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最終章 吾亦紅
独占欲
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蒼万は志瑞也を抱かえ、黄龍殿での宴の席を抜け自室に戻ってきた。黄怜殿へ戻るまでに志瑞也の身体は火照り、蒼万の顔や首筋に口づけを繰り返し、耳元で甘い吐息を漏らしていた。志瑞也の衣を剥ぎ取ると、既に内股には入口から溢れた液が垂れていた。反り勃った物もびくんと動き、蒼万は生唾を飲み優しく握って動かす。
「ふっ、志瑞也、皆の前で興奮していたのか?」
「はぁっ…んっ、蒼万っ、気持ちいい…っ、もっとして…」
「しっかり立っていろ」
蒼万はしゃがんで志瑞也の物を口に含む。「ああっ…」志瑞也は足の力が抜けそうになりながらも、蒼万の肩に手を置いて身体を支える。蒼万の舌が絡みつき、志瑞也の物を吸い上げた。「あう…っ」神経がそこだけに集中し、何も考えられなくなる。味を知ってからは特に興奮が抑えられず、三ヶ月の間に、身体はすっかり蒼万に慣らされてしまっていた。熱い手で腰を触られると身体は直ぐに疼き、入口は蒼万を求めて濡れてくる。一度疼きが始まると、自分では止められず快楽に溺れるだけだ。その疼きも蒼万にしか止められない。
「あん…っ、そっ蒼万っ…もう出るっ、はっ離して…駄目っ、出るっ、うっ………」
志瑞也は達したことで少し思考が戻り、あの場で自分を抑えられなかった悔しさを込み上げた。
「はぁ…はぁ… なっ、何で皆の前であんなことするんだよ… 俺が蒼万に触れられたら…ううっ… こうなるの、わかっているだろっ… ひっ酷いよ…」
蒼万が志瑞也の白濁を口から出し、入口にあて縁を解しだす。
「あっ、やっやめろよ、今話してるだろ…っ」
「何故怒った」
「いっ…言いたくないっ、あっ…」
ならばと蒼万は指をニ本入れる。
志瑞也は足を震わせながら、このまま瞳を見ると理性が持たないと、目を瞑り唇を噛みしめた。まだ粘るのかと蒼万は更に三本と増やすが、それでも志瑞也は堅く口を閉ざしている。神力を使って吐かせるのは簡単だが、もし自分に対する不満なら、力を使わない方が良いと蒼万は考えた。指を抜き寝床に腹ばいにさせ、腰を持ち上げ両膝を立たせた。
いつもの興奮した荒い手付きとの違いに、志瑞也は身の危険を感じ振り返る。
「そっ蒼万っ、怒っているのか?」
蒼万は無表情で低く言う。
「二度は言わない」
「ああーっ…」
蒼万が志瑞也の物の根本を握り、入口を浅く弄りだす。疼いても達することができず、腰を動かしても出させてもらえない。蒼万の物で奥を突かれる悦びを知っている身体には、この仕打ちは拷問でしかない。入口は求めていた物が入ってこず、浅い所で動く指に吸い付き涎を垂らしている。余程蒼万は怒っているのか、手の熱さえ伝わってこない。身体だけが感じてしまっていることに、志瑞也は胸が張り裂けそうになる。後ろに手を回して蒼万の腕を掴む。
「そっそれ嫌だっ、お願いやめっ、あっ…ううっ… ひっ酷いよ蒼万っ、あっ、苦しい… こっこんな触り方…嫌だっ、うううっ…」
「なら分かるだろ」
志瑞也は苦痛に耐えきれず口を漏らす。
「い…嫌だったんだ……」
「何がだっ」
やはり不満があるのだと、蒼万は指にぐっと力を入れる。
「あう…っ、いっ言うからっ…やめろよっ、ぐすっ… そっ蒼万が…ううっ… おっ俺以外の人に、笑った顔を見せるのが… ひっく…」
蒼万は指の動きを止める。
「私に笑われたことを… 怒っていたのでは、ないのか?」
志瑞也はほっとしながらも、身体の疼きは収まらない。話したからといって、どうにもならない。それでも誤魔化せば、また同じことをされる。志瑞也は仕方なく、どす黒い渦の正体を明かす。
「ち…違う、蒼万が皆と仲良くなるのは…ううっ…俺も嬉しい… だけど、俺しか知らない蒼万を…皆が知るのは嫌だったんだっ、しかも…みっ皆は蒼万を…『お前』て仲良く呼び合って… ううっ…何で俺だけ… 俺が知らない蒼万を… 皆が知っているのが、嫌だったんだっ、自分に、こんな独占欲があるなんて…ひっく… 言いたくなかった…ううっ… ちゃんと教えただろっ、こんな触り方二度とするなっ…」
「…わかった」
不満とはこんなにも愛しいものなのか、志瑞也は四つん這いで、お尻を突き出したまま泣いている。そのせいか、閉じたり開いたりと動く入口に、蒼万は堪らず釘付けになっていた。熱くなった手で志瑞也のお尻に触れ、なでながら腰を掴んだ。
「あ…っ、そっ蒼万… んっ…」
蒼万が低く呟く。
「お前には名で呼ばれたい…」
…え?
「そっそれって、いつかああーっ………」
蒼万の物が後ろから一気に奥へ捻じ込まれた。欲しかった物をやっともらえて、散々焦らされた内壁は蒼万を締め上げた。急な刺激に、志瑞也は意識が飛びそうになる。
「く…っ、志瑞也…っ」
志瑞也の蜜の香りが漂い、見るとぽたぽたと白濁が先から垂れていた。
蒼万は呆れ笑う。
「ふっ、お前は挿れただけで達するのか?」
これには志瑞也も驚いた。
「ご…ごめんっ、蒼万のが欲しくて… ちょっと出た…」
日頃思っている事は隠すくせに、こういう事に関しては恥ずかしげもなく素直に答える。興奮すると更に従順になり、蒼万はそんな志瑞也が可愛くて仕方ないのだ。腰を動かし胸の突起を弄ると、中はその度に締まり反応を返す。
「あう…っ、きっ気持ちいい…っ、はっ、あ…っ、蒼万っ、もっと突いて…っ、あっ、奥まで挿れてっ…」
疼いていた身体が満たされていく感覚に、志瑞也は自分の物を弄りたくなる衝動を抑える。片手を後ろに回してお尻を掴んで広げると、蒼万がぐっと奥に押し込み、背中や肩に何度も咬みつく。
「あッ…いいっ、蒼万もっと、強く咬んでっ、ああッ…蒼万好きっ、奥気持ちいい…」
蒼万は志瑞也の上半身を起こし、膝を突いたまま身体を振り向かせる。
「あっ…なんで抜くんだっ、ちゅっ、んんっ…あっ…蒼万、甘い……」
志瑞也にとって蒼万の唾液は、媚薬のように身体を溶かしてくれる。先程のどす黒い渦さえも嘘のように消え、衣を脱がし逞しい肉体美に触れた。
蒼万が優しく抱きしめる。
「もう怒ってないのか…?」
「怒っていたのはお前だ」
そう言って微笑む。
「その顔、誰にも見せるなよ… ちゅっ」
「私に命令するのか?」
また微笑む。
「じゃ…ちゅっ、お願い… んんっ…」
蒼万が我儘な淫魔を下腹部の上に乗せると、自ら蒼万の物を掴んで入口にあてがう。一口目を味わうように、ゆっくりと腰を落とし「はぁん…っ」嬌声を上げた。
志瑞也は初めて蒼万に会った時を思い返す。もしかしたら蒼万は、あの時から自分を想っていたのではないか、それが事実なら一目惚れということになる。今までどんな気持ちで耐えてきたのかと思うと、中の物の激しさに昂揚感が増し確かめたくなった。腰をくねらせながら、蒼万を見下ろし甘い笑を浮かべる。
「蒼万は俺のこといつから好きだったんだ…? 俺に名前呼ばれるの、好きか…? いつから俺をこうして……」
「う…っ、お前っ」
蒼万が顔を歪めて睨む。
志瑞也はこの顔が堪らなく大好きだ。
「ふっ、犯したかったんだ? 教えろよ蒼万…ほら……」
淫魔化した志瑞也は入口をきつく締め、毎度悪戯に蒼万を煽ってくる。何度調教してもそれは変わらない、むしろ酷くされるのを悦んでもいる。
「く…っ、私に苛められたいのかっ」
蒼万は志瑞也の両太腿を掴んで突き上げる。
「蒼万っ、もっとして蒼万…っ、蒼万のいい…っ、ああっ…」
志瑞也は蒼万の上で淫らに叫んだ。自分の名を卑猥な声で呼ばれ続け、耳から入る刺激に蒼万の身体は熱を発する。志瑞也は蒼万の胸に顔を埋め、湧き出た汗を舐める。それはずっと想っていたと言われているようで、とても甘かった。
「美味いか…?」
「うん…美味しい… キャラメルみたいだ…」
自分だけが独占欲や嫉妬に塗れていると思っていたが、志瑞也もそうだとわかり、蒼万は顔の筋肉が緩んでいた。
「蒼万、その顔は駄目だ…」
「何故…」
「他の人が蒼万を好きになったら… 嫌だ…」
「どんな顔だ…」
蒼万は志瑞也の小さく膨らんだお尻を掴み、奥に激しく突き上げる。
「可愛い、はあぅ…っ、あっ蒼万…っ、気持ちいい、あっ、もっと犯してっ…はっ、あ…っ、蒼万っ、キスしてっ、んっ…ちゅっ、んんんっ……」
カッタン…
「…、…」
その時、蒼万は外から気配を感じるが、淫魔化している志瑞也には自分しか見えていない。蒼万は少し考えた。恐らく外に居る者達は、志瑞也の変化に気付いたのであろう。確かめに来たのであれば、思い知らせるまでだと上半身を起こし、唇に吸い付いている志瑞也を引き離す。
「どうしてほしい…」
「はぁ、はぁ… いっいつもみたいに、して…」
「いつもとは…」
「蒼万ので、俺のいい所擦って…」
腰を奥へ突き上げ、望み通りそこを擦る。
「あうっ…きっ気持ちいいっ、あんっ…」
「他は…っ」
「そっ蒼万の中に出してっ、はっ、あ…っ、奥にっ、いっぱい出して…っ、はっ、あん…っ、そこいいっ、いきそう…っ、はっ、あっ、俺もう…いくっ…あッ」
蒼万が志瑞也の物の根本を握る。
「なっ何でっ、また…やめろよっ、それ嫌だっ、蒼万っ…あっ、離せよ蒼万っ、あっ…」
最終的にはいつも離してくれるのに、なかなか離してくれない。根本が限界かと思ったその時、今までにない疼きが下腹部に集中する。
「まっ待って蒼万っ、あっ…おっお腹が、変な感じがする…っ、待ってやめっ、あっ、あうっ………」
蒼万は志瑞也に絞り取られたが、締まり具合からして達したはずの志瑞也の物は、握っていたせいで何も吐き出されてはいない。志瑞也は力なく蒼万に凭れ、身体をひくつかせている。外の者達に知らしめる為とはいえ、流石に苛め過ぎたと、蒼万は志瑞也の身体を支え頬に触れた。
「あっ…」
「志瑞也…?」
「あっ…蒼万… なっ何か… あっ…身体が…」
目までもちかちかと眩み、達した感覚は同じだが全身が痙攣している。これは一体何なのだろうかと、志瑞也はうつむいて自分の物を見た。
あれ?
……ああ何て事だろう、こんな快感を身体が覚えてしまったら、もっと自分を自制できなくなるではないか。ただえさえも快楽に溺れているのに、更にその先に到達してしまうなんて、志瑞也は何故か恥ずかしくなる。目線をゆっくり蒼万に向けると、やはり驚いた顔をしていた。これは是非とも教えてあげなければ、蒼万の意地悪な手と物が、自分をこんな身体にしたのだと。
「蒼万…俺、お尻で… あっ…いったかも… 出してないのに、んっ… 凄く…気持ち良かった…」
蒼万は朱翔の話を思い返す、稀に慣れてくるとそういうこともあると。今までの達した後とは違い、全身が性感帯の様に、何処を触っても敏感になっている。ここにきてまだ変化する志瑞也の身体に、外の者達のことなど一瞬で頭から消え失せた。蒼万は湧き上がる興奮に我を忘れ、猛獣の様に貪りつく。
「ああーッ」
志瑞也を荒々しく寝床に押し倒し、胸に咬みつき、腰を大きく前後に振る。達した後で蒼万の物も敏感になっているが、中の具合もいつもと違い、纏わりつきながらうねっている。その何とも言えない刺激に、蒼万の腰は狂ったように志瑞也を攻め続けた。
しがみつくことすらできない志瑞也は、身体を揺さぶられながら叫ぶ。
「蒼万っ、こっ壊れちゃうよっ、ああ…っ 待ってっ、優しくして…っ、ああッ きっ気持ちいいっ、もっと強く咬んで…っ、ああーッ」
この貪り付かれる感覚が、蒼万が自分に夢中だと思うと堪らないのだ。
蒼万は息を荒くして、志瑞也の両足を頭まで上げ、根本を奥深くに挿れ込んだ。広がった入口からは液に混じり、中に吐き出された蒼万の白濁が、粘り音を立てながら零れている。蒼万の密の匂いに誘われ、志瑞也は上唇を舐め自分の物を擦る。
「はあっ…蒼万っ、あぁ…っ、そっそんな奥まで…っ、はあう… きっ気持ちいいっ…ああっ、蒼万っ好きっ…あうっ、いいっ、は…っ、もっとしてっ、中弄ってっ、はぁん…っ」
「く…っ」
「蒼万のっ、その顔好き…っ、はあっ、もっと見せてっ…」
中が締まり蒼万が顔を歪めると、志瑞也の物は反応して張りだす。あまりの気持ち良さに、脳内が翻弄され、何をしているのか分からなくなっていた。ただ目の前で熱くなる男が、愛しい人ということ以外何も見えない。このまま一つに溶けそうなほど、濃厚で甘い刺激に溺れる。志瑞也は蒼万の顔を見ながら、快楽のままに手を激しく動かす。
「あっ、蒼万っ可愛い…はっ、あっ、気持ちいいっ、はあ…っ、あっ、蒼万…っ、俺もう… んっ、いっ一緒に…っ」
蒼万は頷き腰を激しく刻む。
「はあう、いい…っ、気持ちいいっ、はっ、あっ、いっいくっ、蒼万好きっ…蒼万っ、いくっ…ああーっ………」
絶頂を迎えた志瑞也は、潤んだ瞳で身体を震わせ、手の動きと共に白濁を吐き出す。視覚的絵面もそうだが、漂う熱や香りに蒼万は目眩がした。動けない程の締めつけに、蒼万の物は再び奥で爆てる。志瑞也は甘い吐息を刻みながら、しばらく全身をひくつかせた。蒼万は志瑞也を抱え寝床に仰向けになり、志瑞也は蒼万の胸に凭れながら、まだ荒い鼓動に耳を澄ました。
「志瑞也、好きだ…」
優しく志瑞也の頭をなで、額に口づけする。
「蒼…万…」
翌日、少しの肌寒さで志瑞也は目覚める。昨夜は二人共そのまま何も着ず寝てしまったが、蒼万の肌の体温がとても心地良かった。もぞもぞと蒼万の胸に頬を寄せる。
「誘っているのか?」
「もう出ないよ」
そう言って志瑞也が笑うと、蒼万は抱き寄せ鼻で笑う。
二人で朝風呂に入り、蒼万が後ろから志瑞也の体を流す。
「蒼万ありがとう、俺も蒼万の背中流すよ」
水を汲もうと屈むと、お尻が広げられ硬い物が入口にあたる。
「そっ蒼万っ? 誰か入って来たらどうするんだよっ」
「ふっ、誰も来なければしてよいのか?」
「ちっ違っ、あっ、やめ…っ、入るっ、はぁんっ…」
誘う蒼万を志瑞也は拒めない、二人共自制心を鍛える必要がある。
残りの四人は二日酔いなのか、朝餉時になっても誰も部屋から出て来なかった。
「蒼万、皆起こした方がいいかな?」
「必要ない」
何故か蒼万の目はご機嫌だった。
志瑞也はふと思い出し隠し扉を確認するが、扉は板で釘打ちされ塞がれていた。〝これからの中央宮に隠すものはもう何もない〟そういう意味なのだろうか。それとも玄華の配慮なのか、どちらにせよ閉ざされたことに安堵した。
昼餉には全員が揃い「皆どうしたんだ? そんなに呑んだのか?アハハハ」志瑞也が聞くと「そっそうなんだよハッハハ」朱翔は目を逸らす。「そっか、俺も亀酒…あっ、そうだっ、皆宴の時ごめんな、俺酔っぱらって…」志瑞也は酒のせいにすることにした。柊虎は「それなら志瑞也は、酒はあまり呑まない方がよいなハッハハ」朱翔同様に目を逸らす。「志瑞也、今日は髪下ろしてるのだな、似合うではないかハハハ」食べながら笑う磨虎に「兄上っ」柊虎が怒鳴り「お前っ、頭悪すぎるぞっ」朱翔も怒った。「まっ磨虎さんっ、鼻血が出ていますっ」玄弥が顔を赤くして言い「磨虎大丈夫か?」「兄上っ」「ったくお前はっ」「あっああ…」「磨虎さん衣にっ」とあたふたと騒いでいたら「黙って食べろっ!」蒼万に鎮められた。
後から黄虎に会いに、皆で銀白龍殿へ行くことになった。
「ふっ、志瑞也、皆の前で興奮していたのか?」
「はぁっ…んっ、蒼万っ、気持ちいい…っ、もっとして…」
「しっかり立っていろ」
蒼万はしゃがんで志瑞也の物を口に含む。「ああっ…」志瑞也は足の力が抜けそうになりながらも、蒼万の肩に手を置いて身体を支える。蒼万の舌が絡みつき、志瑞也の物を吸い上げた。「あう…っ」神経がそこだけに集中し、何も考えられなくなる。味を知ってからは特に興奮が抑えられず、三ヶ月の間に、身体はすっかり蒼万に慣らされてしまっていた。熱い手で腰を触られると身体は直ぐに疼き、入口は蒼万を求めて濡れてくる。一度疼きが始まると、自分では止められず快楽に溺れるだけだ。その疼きも蒼万にしか止められない。
「あん…っ、そっ蒼万っ…もう出るっ、はっ離して…駄目っ、出るっ、うっ………」
志瑞也は達したことで少し思考が戻り、あの場で自分を抑えられなかった悔しさを込み上げた。
「はぁ…はぁ… なっ、何で皆の前であんなことするんだよ… 俺が蒼万に触れられたら…ううっ… こうなるの、わかっているだろっ… ひっ酷いよ…」
蒼万が志瑞也の白濁を口から出し、入口にあて縁を解しだす。
「あっ、やっやめろよ、今話してるだろ…っ」
「何故怒った」
「いっ…言いたくないっ、あっ…」
ならばと蒼万は指をニ本入れる。
志瑞也は足を震わせながら、このまま瞳を見ると理性が持たないと、目を瞑り唇を噛みしめた。まだ粘るのかと蒼万は更に三本と増やすが、それでも志瑞也は堅く口を閉ざしている。神力を使って吐かせるのは簡単だが、もし自分に対する不満なら、力を使わない方が良いと蒼万は考えた。指を抜き寝床に腹ばいにさせ、腰を持ち上げ両膝を立たせた。
いつもの興奮した荒い手付きとの違いに、志瑞也は身の危険を感じ振り返る。
「そっ蒼万っ、怒っているのか?」
蒼万は無表情で低く言う。
「二度は言わない」
「ああーっ…」
蒼万が志瑞也の物の根本を握り、入口を浅く弄りだす。疼いても達することができず、腰を動かしても出させてもらえない。蒼万の物で奥を突かれる悦びを知っている身体には、この仕打ちは拷問でしかない。入口は求めていた物が入ってこず、浅い所で動く指に吸い付き涎を垂らしている。余程蒼万は怒っているのか、手の熱さえ伝わってこない。身体だけが感じてしまっていることに、志瑞也は胸が張り裂けそうになる。後ろに手を回して蒼万の腕を掴む。
「そっそれ嫌だっ、お願いやめっ、あっ…ううっ… ひっ酷いよ蒼万っ、あっ、苦しい… こっこんな触り方…嫌だっ、うううっ…」
「なら分かるだろ」
志瑞也は苦痛に耐えきれず口を漏らす。
「い…嫌だったんだ……」
「何がだっ」
やはり不満があるのだと、蒼万は指にぐっと力を入れる。
「あう…っ、いっ言うからっ…やめろよっ、ぐすっ… そっ蒼万が…ううっ… おっ俺以外の人に、笑った顔を見せるのが… ひっく…」
蒼万は指の動きを止める。
「私に笑われたことを… 怒っていたのでは、ないのか?」
志瑞也はほっとしながらも、身体の疼きは収まらない。話したからといって、どうにもならない。それでも誤魔化せば、また同じことをされる。志瑞也は仕方なく、どす黒い渦の正体を明かす。
「ち…違う、蒼万が皆と仲良くなるのは…ううっ…俺も嬉しい… だけど、俺しか知らない蒼万を…皆が知るのは嫌だったんだっ、しかも…みっ皆は蒼万を…『お前』て仲良く呼び合って… ううっ…何で俺だけ… 俺が知らない蒼万を… 皆が知っているのが、嫌だったんだっ、自分に、こんな独占欲があるなんて…ひっく… 言いたくなかった…ううっ… ちゃんと教えただろっ、こんな触り方二度とするなっ…」
「…わかった」
不満とはこんなにも愛しいものなのか、志瑞也は四つん這いで、お尻を突き出したまま泣いている。そのせいか、閉じたり開いたりと動く入口に、蒼万は堪らず釘付けになっていた。熱くなった手で志瑞也のお尻に触れ、なでながら腰を掴んだ。
「あ…っ、そっ蒼万… んっ…」
蒼万が低く呟く。
「お前には名で呼ばれたい…」
…え?
「そっそれって、いつかああーっ………」
蒼万の物が後ろから一気に奥へ捻じ込まれた。欲しかった物をやっともらえて、散々焦らされた内壁は蒼万を締め上げた。急な刺激に、志瑞也は意識が飛びそうになる。
「く…っ、志瑞也…っ」
志瑞也の蜜の香りが漂い、見るとぽたぽたと白濁が先から垂れていた。
蒼万は呆れ笑う。
「ふっ、お前は挿れただけで達するのか?」
これには志瑞也も驚いた。
「ご…ごめんっ、蒼万のが欲しくて… ちょっと出た…」
日頃思っている事は隠すくせに、こういう事に関しては恥ずかしげもなく素直に答える。興奮すると更に従順になり、蒼万はそんな志瑞也が可愛くて仕方ないのだ。腰を動かし胸の突起を弄ると、中はその度に締まり反応を返す。
「あう…っ、きっ気持ちいい…っ、はっ、あ…っ、蒼万っ、もっと突いて…っ、あっ、奥まで挿れてっ…」
疼いていた身体が満たされていく感覚に、志瑞也は自分の物を弄りたくなる衝動を抑える。片手を後ろに回してお尻を掴んで広げると、蒼万がぐっと奥に押し込み、背中や肩に何度も咬みつく。
「あッ…いいっ、蒼万もっと、強く咬んでっ、ああッ…蒼万好きっ、奥気持ちいい…」
蒼万は志瑞也の上半身を起こし、膝を突いたまま身体を振り向かせる。
「あっ…なんで抜くんだっ、ちゅっ、んんっ…あっ…蒼万、甘い……」
志瑞也にとって蒼万の唾液は、媚薬のように身体を溶かしてくれる。先程のどす黒い渦さえも嘘のように消え、衣を脱がし逞しい肉体美に触れた。
蒼万が優しく抱きしめる。
「もう怒ってないのか…?」
「怒っていたのはお前だ」
そう言って微笑む。
「その顔、誰にも見せるなよ… ちゅっ」
「私に命令するのか?」
また微笑む。
「じゃ…ちゅっ、お願い… んんっ…」
蒼万が我儘な淫魔を下腹部の上に乗せると、自ら蒼万の物を掴んで入口にあてがう。一口目を味わうように、ゆっくりと腰を落とし「はぁん…っ」嬌声を上げた。
志瑞也は初めて蒼万に会った時を思い返す。もしかしたら蒼万は、あの時から自分を想っていたのではないか、それが事実なら一目惚れということになる。今までどんな気持ちで耐えてきたのかと思うと、中の物の激しさに昂揚感が増し確かめたくなった。腰をくねらせながら、蒼万を見下ろし甘い笑を浮かべる。
「蒼万は俺のこといつから好きだったんだ…? 俺に名前呼ばれるの、好きか…? いつから俺をこうして……」
「う…っ、お前っ」
蒼万が顔を歪めて睨む。
志瑞也はこの顔が堪らなく大好きだ。
「ふっ、犯したかったんだ? 教えろよ蒼万…ほら……」
淫魔化した志瑞也は入口をきつく締め、毎度悪戯に蒼万を煽ってくる。何度調教してもそれは変わらない、むしろ酷くされるのを悦んでもいる。
「く…っ、私に苛められたいのかっ」
蒼万は志瑞也の両太腿を掴んで突き上げる。
「蒼万っ、もっとして蒼万…っ、蒼万のいい…っ、ああっ…」
志瑞也は蒼万の上で淫らに叫んだ。自分の名を卑猥な声で呼ばれ続け、耳から入る刺激に蒼万の身体は熱を発する。志瑞也は蒼万の胸に顔を埋め、湧き出た汗を舐める。それはずっと想っていたと言われているようで、とても甘かった。
「美味いか…?」
「うん…美味しい… キャラメルみたいだ…」
自分だけが独占欲や嫉妬に塗れていると思っていたが、志瑞也もそうだとわかり、蒼万は顔の筋肉が緩んでいた。
「蒼万、その顔は駄目だ…」
「何故…」
「他の人が蒼万を好きになったら… 嫌だ…」
「どんな顔だ…」
蒼万は志瑞也の小さく膨らんだお尻を掴み、奥に激しく突き上げる。
「可愛い、はあぅ…っ、あっ蒼万…っ、気持ちいい、あっ、もっと犯してっ…はっ、あ…っ、蒼万っ、キスしてっ、んっ…ちゅっ、んんんっ……」
カッタン…
「…、…」
その時、蒼万は外から気配を感じるが、淫魔化している志瑞也には自分しか見えていない。蒼万は少し考えた。恐らく外に居る者達は、志瑞也の変化に気付いたのであろう。確かめに来たのであれば、思い知らせるまでだと上半身を起こし、唇に吸い付いている志瑞也を引き離す。
「どうしてほしい…」
「はぁ、はぁ… いっいつもみたいに、して…」
「いつもとは…」
「蒼万ので、俺のいい所擦って…」
腰を奥へ突き上げ、望み通りそこを擦る。
「あうっ…きっ気持ちいいっ、あんっ…」
「他は…っ」
「そっ蒼万の中に出してっ、はっ、あ…っ、奥にっ、いっぱい出して…っ、はっ、あん…っ、そこいいっ、いきそう…っ、はっ、あっ、俺もう…いくっ…あッ」
蒼万が志瑞也の物の根本を握る。
「なっ何でっ、また…やめろよっ、それ嫌だっ、蒼万っ…あっ、離せよ蒼万っ、あっ…」
最終的にはいつも離してくれるのに、なかなか離してくれない。根本が限界かと思ったその時、今までにない疼きが下腹部に集中する。
「まっ待って蒼万っ、あっ…おっお腹が、変な感じがする…っ、待ってやめっ、あっ、あうっ………」
蒼万は志瑞也に絞り取られたが、締まり具合からして達したはずの志瑞也の物は、握っていたせいで何も吐き出されてはいない。志瑞也は力なく蒼万に凭れ、身体をひくつかせている。外の者達に知らしめる為とはいえ、流石に苛め過ぎたと、蒼万は志瑞也の身体を支え頬に触れた。
「あっ…」
「志瑞也…?」
「あっ…蒼万… なっ何か… あっ…身体が…」
目までもちかちかと眩み、達した感覚は同じだが全身が痙攣している。これは一体何なのだろうかと、志瑞也はうつむいて自分の物を見た。
あれ?
……ああ何て事だろう、こんな快感を身体が覚えてしまったら、もっと自分を自制できなくなるではないか。ただえさえも快楽に溺れているのに、更にその先に到達してしまうなんて、志瑞也は何故か恥ずかしくなる。目線をゆっくり蒼万に向けると、やはり驚いた顔をしていた。これは是非とも教えてあげなければ、蒼万の意地悪な手と物が、自分をこんな身体にしたのだと。
「蒼万…俺、お尻で… あっ…いったかも… 出してないのに、んっ… 凄く…気持ち良かった…」
蒼万は朱翔の話を思い返す、稀に慣れてくるとそういうこともあると。今までの達した後とは違い、全身が性感帯の様に、何処を触っても敏感になっている。ここにきてまだ変化する志瑞也の身体に、外の者達のことなど一瞬で頭から消え失せた。蒼万は湧き上がる興奮に我を忘れ、猛獣の様に貪りつく。
「ああーッ」
志瑞也を荒々しく寝床に押し倒し、胸に咬みつき、腰を大きく前後に振る。達した後で蒼万の物も敏感になっているが、中の具合もいつもと違い、纏わりつきながらうねっている。その何とも言えない刺激に、蒼万の腰は狂ったように志瑞也を攻め続けた。
しがみつくことすらできない志瑞也は、身体を揺さぶられながら叫ぶ。
「蒼万っ、こっ壊れちゃうよっ、ああ…っ 待ってっ、優しくして…っ、ああッ きっ気持ちいいっ、もっと強く咬んで…っ、ああーッ」
この貪り付かれる感覚が、蒼万が自分に夢中だと思うと堪らないのだ。
蒼万は息を荒くして、志瑞也の両足を頭まで上げ、根本を奥深くに挿れ込んだ。広がった入口からは液に混じり、中に吐き出された蒼万の白濁が、粘り音を立てながら零れている。蒼万の密の匂いに誘われ、志瑞也は上唇を舐め自分の物を擦る。
「はあっ…蒼万っ、あぁ…っ、そっそんな奥まで…っ、はあう… きっ気持ちいいっ…ああっ、蒼万っ好きっ…あうっ、いいっ、は…っ、もっとしてっ、中弄ってっ、はぁん…っ」
「く…っ」
「蒼万のっ、その顔好き…っ、はあっ、もっと見せてっ…」
中が締まり蒼万が顔を歪めると、志瑞也の物は反応して張りだす。あまりの気持ち良さに、脳内が翻弄され、何をしているのか分からなくなっていた。ただ目の前で熱くなる男が、愛しい人ということ以外何も見えない。このまま一つに溶けそうなほど、濃厚で甘い刺激に溺れる。志瑞也は蒼万の顔を見ながら、快楽のままに手を激しく動かす。
「あっ、蒼万っ可愛い…はっ、あっ、気持ちいいっ、はあ…っ、あっ、蒼万…っ、俺もう… んっ、いっ一緒に…っ」
蒼万は頷き腰を激しく刻む。
「はあう、いい…っ、気持ちいいっ、はっ、あっ、いっいくっ、蒼万好きっ…蒼万っ、いくっ…ああーっ………」
絶頂を迎えた志瑞也は、潤んだ瞳で身体を震わせ、手の動きと共に白濁を吐き出す。視覚的絵面もそうだが、漂う熱や香りに蒼万は目眩がした。動けない程の締めつけに、蒼万の物は再び奥で爆てる。志瑞也は甘い吐息を刻みながら、しばらく全身をひくつかせた。蒼万は志瑞也を抱え寝床に仰向けになり、志瑞也は蒼万の胸に凭れながら、まだ荒い鼓動に耳を澄ました。
「志瑞也、好きだ…」
優しく志瑞也の頭をなで、額に口づけする。
「蒼…万…」
翌日、少しの肌寒さで志瑞也は目覚める。昨夜は二人共そのまま何も着ず寝てしまったが、蒼万の肌の体温がとても心地良かった。もぞもぞと蒼万の胸に頬を寄せる。
「誘っているのか?」
「もう出ないよ」
そう言って志瑞也が笑うと、蒼万は抱き寄せ鼻で笑う。
二人で朝風呂に入り、蒼万が後ろから志瑞也の体を流す。
「蒼万ありがとう、俺も蒼万の背中流すよ」
水を汲もうと屈むと、お尻が広げられ硬い物が入口にあたる。
「そっ蒼万っ? 誰か入って来たらどうするんだよっ」
「ふっ、誰も来なければしてよいのか?」
「ちっ違っ、あっ、やめ…っ、入るっ、はぁんっ…」
誘う蒼万を志瑞也は拒めない、二人共自制心を鍛える必要がある。
残りの四人は二日酔いなのか、朝餉時になっても誰も部屋から出て来なかった。
「蒼万、皆起こした方がいいかな?」
「必要ない」
何故か蒼万の目はご機嫌だった。
志瑞也はふと思い出し隠し扉を確認するが、扉は板で釘打ちされ塞がれていた。〝これからの中央宮に隠すものはもう何もない〟そういう意味なのだろうか。それとも玄華の配慮なのか、どちらにせよ閉ざされたことに安堵した。
昼餉には全員が揃い「皆どうしたんだ? そんなに呑んだのか?アハハハ」志瑞也が聞くと「そっそうなんだよハッハハ」朱翔は目を逸らす。「そっか、俺も亀酒…あっ、そうだっ、皆宴の時ごめんな、俺酔っぱらって…」志瑞也は酒のせいにすることにした。柊虎は「それなら志瑞也は、酒はあまり呑まない方がよいなハッハハ」朱翔同様に目を逸らす。「志瑞也、今日は髪下ろしてるのだな、似合うではないかハハハ」食べながら笑う磨虎に「兄上っ」柊虎が怒鳴り「お前っ、頭悪すぎるぞっ」朱翔も怒った。「まっ磨虎さんっ、鼻血が出ていますっ」玄弥が顔を赤くして言い「磨虎大丈夫か?」「兄上っ」「ったくお前はっ」「あっああ…」「磨虎さん衣にっ」とあたふたと騒いでいたら「黙って食べろっ!」蒼万に鎮められた。
後から黄虎に会いに、皆で銀白龍殿へ行くことになった。
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