魔法の世界で新たな人生を～捨てられた人生のやり直し～

第97話 漬物

出雲はくじ引きの屋台にいる白髪の背筋が伸びている初老の男性にレシートを見せる。すると三回引けるよと言われた。

「三回か！ 美桜が二回引いていいよ！」

出雲がそう言うと、美桜はなら引くわねと言ってくじの入っている正方形の白い箱の中に右手を入れた。

「この二枚よ！」

美桜がそう言いながら二枚のくじを引く。そのくじは三角形に折られていたので、折られている部分を二枚共捲ると、ハズレと書かれていた。

「ハズレだね！ はい、残念賞のポケットティッシュだ！」

美桜は初老の男性からポケットティッシュを二個渡された。

「こんなものよね。 出雲はどう？」

美桜がそう言うと出雲は既にくじを引いており、くじを捲っていた。

「出ろ特賞！ あ、ハズレだった……」

出雲が落胆をしていると、美桜は気にしない気にしないと言って慰めていた。その後は出雲は次こそ特賞をと気合を入れて美桜と共に楽しく話しながら帰り道を歩いていた。

そして家に到着をすると、雫がすぐに玄関口に小走りで二人の前に来ていた。雫は出雲と美桜に湯職は美味しかったですかと聞くと、美桜がファーストフードやたこ焼きに肉キャベコロッケを食べたわと笑顔で雫に報告をした。

「ファーストフードに、たこ焼きですか！？ そんな身体に悪そうなものを！ 美桜様のこの体型にもしものことがあったら！」

美桜を抱きしめてその身体のラインや大きな胸の感触を感じていた。出雲はその雫を見て、羨ましいと考えていた。

「今美桜様の身体を触りたいと思いましたね？」

雫が出雲の顔を見て言うと、そんなきょとないよと噛みながら出雲は返答をした。美桜はその二人を見て、私の身体はいつもベストよと言って雫を引き剥がすと、出雲に雫にあれを渡してと言った。

「あれって何ですか？ また何かしたんですか！？」

雫が驚いていると、出雲が右手に持っていたビニール袋を手渡す。それを見た雫は何ですかと手渡されたビニール袋の中を見ると、そこには漬物が入っていることに気がついた。

「こここここ、これは！ 漬物じゃないですか！」

雫がビニール袋の中を見て驚いていると、出雲と雫が晩御飯を外で食べちゃったからと言う。

「せっかく作ってくれていたのに食べなかったから、そのお詫びで買ったのよ」

美桜がそう言うと、出雲もお詫びで買ってきましたと言った。雫はありがとうございますと涙目で言うと、すぐにお作りしますと言う。美桜は食堂に行こうとした雫の服を掴んだ。

「今日はお腹がいっぱいだから、明日の朝食にお願いね」

それを聞いた雫は分かりましたと言って冷蔵庫に入れて置きますとその場を離れた。

「明日が楽しみね。 今日はもう遅いから休みなさいね」

美桜は出雲にそう言うと、そのまま自室に戻っていく。出雲はお休みと美桜に言うと、美桜は手だけ振って自室に向かって歩いていた。

「今日は疲れたな。 でも、美桜と色々食べれて嬉しかったな」

出雲はもっと美桜と外食をしたいと思っていた。外で食べる料理はどれも美味しく感じていたので、また外食をしようと出雲は決めた。

「さて、明日は学校だからもう寝ないと……やっと補習から解放されて嬉しいわ！」

やったと両腕を上に上げてベットにダイブをした出雲は、そのまま布団の中に入って寝た。出雲は明日も明後日も美桜や蓮達と楽しい日々が過ごせるだろと思ていたが、それは夢のように淡く消えてしまうこととなる。それをまだ知らない出雲は笑顔のまま布団に入ってそのまま熟睡をしてしまっていた。

朝、出雲はいつも通りに目覚めると爽快な気持ちであった。いつもとは違い身体は軽く、すんなりと起きることが出来た。出雲はそのまま起きて制服に着替えると、食堂に向かって歩く。

食堂では既に美桜と雫が朝食を食べていた。目玉焼きにウィンナーと昨日買った漬物のキュウリが置かれていた。出雲は自分の席に座ると、美桜と雫がおはようと挨拶をしてくれた。出雲はそれに対しておはようと返すと、雫が朝食を用意してくれた。

「漬物だ！ 昨日のやつですよね！」

出雲はキュウリを初めに食べてみることにした。きゅうりの漬物を一つ箸で取って口の中に入れると、漬物の濃い味が口の中に広がって凄い美味しいと感じていた。

「漬物凄い美味しい！ もっと食べていい！？」

出雲が美桜と雫に聞くと、美桜がいいよと言った。

「あまり食べすぎると塩分が多いから気を付けてね」

美桜が出雲に注意をすると、ありがとうと言ってキュウリの漬物を二個箸で刺して一気に食べた。

「この味好きだ！ 初めて食べたけど漬物って凄い美味しいんだね！」

初めて食べたと聞いた美桜と雫は、漬物も始めた食べたのと驚いていた。

「前の世界ではあまり種類が多い食事はしてなかったし、おにぎりと鮭とかおにぎりだけとかが多かったし、たまに肉が出たくらいかな」

出雲が食べていた食事例を挙げると、美桜と雫がもっと沢山色々なの食べさせるからねと頷いて出雲に言った。

「ありがとう！ 美桜に助けられて、この家で暮らして、こんなに楽しい食事があると知って嬉しいよ！」

出雲はご飯粒を頬につけながら目玉焼きを食べていると、美桜が小さく笑いながらご飯粒が付いているわよと出雲に言った。