置き去りの恋

善奈美

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16 元上司と元部下(忍視点)

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 父さんがお見合いパーティ? なるものに同僚に引っ張られていったことは知ってた。俺も反対する気は無かったし、それよりも、あの女のような莫迦に捕まらなきゃいいけど。って、逆に心配してた。
 
 今日、うちに来るからと言われて、何故か紫綺さんまで来て欲しいって。如何してだろう?
 
 自宅で対面した俺達四人。でも、固まった二人。固まったのは紫綺さんと父さんの相手の女性。
 
「……しょう子さん?」
「え? 紫綺君?」
 
 名前で呼び合う二人に、当然、困惑顏の父さんと俺。
 
「遼さんの息子さんの恋人って、紫綺君なの?!」
「それより、会社は如何したんだ?」
「それよ。もう、紫綺君が居なくなったら、莫迦後継者がしゃしゃり出てきて、メチャクチャよ。私達は貴方が莫迦でも無能でもないこと知っていたから尚更、幻滅よ」
 
 会話の内容から、会社の同僚、だったのかな?
 
「前から結婚はしないだの、さっさと会社辞めるだの言ってたし、驚きもしないけど、男に走るなんてね。まあ、見た目が中性的だし問題は感じないけど」
 
 父さん、目を見開いてる。紹介以前の問題だよ。顔見知りとか、世間って狭い。
 
「紫綺さん。この人って?」
「林 しょう子。俺の実家の会社で働いてる元部下。この年まで仕事一筋。男っ気なしの男勝り。その辺の男なんか相手にならないキャリアウーマン。で、なんでまた結婚だ?」
 
 紫綺さん、腕組んでしょう子さん? を睨みつけてる。
 
「簡単よ。あの会社を辞めるためよ。辞表を出したんだけど、紫綺君担当部署、貴方が辞めてから軒並み退職したのよ。私も辞めないと危険だと思ったんだけど、時すでに遅くて。もう、女性であることをフル活用して、結婚に逃げようかと思って。まあ、期待なんてしてなかったわ。所詮はお見合いイベント。でも、遼さんと出会って、男もいいなぁって」
 
 しょう子さん。綺麗な人なのに、男を信用して無かったの。見た感じ、仕事が出来そうだけど。でも、父さんを見初めるなんて、趣味がいい。
 
「そこまで莫迦なのか」
 
 紫綺さん。グッタリしてるね。そんなに上の兄さん、使えないんだ。
 
「紫綺君? しょう子さんとは?」
「単なる部下ですよ。もう、俺が入った時からいびり倒されて。部下ってより、上司張りでした。まあ、俺も大学卒業したばかりの青二才だったし。しょう子さんは三十路超えてたし。ビシバシしごかれて、仕事を覚えたんです」
「でも、紫綺君が語学に堪能じゃ無かったら、多分、誰も受け入れ無かったでしょうね?」
 
 それに、としょう子さんが悪戯な笑みを浮かべた。
 
「その語学力のせいで、無能の仮面が剥がれちゃったんですものね」
 
 紫綺さん。更にグッタリしてる。
 
「父さん。如何して紫綺さんも連れて来いって言ったの?」
 
 話が進まなそうだし、勝手に打ち切っちゃえ! 思い出話は後でも出来るし。
 
「ああ。私が再婚したら、忍は紫綺君のマンションで暮らすって言ってただろう? その話をしたら、相手に会わせろって。それも、すごい剣幕で」
「当たり前よ。遼さんと結婚したら、息子さんは私の息子にもなるのよ。何処の馬の骨と同居するのか、確かめないと気が済まないわ!」
 
 はい? 普通、連れ子って疎まれるんじゃないの? そう思って出て行こうとしたし、父さんには今度こそ、本当の子供と奥さんと幸せになってもらいたかっただけなんだけど。それに、しょう子さん、初婚だよね。そこんとこ、気にしないわけ?
 
「血が繋がっていようがいまいが関係ないわ! 遼さんが大切にしている息子さんは私にも大切な存在よ!」
 
 えっと……。父さん、凄い人を捕まえたね。祝福するよ。この人逃したら、多分、いい人見付からないと思う。
 
「でも、紫綺君なら大丈夫ね。かなりの猫被りだけど、マトモだし」
「しょう子さんに言われたくないんだが」
「部署以外の会社の人間を騙し切った人が何を言いますか? 遼さん、私、貴方と一緒になりたいわ。ご家族も問題ありません」
 
 思うに、父さんは断って欲しかったんじゃないかな? しょう子さんがいい人すぎて。気後れしたとみた!
 
「父をよろしくお願いします。少しボーっとしてるところがあるので、しょう子さんくらいしっかりした人じゃないと心配だったので」
 
 莫迦女の次に出会ったのがしょう子さんで幸運だよ。紫綺さんの言い方もあれだったけど、信頼してる感じだったし。問題なさそうだし。さっさと籍入れて捕まえてよ。俺も安心出来るし。
 
 
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