ジグソーパズル

細雪

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仲良くしましょう、彼女さん

青年と初対面(?)

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いつものように……といってしまうと両親に怒られてしまうのだが、朝礼開始1分前に教室に飛び込む。
肩で息をする私を見た途端、級友たちはバタバタと各々の席に着く。ある意味、私は予鈴のようなものになっているのかもしれない。

そして、私が教室に足を踏み入れてからきっかり1分後。
聞きなれた本鈴が校舎内に鳴り響いた。
いつも通りの朝の時間。
唯一異なるのは担任が未だ教室に現れないこと。
「……先生が遅刻なんて珍しいね。」
「本当本当。病欠の連絡だって朝礼の前にするのに。事故にでもあったかな?」
ひそひそと交わされていた言葉たちは、時間に比例して大きくなり。朝礼終了の鈴が鳴る頃には、声を潜める気配もない、大声になっていた。
「ねー、瑠璃。先生どうしたんだと思う?やっぱ事故かな。」
「事故なら副担来るでしょ……。職員会議長引いたとかじゃない?」
「あー、そっか。それが一番あり得る……。でもこの時期なんか行事あったっけ?」
「知らない……てか、先生来たら起こして、眠くなってきた……。」
がやがやと煩い憶測の声さえも寝不足の私には子守唄のように聞こえ。ぐったりと机に伏せた。
私が寝ようとしていることに周りの人も気付いたのか徐々に喋り声も小さくなり、これはよく眠れそうだ……と思ったところで、
「藍田。一番前で寝るとはいい度胸だな?遅くなったが朝礼を始める。目を覚ませ。」
男性特有の低い声が、私の名前を呼んだ。
びくり、と跳ね上がるように姿勢を正すと、呆れと怒りの入り混じったような表情を浮かべた担任が目に入った。
「それでは、朝礼を始める。時間がないから手短に行くぞ。今朝の連絡は……」
淡々と1日の流れを説明する声が、右から左へとすり抜けていく。
変わり映えのない連絡よりも、担任の側で眠そうにしている青年の方が私の関心を引き付けた。
真新しい制服に、何故だか傷だらけの顔。へらりと軽薄な笑みを貼り付けたその青年は、昨日の不審者とそっくりで。
「て、か、昨日、の……っ。」
絞り出すように言葉を紡げば、さらに笑みを深め。一瞬たりとも私から視線を外さずに、手を差し出した。
「久しぶり、瑠璃さん。」
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