推しと被りと晒し

山上田村麻呂

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出会い

2回目

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あれから一週間。

1時間1万円。
交通費千円。
本指名2000円。
120分コース 23000円

場所は変わらない。
人も変わらない。
ただ一つ、指名料がほんの1000円上がっただけだ。

流れを一通り知っている私には、先週のような説明はない。

先週より距離が近い。
ああ。これが1000円分なのか。

悪くない。

一回り以上年下の男の子と手を繋ぎ、抱きしめあい、キスをして、「また会えて嬉しい。」と言われるわけだ。

私は23000円払ってるんだ。
このくらいの接待を受けて何が悪い。

先週よりも更に濃密で、深いところに連れ込まれている。

風俗とは、よくできている。
冷静な自分が必ずどこかにいて、
シレーっとした目で己をみてくる。

ただひたすらに、気持ちよさが勝る。

快楽は時に人をこんなにもダメにさせるのか。

いいではないか。
毎日のことではないのだから。
お金を払っているのだから。
誰に迷惑をかけた?

そしてなによりも誰も知らないのだ。

別れ際に「また会いたい。」と言われる。デジャブだ。「もっと長い時間一緒にいたい」「お泊りしようよ」

お泊り???
宿泊??
そんなこともできるのか。
「わかった、、、」
否定などできるわけない。
なぜなら、いま、わたしは、おじさんだから。
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