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貴羅&響也編
04 孤独と寂しさと痛さ(響也視点)
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「成瀬」
教室で机に頬杖をついてボーっと座っていた俺の前に、春名が立ってた。ん? ちょっと、様子が変だよな?
「俺、貴羅さんとお前を応援するから」
は?! 何言っちゃってんだよ! 訳分からねぇんだけど!
「やっぱり、俺じゃあ、貴羅さんには勝てないし」
ちょっと待てよ。俺の知らないところで、何、勝手に話が進んでんだよ! それに、クラスの奴等、固まってんじゃねぇか! ユキとアカまで、目見開いてるし!
二年のクラス替えで、何故か同じクラスになった俺達四人。それに不満はねぇんだけど、そのせいで、春名がしつこかったんだよ。で、いきなりそれって、どういうことだ?
「飛弾野さんにも言われたし、俺、やっぱり、自分が可愛いし。でさ、キョウって呼んでいい?」
諦めるのに、名前で呼びたいとか、更に、訳わかんねぇぞ。
「恋人は諦めるけど、友達にはなりたいから」
爆弾投下すんな! 友達は問題ねぇよ! やっぱり、お前の求めてたのはその関係かよ! 諦めたんなら、恋人とか言うな! 男子校には腐女子ならぬ、腐男子がいるんだぞ! まあ、普通校にもいるだろうけど、ここだとあからさまに、そういう話してんだぞ!
「でさ」
「ちょっと、黙れ! こっち来いよ!」
勢いよく席を立って、此奴の腕掴んで、教室を出た。授業が始まるだろうけど、アカがなんとかしてくれんだろ。とりあえず、階段下の隙間に入り込んだ。移動するには、時間がなさすぎだ!
「何言ってくれちゃってるわけ?! 男子校の恐ろしさを知らないわけじゃねぇだろ!?」
「知ってるけどさ。牽制かけとかないと、他の奴等が危険だし」
は?! 牽制? 危険? 何の話だ!?
「知らないみたいだし。アカも我妻も人気だけどさ、成瀬も人気あんの。二人はまあ、高嶺の花だから、遠巻きに見てて、あんなことになって、別の意味で人気になってんだけど」
いや……、変に納得だけどな。俺が人気って、どう言う事だ!
「成瀬はある意味、フリーだから。でもさ、この界隈で一番危険な人物が目を付けてんだし、知らせておかないと、何されるか分かったもんじゃないし」
「待てよ……、俺が人気なのはこの際、横に置いといてだ。要は俺に邪な感情を持って近付いてきた奴等が危険ってことだよな」
春名は素直に頷きやがった。俺、全身全霊で拒絶はするが、危害なんぞ、加える気は更々ねぇぞ!
「貴羅さんは、欲しいものがあったら、手段を選ばないから。前に身の危険を感じた方がいいって、忠告した筈だけど?」
確かに言われたよ。忘れてねぇって。でもよ、何で俺なの。ユキみたいに綺麗でもなければ、アカみたいな格好良いわけでもない。春名のような可愛い系でもない。なのに、アカと関わるようになってから、何でか、周りが騒がしくなったんだよ。それに、俺は男同士、もとい、同性同士の恋愛はNGだ! あの、腐った女共の餌食になるなんぞ、真っ平御免だ!
「訊きたいんだけどよ」
授業が始まるチャイムが鳴ったけど、この際、無視だ。最優先されるのは、身の安全だ!
「俺の見た目って、平々凡々だと思うんだけど?」
「自覚ないなぁ。俺とは違う可愛さだろう。見た目じゃなくてさ、仕草とか、その生意気な口調とか。貴羅さんはまた、違った意味で気に入ったみたいだけど」
何か、アカが言ってたな。本性を見破ったからだって。好きで見破ったんじゃねぇって。あの人、ビシバシ黒いオーラ出してんじゃん。もう、綺麗って言うか、男の色気? 出しまくって、黒いオーラも出してんだぞ。アカも似たようなもんだけど、それよりも深い感じがすんだよ。やっぱり、年上だからか。黒さが半端ないんだって。
「言っとくけど、怖い方の本性じゃないみたいだよ」
「はぁ?!」
俺、怖い以外にあの人に感じたものなんて……、なくないな。何か、傷付いていて、寂しそうには見えたな。表情とか、仕草とかは不遜な感じなのに、瞳の奥が孤独な感じだったんだよな。アカにもあんだけど。本人には言わないけどな。
「今、考えてること」
俺、今回は流石に口には出してないけど。もしかして、顔に出てるのか!?
「本当に正直。我妻も素直だけど、成瀬も似たようなもんだよ」
「でもよ。仮にそうだとしても、俺だけじゃないだろう?」
あんだけ、はっきり現れてんだぞ。痛いって、寂しいってさ。
「誰も見破った人はいないみたいだよ。俺も感じたことないし」
嘘だろう。年上とは思えなかったんだよ。一瞬だったんだけど。ああ、そうか。あの話だけじゃなくて、寂しさを無意識で読み取ったから、怖くはあっても平気になったのか。納得だ。が、それとこれは話が別だ!俺は普通がいいんだ!
「普通とか、無理でしょう。アカ、手懐けた時点で、普通は消えたと思ってよ」
「手懐けた?! 俺がかよ!」
やべっ。大声出したら、先生来るじゃん。
「アカは基本、単独行動だったから。これも、言った筈だけど」
もう、嫌だ。つまり、総合すると、俺の落ち度って事だろう。でもさ、あの二人は本当に怖くて、少しだけど、寂しさを纏わせていて。
「人と違うものを感じた時点で、逃げられないんだよ」
追い討ちをかけるように、言い切られた。俺、心底、この特技を恨んだことは言うまでもない。で、結局、名前呼びを容認する羽目になった。しっかり、俺にも名前で呼べって、勘弁してくれ。
教室で机に頬杖をついてボーっと座っていた俺の前に、春名が立ってた。ん? ちょっと、様子が変だよな?
「俺、貴羅さんとお前を応援するから」
は?! 何言っちゃってんだよ! 訳分からねぇんだけど!
「やっぱり、俺じゃあ、貴羅さんには勝てないし」
ちょっと待てよ。俺の知らないところで、何、勝手に話が進んでんだよ! それに、クラスの奴等、固まってんじゃねぇか! ユキとアカまで、目見開いてるし!
二年のクラス替えで、何故か同じクラスになった俺達四人。それに不満はねぇんだけど、そのせいで、春名がしつこかったんだよ。で、いきなりそれって、どういうことだ?
「飛弾野さんにも言われたし、俺、やっぱり、自分が可愛いし。でさ、キョウって呼んでいい?」
諦めるのに、名前で呼びたいとか、更に、訳わかんねぇぞ。
「恋人は諦めるけど、友達にはなりたいから」
爆弾投下すんな! 友達は問題ねぇよ! やっぱり、お前の求めてたのはその関係かよ! 諦めたんなら、恋人とか言うな! 男子校には腐女子ならぬ、腐男子がいるんだぞ! まあ、普通校にもいるだろうけど、ここだとあからさまに、そういう話してんだぞ!
「でさ」
「ちょっと、黙れ! こっち来いよ!」
勢いよく席を立って、此奴の腕掴んで、教室を出た。授業が始まるだろうけど、アカがなんとかしてくれんだろ。とりあえず、階段下の隙間に入り込んだ。移動するには、時間がなさすぎだ!
「何言ってくれちゃってるわけ?! 男子校の恐ろしさを知らないわけじゃねぇだろ!?」
「知ってるけどさ。牽制かけとかないと、他の奴等が危険だし」
は?! 牽制? 危険? 何の話だ!?
「知らないみたいだし。アカも我妻も人気だけどさ、成瀬も人気あんの。二人はまあ、高嶺の花だから、遠巻きに見てて、あんなことになって、別の意味で人気になってんだけど」
いや……、変に納得だけどな。俺が人気って、どう言う事だ!
「成瀬はある意味、フリーだから。でもさ、この界隈で一番危険な人物が目を付けてんだし、知らせておかないと、何されるか分かったもんじゃないし」
「待てよ……、俺が人気なのはこの際、横に置いといてだ。要は俺に邪な感情を持って近付いてきた奴等が危険ってことだよな」
春名は素直に頷きやがった。俺、全身全霊で拒絶はするが、危害なんぞ、加える気は更々ねぇぞ!
「貴羅さんは、欲しいものがあったら、手段を選ばないから。前に身の危険を感じた方がいいって、忠告した筈だけど?」
確かに言われたよ。忘れてねぇって。でもよ、何で俺なの。ユキみたいに綺麗でもなければ、アカみたいな格好良いわけでもない。春名のような可愛い系でもない。なのに、アカと関わるようになってから、何でか、周りが騒がしくなったんだよ。それに、俺は男同士、もとい、同性同士の恋愛はNGだ! あの、腐った女共の餌食になるなんぞ、真っ平御免だ!
「訊きたいんだけどよ」
授業が始まるチャイムが鳴ったけど、この際、無視だ。最優先されるのは、身の安全だ!
「俺の見た目って、平々凡々だと思うんだけど?」
「自覚ないなぁ。俺とは違う可愛さだろう。見た目じゃなくてさ、仕草とか、その生意気な口調とか。貴羅さんはまた、違った意味で気に入ったみたいだけど」
何か、アカが言ってたな。本性を見破ったからだって。好きで見破ったんじゃねぇって。あの人、ビシバシ黒いオーラ出してんじゃん。もう、綺麗って言うか、男の色気? 出しまくって、黒いオーラも出してんだぞ。アカも似たようなもんだけど、それよりも深い感じがすんだよ。やっぱり、年上だからか。黒さが半端ないんだって。
「言っとくけど、怖い方の本性じゃないみたいだよ」
「はぁ?!」
俺、怖い以外にあの人に感じたものなんて……、なくないな。何か、傷付いていて、寂しそうには見えたな。表情とか、仕草とかは不遜な感じなのに、瞳の奥が孤独な感じだったんだよな。アカにもあんだけど。本人には言わないけどな。
「今、考えてること」
俺、今回は流石に口には出してないけど。もしかして、顔に出てるのか!?
「本当に正直。我妻も素直だけど、成瀬も似たようなもんだよ」
「でもよ。仮にそうだとしても、俺だけじゃないだろう?」
あんだけ、はっきり現れてんだぞ。痛いって、寂しいってさ。
「誰も見破った人はいないみたいだよ。俺も感じたことないし」
嘘だろう。年上とは思えなかったんだよ。一瞬だったんだけど。ああ、そうか。あの話だけじゃなくて、寂しさを無意識で読み取ったから、怖くはあっても平気になったのか。納得だ。が、それとこれは話が別だ!俺は普通がいいんだ!
「普通とか、無理でしょう。アカ、手懐けた時点で、普通は消えたと思ってよ」
「手懐けた?! 俺がかよ!」
やべっ。大声出したら、先生来るじゃん。
「アカは基本、単独行動だったから。これも、言った筈だけど」
もう、嫌だ。つまり、総合すると、俺の落ち度って事だろう。でもさ、あの二人は本当に怖くて、少しだけど、寂しさを纏わせていて。
「人と違うものを感じた時点で、逃げられないんだよ」
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