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Trac03 Born This Way/レディ・ガガ 後編
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次に連れていかれたのは、小さい個人商店やらスナックやらが連なるビルだった。
あそこ、とアンは"オーダーメイドクロスnemu"とツタ模様で縁取られた小さな看板を指差す。
「ここな、キッチリ採寸して、一人ひとりの体型に合わせたの作ってくれるんよ」
階段を登るアンの目はキラキラしていた。割と踵が高い靴だが、公園に向かう子どものように足取りが軽い。
「僕も、将来服作る仕事したいと思っとる」
ふぅん、と適当に返事をした。ヤバイ。疲れてきた。
慣れないことばっかで精神的にキてんのかもな。
ここ。とアンは足を止める。
無機質な白い壁に、無垢の木の扉が嵌め込まれていた。カホに読んでやった絵本に出てくるような。
アンはわざとくすませてある金属製のノブを回した。
「うおっ」
思わず声が出た。
ドアの中は、傘付きのガラスランプやら細工の細かい彫物がしてあるキャビネットやらが飾られていた。ダマスク柄の壁紙も貼ってあって、天井からはシャンデリア風の照明がぶら下がっている。まるでどっかの洋風の屋敷みたいだ。
それからこれまたアンティーク調の木枠のカウンターが目の前にあり、その奥は臙脂の厚いカーテンで目隠ししてある。
中を観察しているうちに、アンは店主らしき大柄の女から紙袋を受け取っていた。
「なあに、カレシ?」
女は茶色い大きな目を好奇に細めた。
「そう。今日だけね」
アンはニコリとする。女はへぇーとニヤリとした。
「カンナさん、これ着てっていい?」
「いいよ。折角カレシがいるんだもんね」
カンナと呼ばれた女は折角渡した紙袋を持ってカーテンの奥に消えた。が、ついでだから、とアンも呼ぶ。
2人して居なくなってしまった。
服を取りに来ただけなのに何でこうも時間が掛かるんだ。
やっぱ女といるとめんどくせえわ。
でも思ったより早くアンは出てきた。なんだ、コートを着ただけじゃねえか。だったらここでもいいだろうが。
「どう、カレシさん。チョーかわいくない?」
「さあな」
「ないわあ」
カンナは苦笑する。
「さっきより女の子っぽいシルエットになっとるやろ。さすがカンナさんやわあ」
確かによく見ると、肩が細っそりして、腰がベルトで絞られ、1枚服を重ねただけで全体的に華奢に見えた。
「カンナさんな、僕らみたいな人間のワガママ聞いて服作ってくれるんよ。ホンマ尊敬するわ」
「やだなあ、もう。もっと褒めてっ」
笑い合う2人を他所にスマホで時間を確認する。そろそろ12時を回る。ちょうどどの店も混み合う時間だ。
「もう昼飯間に合わないんじゃねえの?」
「じゃあ買って食べよ。ごめんね待たせて」
ビルを出て、これまた女が好きそうなカラフルな断面を強調したサンドイッチとカップに入った秋季限定の南瓜サラダをカフェで買う。やっぱりこういうとこで買うと量の割に金ばっか掛かる気がする。
「コンビニのがいいじゃん」
「女の子の格好してないとこんなとこ入れへん」
そう言って無邪気に笑うアンはピクニックにでも行くようで。そんなアンを連れて俺はホテルに入るわけなんだが。
部屋に入ると、アンは買ったばかりの昼食をすぐ冷蔵庫に入れてしまった。
「メシは?」
アンは妖しく笑い、俺の首に手を回してキスをしてきた。
「スイッチ入ってもうた。シてもいい?」
「やっとかよ」
うんざりする俺に、アンは嬉しそうに口付けた。
「僕、キス好きなんよ。いっぱいしていい?」
「いいよ」
アンと俺は同じくらいの背の高さで、キスをするのは苦ではない。アンは俺の唇を啄ばみながら時々舌を絡ませる。
俺はアンのコートを脱がせようとするが、女物なのでまったく勝手が分からない。
「自分で脱いで」
キスの合間に言うと、ちょっと困った顔でベルトを外し始めた。その下の服も生地が男物とはまったく違っていて、薄くて柔らかい生地は下手したら破けてしまいそうだ。結局アンは俺の目の前でストリップをする羽目になった。
キャミソールにブラジャーまで着けていたとは恐れ入る。
下は流石に白い無地のボクサーショーツを身につけていた。
剥き出しの身体は肩幅がしっかりあって筋張っている。
ああ、やっぱ男なんだなと安心した。
「僕が挿れてもいい?」
アンは申し訳なさそうな上目遣いで言った。
化粧を落としてない顔はやっぱ女みてえだ。
「いいよ。風呂行ってくる」
どちらが挿れるかなんて、俺にとっちゃ体位の違いくらいでしかない。戻ってくると、アンは俺をベッドに磔にした。
茶色く巻いた髪が、俺の首や顔の周りにかかってくすぐったい。リップが光る唇が蠢く。
「ごめんな、すぐ欲しい」
掠れた男の声だった。
「わかった。自分で慣らすから適当に攻めて」
乳首に舌が這うのを感じながら、孔に指を入れていく。
ネコになるのいつぶりだろ。最近会うやつマジでネコが多いからな。
「なあ、まだ?」
目を潤ませアンが身体にのしかかる。下半身の硬くなったものが擦れるのを感じた。
「早えよバカ。どいてろ」
余計時間かかるじゃねえか。
「あー、早よ挿れたい」
猫のように顔を俺の頬に擦り付ける。化粧品の匂いってこんなんなんだな。
準備ができると、アンは震える手でゴムをつけ、歯を食いしばりながらゆっくり挿れていった。いつまでたっても最初のこの感覚に慣れやしない。ずーっとクソが出たり入ったりしてる感じがする。段々アンの形に慣れていくと、俺は腰を浮かせイイ所を探し始める。
あ、気持ちよくなってきたかも。
ある場所を擦ると、腰から頭まで痺れるような感覚が駆け巡った。アンの動きに合わせて俺も動き始める。
「っ・・・鈴木さん、そうとう遊んでる、でしょ」
アンは顔を歪ませる。表情は完全に雄のソレだ。
「ハッ・・・まあな」
「ごめん、もうイク」
俺が返事をするかしないか、アンは腰を何度も打ち付けた。腕にグッと力を込め、腰を浮かせ奥に導くと、叫ぶように声を上げ俺の中に全部注いだ。
結局俺たちが昼飯にありついたのはもう夕方近くなってからだった。フリータイムにしといてマジでよかった。
「ごめんな、鈴木さん」
サンドイッチを齧りながらアンは言った。
汗で化粧が崩れてメイクを落としている。目元がすっきりして少年ぽい顔つきになっていた。
「今日ずっと僕のワガママに付き合ってもらってばっかりや」
「俺はセックスできりゃそれでいいんだよ」
途中何があろうと、最終的には欲を満たせられればそれで満足なのだ。
優しいなあ、とアンはふにゃりと笑う。
「俺はただの変態だよ」
「そうやな。僕みたいなのとセックスできるんやもんな」
「は?なんで?」
アンは目をぱちくりさせた。
「男の娘って分かったらな、みんな一旦僕からすっと離れる感じがするんよ。まあしゃあないけどな」
「ふうん」
「鈴木さんはそんなん全然なくて、僕嬉しかったんや」
笑うアンのスマホが鳴った。
ちょっとごめん、とアンは電話に出る。スピーカーから、こちらに聞こえるほどの怒鳴り声が聞こえる。やがて能面のような顔で電話を切るアンにドキリとした。
「ごめん、親から。はよ帰れて」
硬い声が転がり落ちた。
「僕な、こんなんやろ、女装するのも服飾の学校もめっちゃ反対されとるんよ」
「ふうん」
「でもな、やっぱやめられへんわ。
これが僕やしな」
そう言うアンの横顔は、しっかり男の顔をしていた。
「今日はありがとうね、鈴木さん。めっちゃ楽しかった」
パッと笑顔が咲く。
「いいから化粧してこいよ、時間ねえから」
「アハハ、ホンマ酷い人やわ!」
洗面所に引っ込んでったアンが出てくるまで、思った通り時間がかかった。
遅くなるとユウジにラインしたが、既読がついただけで返事がなかった。これは帰ったら面倒になるパターンだ。
「なあ、アン」
何?と声が返ってくる。
「なんか、女のガキが喜ぶものって知ってる?」
アンが服屋で貰ったノベルティのヘアゴムと、買ってきたスイーツを持って帰ると、カホは今日誰かのお誕生日?!とテンションを爆上げし、ユウジは気色悪がってた。
「お前、まさか女でもできたのか?」
そんな買ってきた野菜の中から大嫌いな虫を見つけたような顔で聞くなよ。それがお前らにとって普通なんだろ。
「今日だけな」
と返すと今度はクエスチョンマークが目に浮かんでいた。
まあ、カホも喜んでいるし、ユウジを黙らせられたし、これはこれでよかったんだよ。
俺はきっと正しいことをしたのさ。
end
あそこ、とアンは"オーダーメイドクロスnemu"とツタ模様で縁取られた小さな看板を指差す。
「ここな、キッチリ採寸して、一人ひとりの体型に合わせたの作ってくれるんよ」
階段を登るアンの目はキラキラしていた。割と踵が高い靴だが、公園に向かう子どものように足取りが軽い。
「僕も、将来服作る仕事したいと思っとる」
ふぅん、と適当に返事をした。ヤバイ。疲れてきた。
慣れないことばっかで精神的にキてんのかもな。
ここ。とアンは足を止める。
無機質な白い壁に、無垢の木の扉が嵌め込まれていた。カホに読んでやった絵本に出てくるような。
アンはわざとくすませてある金属製のノブを回した。
「うおっ」
思わず声が出た。
ドアの中は、傘付きのガラスランプやら細工の細かい彫物がしてあるキャビネットやらが飾られていた。ダマスク柄の壁紙も貼ってあって、天井からはシャンデリア風の照明がぶら下がっている。まるでどっかの洋風の屋敷みたいだ。
それからこれまたアンティーク調の木枠のカウンターが目の前にあり、その奥は臙脂の厚いカーテンで目隠ししてある。
中を観察しているうちに、アンは店主らしき大柄の女から紙袋を受け取っていた。
「なあに、カレシ?」
女は茶色い大きな目を好奇に細めた。
「そう。今日だけね」
アンはニコリとする。女はへぇーとニヤリとした。
「カンナさん、これ着てっていい?」
「いいよ。折角カレシがいるんだもんね」
カンナと呼ばれた女は折角渡した紙袋を持ってカーテンの奥に消えた。が、ついでだから、とアンも呼ぶ。
2人して居なくなってしまった。
服を取りに来ただけなのに何でこうも時間が掛かるんだ。
やっぱ女といるとめんどくせえわ。
でも思ったより早くアンは出てきた。なんだ、コートを着ただけじゃねえか。だったらここでもいいだろうが。
「どう、カレシさん。チョーかわいくない?」
「さあな」
「ないわあ」
カンナは苦笑する。
「さっきより女の子っぽいシルエットになっとるやろ。さすがカンナさんやわあ」
確かによく見ると、肩が細っそりして、腰がベルトで絞られ、1枚服を重ねただけで全体的に華奢に見えた。
「カンナさんな、僕らみたいな人間のワガママ聞いて服作ってくれるんよ。ホンマ尊敬するわ」
「やだなあ、もう。もっと褒めてっ」
笑い合う2人を他所にスマホで時間を確認する。そろそろ12時を回る。ちょうどどの店も混み合う時間だ。
「もう昼飯間に合わないんじゃねえの?」
「じゃあ買って食べよ。ごめんね待たせて」
ビルを出て、これまた女が好きそうなカラフルな断面を強調したサンドイッチとカップに入った秋季限定の南瓜サラダをカフェで買う。やっぱりこういうとこで買うと量の割に金ばっか掛かる気がする。
「コンビニのがいいじゃん」
「女の子の格好してないとこんなとこ入れへん」
そう言って無邪気に笑うアンはピクニックにでも行くようで。そんなアンを連れて俺はホテルに入るわけなんだが。
部屋に入ると、アンは買ったばかりの昼食をすぐ冷蔵庫に入れてしまった。
「メシは?」
アンは妖しく笑い、俺の首に手を回してキスをしてきた。
「スイッチ入ってもうた。シてもいい?」
「やっとかよ」
うんざりする俺に、アンは嬉しそうに口付けた。
「僕、キス好きなんよ。いっぱいしていい?」
「いいよ」
アンと俺は同じくらいの背の高さで、キスをするのは苦ではない。アンは俺の唇を啄ばみながら時々舌を絡ませる。
俺はアンのコートを脱がせようとするが、女物なのでまったく勝手が分からない。
「自分で脱いで」
キスの合間に言うと、ちょっと困った顔でベルトを外し始めた。その下の服も生地が男物とはまったく違っていて、薄くて柔らかい生地は下手したら破けてしまいそうだ。結局アンは俺の目の前でストリップをする羽目になった。
キャミソールにブラジャーまで着けていたとは恐れ入る。
下は流石に白い無地のボクサーショーツを身につけていた。
剥き出しの身体は肩幅がしっかりあって筋張っている。
ああ、やっぱ男なんだなと安心した。
「僕が挿れてもいい?」
アンは申し訳なさそうな上目遣いで言った。
化粧を落としてない顔はやっぱ女みてえだ。
「いいよ。風呂行ってくる」
どちらが挿れるかなんて、俺にとっちゃ体位の違いくらいでしかない。戻ってくると、アンは俺をベッドに磔にした。
茶色く巻いた髪が、俺の首や顔の周りにかかってくすぐったい。リップが光る唇が蠢く。
「ごめんな、すぐ欲しい」
掠れた男の声だった。
「わかった。自分で慣らすから適当に攻めて」
乳首に舌が這うのを感じながら、孔に指を入れていく。
ネコになるのいつぶりだろ。最近会うやつマジでネコが多いからな。
「なあ、まだ?」
目を潤ませアンが身体にのしかかる。下半身の硬くなったものが擦れるのを感じた。
「早えよバカ。どいてろ」
余計時間かかるじゃねえか。
「あー、早よ挿れたい」
猫のように顔を俺の頬に擦り付ける。化粧品の匂いってこんなんなんだな。
準備ができると、アンは震える手でゴムをつけ、歯を食いしばりながらゆっくり挿れていった。いつまでたっても最初のこの感覚に慣れやしない。ずーっとクソが出たり入ったりしてる感じがする。段々アンの形に慣れていくと、俺は腰を浮かせイイ所を探し始める。
あ、気持ちよくなってきたかも。
ある場所を擦ると、腰から頭まで痺れるような感覚が駆け巡った。アンの動きに合わせて俺も動き始める。
「っ・・・鈴木さん、そうとう遊んでる、でしょ」
アンは顔を歪ませる。表情は完全に雄のソレだ。
「ハッ・・・まあな」
「ごめん、もうイク」
俺が返事をするかしないか、アンは腰を何度も打ち付けた。腕にグッと力を込め、腰を浮かせ奥に導くと、叫ぶように声を上げ俺の中に全部注いだ。
結局俺たちが昼飯にありついたのはもう夕方近くなってからだった。フリータイムにしといてマジでよかった。
「ごめんな、鈴木さん」
サンドイッチを齧りながらアンは言った。
汗で化粧が崩れてメイクを落としている。目元がすっきりして少年ぽい顔つきになっていた。
「今日ずっと僕のワガママに付き合ってもらってばっかりや」
「俺はセックスできりゃそれでいいんだよ」
途中何があろうと、最終的には欲を満たせられればそれで満足なのだ。
優しいなあ、とアンはふにゃりと笑う。
「俺はただの変態だよ」
「そうやな。僕みたいなのとセックスできるんやもんな」
「は?なんで?」
アンは目をぱちくりさせた。
「男の娘って分かったらな、みんな一旦僕からすっと離れる感じがするんよ。まあしゃあないけどな」
「ふうん」
「鈴木さんはそんなん全然なくて、僕嬉しかったんや」
笑うアンのスマホが鳴った。
ちょっとごめん、とアンは電話に出る。スピーカーから、こちらに聞こえるほどの怒鳴り声が聞こえる。やがて能面のような顔で電話を切るアンにドキリとした。
「ごめん、親から。はよ帰れて」
硬い声が転がり落ちた。
「僕な、こんなんやろ、女装するのも服飾の学校もめっちゃ反対されとるんよ」
「ふうん」
「でもな、やっぱやめられへんわ。
これが僕やしな」
そう言うアンの横顔は、しっかり男の顔をしていた。
「今日はありがとうね、鈴木さん。めっちゃ楽しかった」
パッと笑顔が咲く。
「いいから化粧してこいよ、時間ねえから」
「アハハ、ホンマ酷い人やわ!」
洗面所に引っ込んでったアンが出てくるまで、思った通り時間がかかった。
遅くなるとユウジにラインしたが、既読がついただけで返事がなかった。これは帰ったら面倒になるパターンだ。
「なあ、アン」
何?と声が返ってくる。
「なんか、女のガキが喜ぶものって知ってる?」
アンが服屋で貰ったノベルティのヘアゴムと、買ってきたスイーツを持って帰ると、カホは今日誰かのお誕生日?!とテンションを爆上げし、ユウジは気色悪がってた。
「お前、まさか女でもできたのか?」
そんな買ってきた野菜の中から大嫌いな虫を見つけたような顔で聞くなよ。それがお前らにとって普通なんだろ。
「今日だけな」
と返すと今度はクエスチョンマークが目に浮かんでいた。
まあ、カホも喜んでいるし、ユウジを黙らせられたし、これはこれでよかったんだよ。
俺はきっと正しいことをしたのさ。
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