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第1章 見知らぬ村、見知らぬ人
第7話(2020.11.2一部改稿)
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食堂に来てから数十分後。三人はぱんぱんに膨れたお腹をさすりながら食後の歓談に移っていた。
「とても美味しかったです! ご馳走様でした」
「ふふ、美味しそうに食べますね。私が作ったわけでもないのに嬉しくなります」
「お前見かけによらず食うんだなあ。その体のどこにそんなに入ってるんだ?」
特にレナードの周りは何段にも及ぶ空皿が積まれており、これまた大食いのガイルの分も合わせ、テーブルは圧巻の荒れ具合だった。
「確かに元々食は太かったんですが、ここの料理はつい食べちゃいますね。美味しすぎるのがいけないんですよ! 太りそうです」
「ははは、その分動け。腹ごなしに走りにでもいくか?」
そのまま走り出しそうなガイルを、セクレトが諫めるように睨む。
「当初の目的を忘れないで下さい。いつも目先のことばかり考える癖、いい加減直してくれませんか」
「またそうやって憎まれ口を言う奴だな、ついさっき今日は口論なしだと言い出したのはお前だろ?」
ガイルは眉を顰めながらも落ち着いた口調で反論した。セクレトは何か言いたげに口を開いたが、思い直したらしく一度口を閉じ、小さくため息を吐く。
「分かりました。今のは私の言い方が良くなかった。謝罪しましょう。それでは移動する前にここで生活する上で大事なことをお話ししますね」
村には古くから続くいくつかの決まり事があるそうだ。
・森に入ることは禁じる
・村の外に許可なく出ることを禁じる
・能力を私的闘争に使うことを禁じる
「細々したことはともかく、大きくはこんな所ですね」
「色々気になりますけど、能力というのは一体何でしょう」
「それは俺から説明する」
ここで説明者は自然とガイルに変わった。仲が悪いとしか思えない二人だが、不思議と息がぴったりあっている事があり、そういう時はお互い相手が主導権を握ることを邪魔しない。
「能力とはつまり、後天的に発現する超能力だ。能力の内容は人それぞれで、親からは遺伝しない。といっても外から来たお前には眉唾な話か」
ガイルが肩を竦めてそう言った。
レナードはどう答えていいか分からず、つい無言になってしまう。冗談にしては二人ともふざけた様子がない。
「まあ言葉で言っても信じられるわけないよな。後で実際に見せるさ。先に他の質問はないか?」
ひとまず話が保留になったことにレナードは安堵し、次の疑問をぶつけていく。
「行動に随分制限があるんですね。外出はともかく、森は何故なんですか? クルス先生には神域と聞きましたが、よく分からなくて」
「私たちの信仰でそう定めているんです。一説には、広い森なので過去には行方不明者が複数出たり、動物や植物が勝手に採取されたりしたことが問題視されたのもあるようです」
「森の恵みが目の前にあるのに、ちょっと勿体ない気がしますけど」
遠目から見ても果樹はありそうだったし、食用に出来る動物もいそうだった。村外への外出許可が必要なのだから、あまり出稼ぎをしているとも思えない。どうやって食料を供給しているのか疑問が残る。
「レナードは外から来たから余計に不思議なのでしょうね。実際は森の一部を村の中として扱っているんですよ。子供が境界を間違えて迷い込むといけないので一応は秘密なのですが、そこを開拓して畑も作っています。肉などは外部から購入していますけどね」
「この村ってどうやって外貨を得ているんですか?」
「ここには特別な特産品があるんですよ」
セクレトが意味深げな笑みを浮かべる。しかしそれが何かは内緒ですとはぐらかされて教えてはもらえなかった。知りたい気持ちもあるが、彼の踏み込ませない雰囲気に気圧され、レナードは少し怖くなって口を噤んだ。
「さて、そろそろ外に行きましょうか。食堂も居心地がいいですが、こんなにいい天気の日に外に出ないなんてもったいないですよ」
セクレトの一声で食堂での食休みはお開きとなり、次は訓練場に移動することになった。先ほど話に出た能力の説明もそこでしてくれるそうだ。
「とても美味しかったです! ご馳走様でした」
「ふふ、美味しそうに食べますね。私が作ったわけでもないのに嬉しくなります」
「お前見かけによらず食うんだなあ。その体のどこにそんなに入ってるんだ?」
特にレナードの周りは何段にも及ぶ空皿が積まれており、これまた大食いのガイルの分も合わせ、テーブルは圧巻の荒れ具合だった。
「確かに元々食は太かったんですが、ここの料理はつい食べちゃいますね。美味しすぎるのがいけないんですよ! 太りそうです」
「ははは、その分動け。腹ごなしに走りにでもいくか?」
そのまま走り出しそうなガイルを、セクレトが諫めるように睨む。
「当初の目的を忘れないで下さい。いつも目先のことばかり考える癖、いい加減直してくれませんか」
「またそうやって憎まれ口を言う奴だな、ついさっき今日は口論なしだと言い出したのはお前だろ?」
ガイルは眉を顰めながらも落ち着いた口調で反論した。セクレトは何か言いたげに口を開いたが、思い直したらしく一度口を閉じ、小さくため息を吐く。
「分かりました。今のは私の言い方が良くなかった。謝罪しましょう。それでは移動する前にここで生活する上で大事なことをお話ししますね」
村には古くから続くいくつかの決まり事があるそうだ。
・森に入ることは禁じる
・村の外に許可なく出ることを禁じる
・能力を私的闘争に使うことを禁じる
「細々したことはともかく、大きくはこんな所ですね」
「色々気になりますけど、能力というのは一体何でしょう」
「それは俺から説明する」
ここで説明者は自然とガイルに変わった。仲が悪いとしか思えない二人だが、不思議と息がぴったりあっている事があり、そういう時はお互い相手が主導権を握ることを邪魔しない。
「能力とはつまり、後天的に発現する超能力だ。能力の内容は人それぞれで、親からは遺伝しない。といっても外から来たお前には眉唾な話か」
ガイルが肩を竦めてそう言った。
レナードはどう答えていいか分からず、つい無言になってしまう。冗談にしては二人ともふざけた様子がない。
「まあ言葉で言っても信じられるわけないよな。後で実際に見せるさ。先に他の質問はないか?」
ひとまず話が保留になったことにレナードは安堵し、次の疑問をぶつけていく。
「行動に随分制限があるんですね。外出はともかく、森は何故なんですか? クルス先生には神域と聞きましたが、よく分からなくて」
「私たちの信仰でそう定めているんです。一説には、広い森なので過去には行方不明者が複数出たり、動物や植物が勝手に採取されたりしたことが問題視されたのもあるようです」
「森の恵みが目の前にあるのに、ちょっと勿体ない気がしますけど」
遠目から見ても果樹はありそうだったし、食用に出来る動物もいそうだった。村外への外出許可が必要なのだから、あまり出稼ぎをしているとも思えない。どうやって食料を供給しているのか疑問が残る。
「レナードは外から来たから余計に不思議なのでしょうね。実際は森の一部を村の中として扱っているんですよ。子供が境界を間違えて迷い込むといけないので一応は秘密なのですが、そこを開拓して畑も作っています。肉などは外部から購入していますけどね」
「この村ってどうやって外貨を得ているんですか?」
「ここには特別な特産品があるんですよ」
セクレトが意味深げな笑みを浮かべる。しかしそれが何かは内緒ですとはぐらかされて教えてはもらえなかった。知りたい気持ちもあるが、彼の踏み込ませない雰囲気に気圧され、レナードは少し怖くなって口を噤んだ。
「さて、そろそろ外に行きましょうか。食堂も居心地がいいですが、こんなにいい天気の日に外に出ないなんてもったいないですよ」
セクレトの一声で食堂での食休みはお開きとなり、次は訓練場に移動することになった。先ほど話に出た能力の説明もそこでしてくれるそうだ。
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