7 / 9
第7章
しおりを挟む
そして期末テストが終了し、前期後期の中休みに入る前夜、学園の講堂で例の『星祭りパーティー』が開かれました。
ソーナット侯爵家のナタリア様をエスコートされたトッティ公爵家のご令息オスカー様が、私が妹やイボンヌ様と会談をしているところにやって来てました。
そしていきなりこんな失礼な事を言い出しました。
「婚約者がいるのにエスコートしてもらえないなんて、君がショーンの名目上の婚約者って噂は本当なんだね」
「ねっ、私の言った通りでしょ」
「ねぇ、君さ、ショーンをナタリアに譲ってくれないかい?」
「何をおっしゃっているんですか? ナタリア様は貴方の婚約者でしょう?」
私が呆れてこう尋ねると、オスカー様はキラキラした微笑みを浮かべてこう言ったのです。
「僕達は生まれながらの婚約者同士で、幼馴染みとしての情は持っているのだが、お互いに異性としての好みとは違うんだ。
だから前々から婚約解消をしたいと思っていたのだが、片方に非がある別れ方は両家にとって不味いだろう。
僕だけではなくナタリアにも新しい婚約者が必要なんだ。だが、誰でもいいというわけにはいかない。
その点、ショーンなら将来を嘱望されているし、領地経営も右肩上がりだというし、申し分ないと思うのだよ」
と。彼の目線の先には、とある子爵令嬢の姿があります。オスカー様と噂があるご令嬢ですね。
「ご自分達の幸せのためなら、幸せなカップルを壊しても構わないという事ですか?」
イボンヌ様がこう尋ねると、ナタリア様は意外だわ、という表情をなさった。
「幸せなカップルですって!
貴女達も私達同様にただの政略のための婚約なのでしょう?
ロックアップ男爵家がご用立てたという融資は、わが侯爵家でご返済させて頂きますわ」
ナタリアの言葉に妹のヒラリーが眉毛を釣り上げました。
「一億ペンド、いえ、残高七千万ペンドをうちに支払うとおっしゃるのですか?
父は領民に迷惑をかけられないからといってポケットマネーでご融資しましたが、ソーナット侯爵様もポケットマネーでうちに返済出来るのですか?」
「七千万ペンド? ポケットマネー?」
ナタリア様が真っ青になりました。
「もし支払って頂けるとしたら、それはそれで問題ですよね。脱税疑惑が浮かび上がる案件ですものね」
と私も言ってやりました。
「君達の家って一体・・・」
オスカー様もナタリア様同様に顔が青く変化しました。
すると、オスカー様の後方からヒルマン様が顔をひよっこり出して、ニヤニヤ笑いながら言いました。
「君も公爵家の後継者なんだから、歴史くらいもっと勉強しろって、昔から俺があんなに忠告してやったのに、無駄だったなぁ」
ヒルマン様はバッハーマ侯爵家のご次男でショーン様の親友ですが、オスカー様の幼馴染みでもあるようですね。
「お前、この国がとある三兄弟によって建国されたって事は知ってるよな。
だから王家の紋章である白フクロウは三兄弟の末裔の家しか使用できないって。
そのうちの一つの家はもう既に断絶しているから、今の王家と対等な存在といえば残りのもう一つの家しかないんだが……
そう言えばこの前、ナタリア嬢が白フクロウを用いたブローチを身に着けているのを見たんだけど、あれはどうしたの?」
ソーナット侯爵家のナタリア様をエスコートされたトッティ公爵家のご令息オスカー様が、私が妹やイボンヌ様と会談をしているところにやって来てました。
そしていきなりこんな失礼な事を言い出しました。
「婚約者がいるのにエスコートしてもらえないなんて、君がショーンの名目上の婚約者って噂は本当なんだね」
「ねっ、私の言った通りでしょ」
「ねぇ、君さ、ショーンをナタリアに譲ってくれないかい?」
「何をおっしゃっているんですか? ナタリア様は貴方の婚約者でしょう?」
私が呆れてこう尋ねると、オスカー様はキラキラした微笑みを浮かべてこう言ったのです。
「僕達は生まれながらの婚約者同士で、幼馴染みとしての情は持っているのだが、お互いに異性としての好みとは違うんだ。
だから前々から婚約解消をしたいと思っていたのだが、片方に非がある別れ方は両家にとって不味いだろう。
僕だけではなくナタリアにも新しい婚約者が必要なんだ。だが、誰でもいいというわけにはいかない。
その点、ショーンなら将来を嘱望されているし、領地経営も右肩上がりだというし、申し分ないと思うのだよ」
と。彼の目線の先には、とある子爵令嬢の姿があります。オスカー様と噂があるご令嬢ですね。
「ご自分達の幸せのためなら、幸せなカップルを壊しても構わないという事ですか?」
イボンヌ様がこう尋ねると、ナタリア様は意外だわ、という表情をなさった。
「幸せなカップルですって!
貴女達も私達同様にただの政略のための婚約なのでしょう?
ロックアップ男爵家がご用立てたという融資は、わが侯爵家でご返済させて頂きますわ」
ナタリアの言葉に妹のヒラリーが眉毛を釣り上げました。
「一億ペンド、いえ、残高七千万ペンドをうちに支払うとおっしゃるのですか?
父は領民に迷惑をかけられないからといってポケットマネーでご融資しましたが、ソーナット侯爵様もポケットマネーでうちに返済出来るのですか?」
「七千万ペンド? ポケットマネー?」
ナタリア様が真っ青になりました。
「もし支払って頂けるとしたら、それはそれで問題ですよね。脱税疑惑が浮かび上がる案件ですものね」
と私も言ってやりました。
「君達の家って一体・・・」
オスカー様もナタリア様同様に顔が青く変化しました。
すると、オスカー様の後方からヒルマン様が顔をひよっこり出して、ニヤニヤ笑いながら言いました。
「君も公爵家の後継者なんだから、歴史くらいもっと勉強しろって、昔から俺があんなに忠告してやったのに、無駄だったなぁ」
ヒルマン様はバッハーマ侯爵家のご次男でショーン様の親友ですが、オスカー様の幼馴染みでもあるようですね。
「お前、この国がとある三兄弟によって建国されたって事は知ってるよな。
だから王家の紋章である白フクロウは三兄弟の末裔の家しか使用できないって。
そのうちの一つの家はもう既に断絶しているから、今の王家と対等な存在といえば残りのもう一つの家しかないんだが……
そう言えばこの前、ナタリア嬢が白フクロウを用いたブローチを身に着けているのを見たんだけど、あれはどうしたの?」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
319
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる