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第2章 魂に触れる熱
第17話
しおりを挟む「でも全員校内にいるというルールなのに、すぐ中に入らないのは何でだろう。このゲーム、圧倒的に俺たち攻める側が優位に思えるし」
「そうでもないと思うよ。このグループ分け、ランダムって訳じゃないと思う」
「クラスも年も違うし、そうだと思ったけど違うのか?」
「多分、能力相性がいいグループに振り分けられているんじゃないかな」
ここでレナードは首を傾げた。このゲームでは能力が使えない。能力のない生徒達は普通の人間と変わらないのではないだろうか。
「能力禁止だろ?」
「いいや、攻撃を禁止しているだけで能力自体は禁止されていない。このゲームの肝はそこじゃないかな」
アトラスは意を得たりとばかりに誇らしげな笑みを浮かべた。そしてその考えはリーダーのノアもまた同じだったようだ。
「察してる奴もいると思うけど、このグループには探敵能力を持つメンバーが何人かいるから、まず俺の近くに集まって。その他は4~6人のグループを作って待機ね」
能力が使えないレナードはもちろん、アトラスもその場に留まる。どんな能力なのか聞いてみたかったが、限りある時間の中無駄口を叩く暇もなくグループを作る。一緒に話していたアトラスとは自然と同じグループに入り、近くにいた男女2名と合流することになった。
「私はブリジット。こっちはビハムよ。喋れないけど、気配に敏感で中々頼りになる男だと思うわ」
ブリジットと名乗った女子は勝ち気な雰囲気を漂わせ、腕を組んで堂々と立っている。アップにした髪からぱらりと落ちた髪が首筋に向かって流れ、女子らしく赤く塗った唇が印象的だ。
ビハムと呼ばれた男は無言のまま少し離れた位置に立ち、軽く会釈をする。真っ黒な髪に浅黒い肌がエキゾチックなエロスを連想させられてドキリとする。思わずじっと見つめてしまい、縮れた前髪の間から覗く灰色の目と目が合って更に胸の鼓動が大きく鳴った。
レナードは自分の反応がよく分からずに大げさな挙動で目を逸らした。あからさまにしすぎたかとちらりと視線を戻せば、当人は気にした様子もなくブリジットとアトラスの会話を聞いており、安心したような残念なような感情が浮かび、また複雑な想いを抱いた。
「副会長は軽く言ってたけれど、これ完全に訓練よね。一体どういうつもりなのかしら?」
「前に最近能力にかまけて基礎を疎かに生徒が多いってぼやいてたよ」
「そうは言うけど……こんな事して鍛えて、それでどうするって言うのよ。何かと戦うわけでもないのに」
「こういった形式にしたのは皆の興味を惹くためで、実際の所基礎体力の向上や能力活用の幅を広げようとしてるんじゃないかな。やっぱり攻撃系の能力は華があって目を引くけど、それ以外にも有用な能力が沢山あるはずだよ」
「ふうん。それはそうかもしれないわね」
ブリジットは鼻をスンと慣らし、少し眉を寄せて腕を組んだ。今一つ納得しきれないが、反論する程の材料もないようだ。村に来たばかりのレナードは会話に加わることもできずビハムと二人佇んでしまい、手持無沙汰だ。何か言葉を発するべきかと悩んでいた時、ガイルが壇上で叫んだ。
「そろそろ校内グループは移動を開始してくれ! 進入側はこの場で3分間待機だが、ここから動かなければ何をしていてもいいぞ! では開始!」
開始の合図があるなり、ガイルを含む校内に移動するグループは一斉に駆け出した。何人かで固まって動く者、一人で抜け出す者様々だったが、三十秒もしない内に訓練場の人口は3割減った。
唐突な始まりに驚いたものの、既に作戦の説明は済んでいるため、各人校舎の方をちらちらと見ながら過ごし、遂に待ちに待った時が訪れた。
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