魔法の世界で新たな人生を～捨てられた人生のやり直し～

第110話 到着

出雲と蓮が話していると、運転をしている若い男性隊員が到着しましたと喋る。到着と言う言葉を聞いた瞬間、車内に緊張感が走る。

「もう到着か……戦闘音は聞こえないけど、本当に戦っているの？」

出雲がそう喋った瞬間に車体がドスンと大きな音を上げ、大きな衝撃を受けた。出雲達は何が起きたと思い、すぐに車体から降りた。すると車体の右側に国立魔法部隊の若い男性隊員が倒れていた。

出雲は車体を見ると、若い男性隊員が衝突したと思われる窪みが出来ていた。琴音と雫はすぐに若い男性隊員の介抱をし、何が起きたのか聞いていた。

「ぐぅ……敵の本部隊が出てきて隊員達や貴族達が押されている……」

そう聞いた出雲達はすぐに向かわないとと言うと、琴音と雫に解放をされている若い男性隊員があそこは地獄だぞと言う。出雲達は何が地獄なのだろうと思うと、目の前が爆発した。

「な、なにが起きた！？ みんな大丈夫か！？」

出雲が周囲を見渡して叫ぶと、蓮達が俺達は無事だと出雲に言う。出雲は一度態勢を整えようと叫ぶと、爆風で動いた乗ってきた車の影に隠れた。

「攻撃が一度収まった時に来てしまったようですね。 申し訳ありません」

若い男性隊員が謝ると、出雲は大丈夫ですと返事をした。出雲は気を付けて進もうと言うと、目の前に旧貴族と思われる集団が現れた。その旧貴族は出雲達を見つけると、殺すと言って睨んでくる。旧貴族の集団の男女数人が、火や風の魔法を用いて攻撃をしてきた。

「死ぬがいい！」

その言葉と共に飛んでくる火球や風球を出雲や蓮が防御魔法でギリギリ防ぐことが出来た。出雲は危ないと言い、固まって行こうと言う。蓮と琴音はお互いに支え合いましょうと言い、固まって四方八方からの攻撃を防ぐ形で進んでいた。

「防いだら攻撃だ！ 雫さんがこの中で一番強いと思うから、攻撃は雫さんに任せよう！」

出雲のその言葉を聞いて、雫はそんなことないんですけどねと言う。それでも今は雫に旧貴族達を倒してもらわなければいけないので、その選択肢しかなった。

「また攻撃だ！ 俺が防ぐ！」

そう言い出雲がライトシールドを展開して、旧貴族の女性の攻撃を防ぐ。防ぎきれたら雫の方に回転をして、雫が自身の火属性を剣に纏わせて薙ぎ払いをした。

その魔法は雫が創った魔法であり、剣に火の魔力を纏わせて力を凝縮させて一気に放つ周囲を殲滅出来る魔法である。雫のその攻撃を受けた旧貴族達は悲痛な声を上げて倒れていく。

「今のうちです！」

雫のその声を受けて、出雲達は固まって走り出す。旧貴族達がいるエリアを抜けると、そこには弦十郎達と国立魔法部隊が戦っていた。国立魔法部隊では来栖を中心に戦っており、弦十郎は自身と側近達数十人で応戦をしていた。来栖は黒いスーツを着ているようで、そのスーツに土埃や何かで斬られたのか所々スーツが破けていた。

来栖は剣を手にして接近戦で弦十郎の側近の一人と戦い、その部下達も接近戦と魔法を付加した銃で遠距離から戦っていた。弦十郎は破壊したビルや車を盾にして銃撃を防ぎながら、遠距離魔法を放って国立魔法部隊員を数人倒していた。

「このまま戦えばこちらのジリ貧になるな」

弦十郎は少しずつ倒されていく側近達やその部下達を見て、仕方ないと呟いた。

「革命を初めて早速倒されてはならないのでね。 奥の手を出すしかない」

そう弦十郎は言うと、右手をあげて来いと鬼気迫る大きな声で叫ぶ。その弦十郎が発した声は身体に響き、その声を聞いた出雲は身体を殴られたような気がしていた。琴音や雫はその弦十郎の声を聞いて身が引き裂かれる感覚を感じていた。

「あの鬼気迫る声は、本気でこの国を変えようとしているのか？」

弦十郎の側近の一人を切り裂いた来栖は、見える範囲にいる弦十郎を見て呟く。来栖は何もやらせないと言いながら、剣を構えて弦十郎との距離を一気に詰めた。

「君さえいなければ楽にこの国を手に入れられたものを！」

弦十郎はそう言いながら腰に差していた長剣で来栖の攻撃を防ぐ。そして、幾分かの鍔迫り合いが続くと、太陽と重なって何かが下りてきた。来栖はその何かに気がつくも、太陽の光で直視が出来なかった。

しかし来栖は直感で後ろに下がらないと死ぬと感じ、バックステップで後ろに数メートル下がる。すると来栖のいた場所に眩く輝く太い光が当たると、その地面が溶けた。