美桜に言う。美桜はその言葉を聞くとやろうと言い、商店街の奥にある構えているくじ引き屋に向かった。

そのくじは特賞からハズレまであり、特賞は桜温泉の招待チケットでハズレはポケットティッシュが商品となっている。
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