Mag Mell -喜びの国-

二見 遊

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第2章 魂に触れる熱

第21話

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 「一体どうしたんだろう……」

大騒ぎの反省会を終え、自室に戻ったレナードはベッドで寝転がりながら昼間の激闘を思い出していた。同時に勝利の後にビハムといた時に感じな不思議な感覚についても疑問に思った。あの熱は戦闘中に彼が現実に引き戻してくれた時に感じたものと同じだったように思う。だが熱の塊の正体や、何より頭の奥に響いた声は誰だったのだろうか。一言も聞いたことのないビハムの声を想像し、本当はあんな声なのかと1人答えのでない問いを続けている。
そうする内に、レナードは自分自身の感情の動きに悶々として、眠気のないまま何度かゴロゴロしながらシーツの皴を増やしていく。

 「だめだ、気晴らしに散歩してこよう」

体力を使い果たしへとへとのはずだが、考えすぎたせいか目はぱっちりと開き、まるで眠れる気配はない。仕方なく疲れた体を引きずるように部屋を抜け出し、あてどなく寮の外へと歩き出した。

 「妙に静かだな」

村の端辺りまで来れば、神域とされる森はもう目の前だ。暗闇の中でもぼんやりと光る柱が一定間隔で立ち並ぶ様をぼんやりと眺め、レナードはその中の一つに異変を認めた。

 「あそこだけちょっと光が弱いな。電池切れとか?」

柱を覗き込むと、下から照らす光が弱弱しく、全体的にただ白濁としているだけの石がハマっている。他の柱とは様子が違い、明日の朝念のため報告しようと踵を返した時だった。瞬間的にレナードの足に何かが絡まった。

 「うわあああ!! 何だっ?!」

足元を見れば太い蔦のような物が足に巻き付き、尋常ではない力でレナードの体を勢いよく引っ張っていく。痩せ型とはいえ彼の体重は50Kgを優に超えているにもかかわらず、踏ん張る彼の体をいとも簡単に引き寄せる。レナードはどうにか周辺の木につかまろうとするものの、地面に擦れる腕や足への痛みで体が強張り、中々上手くいかない。もう森の出口は見えなくなってしまった。

 「こ、んのっ! やめろ、離せっ!」

咄嗟に拾った石で蔦を叩くと、一瞬怯んだようにスピードが落ちた。その隙をついて太い木に体全体で抱き着いてこれ以上引っ張られるのを防ごうとするものの、蔦は更なる強硬策に出た。同じような蔦が1本、細い蔦が3本程、森の奥からレナードの元へ弾丸のようにやってきた。そしてもう片方の足に太い蔦が絡まる。
一旦木に抱き着いた以上、引っ張る力が強くなった今再び石で攻撃することもできず、レナードは必死で体を揺すって振りほどこうとする。だが細い三本の蔦はその動きを物ともせず、引きずられた時に開いた衣服の穴からこっそりと侵入してきた。蔦には棘はない。それゆえに、巻き付くでもなく体中をゆるゆると這い回る蔦にレナードの肌は粟だった。単なる捕食のためとも思えない目的不明の行動は彼を必要以上に混乱させる。

 「ひっ、やめろ、入ってくるな!!」

そして遂に、足側から伸びる蔦が下着の下に触手を伸ばそうとまでしてきた。急所への攻撃を予期する事態に、遂に響き渡る声は悲鳴へと変わる。他への意識が分散されたレナードの腕の力が緩む。あっと声が漏れた瞬間、彼の手が見る間に木から遠のいていたく。レナードの目が絶望に染まる中、遂にその体が宙に浮いた。
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