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SS
34 母屋にて(暁視点)
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部屋に案内され、一旦、荷物を置いてから、母屋に戻って来た。理由としては、パンフレットの旅館と全く違っていたからだ。大広間に案内され、出されたお茶とお菓子を堪能しながら、雪兎に理由を訊くことになった。
「伯父さんに連絡したら、場所を変えるからって言われて、迎えに行くって」
うん。それは身をもって体験した後だよ。
「静かなとこだし、俺等と此処の従業員しかいねぇしさ、気兼ねがあんまないのは良いけど。此処って何処よ?」
キョウの疑問はごもっとも。かなり複雑な道順だったよね。まあ、兄さんなら覚えてそうだけど。
「一言で申しますと、草壁の別荘でございます」
いきなりかけられた声に、みんなが目を見開いてる。
「律子伯母さん。やっぱり、別荘だったの?」
「あの人は何も説明していないのでしょうか?」
「車に乗せられて拉致に近い状態で連れてこられたけどね」
兄さんが少し気怠げに言葉を発した。
「申し訳ございません。草壁の方々は本当に突飛ないと申しますか」
「それは知ってるから問題ないよ」
俺がそう言うと、本当に申し訳なさそうにしている。
「雪兎。さっき、伯母さんって言ってたよね?」
「うん。風月伯父さんの奥さんで、別荘兼旅館の女将だよ。本家にはあまり来ないんだけど」
雪兎の言葉に慌てたのか、改めて畳の上に正座をし、その人は俺達に三つ指をついて頭を下げた。
「遅くなりましたが、私、草壁 律子と申します。風月の妻にございます」
そこまで言うと、頭を上げ、俺達をしっかりと見据えた。
「詳しくは存じ上げませんが、夫から詮索するなと言われておりす。此処での滞在期間、其々のお部屋に専属の者が付きます。呼ばれない限り、近付くことは御座いませんので、安心してください。お食事は此方にご用意させていただきます。出来ましたら内線でご案内申し上げます」
「伯母さんありがとう」
雪兎はそう言うと、俺達に視線を向けた。何が言いたいのか分かるよ。言ってしまいたいんだよね。秘密にするようなことでもないし。
「話しちゃっても良い?」
「雪兎は言いたいんだよね?」
「うん。やましいことじゃないし、伯母さんだし」
兄さんが律子さんとやらを観察してる。相変わらずの抜け目なさ。
「口外しないと約束してくれるならね」
親戚に知れ渡るのは仕方ないとして、その他に知られるのは問題だからね。
「此処でのお話は此処だけのものでございます」
「そう?」
この人、プロだ。兄さんの視線に臆してない。
「言っちゃって良いよ」
兄さん、完全にオフモードに入っちゃったよね。まあ、連れてこられたあたりで、諦めたっぽいんだけど。
「まずね。貴羅さんと紫綺さんと暁が大叔母さんのひ孫なの」
「大叔母様の?」
「うん。でね、暁が僕の恋人で、貴羅さんとキョウが恋人。紫綺さんと春名君が恋人で、春名君のお父さんと婚約者のしょう子さん」
律子さんは少し考えた仕草を見せた。
「分かりました。今の話は親族間でのみ、と言うことでございますね」
「そうしてくれたら嬉しいの」
「承知しました」
「それでね。伯母さんもそんな堅苦しい言葉は止めてほしいの。僕達、本当のお客さんじゃないし」
雪兎が小首を傾げながら言うと、律子さんは小さい笑みを浮かべた。
「分かったわ。雪ちゃんは相変わらずね。元気そうで何よりよ」
その笑みは草壁の人達と全く違っていて、裏表のない柔らかいものだった。
「伯父さんに連絡したら、場所を変えるからって言われて、迎えに行くって」
うん。それは身をもって体験した後だよ。
「静かなとこだし、俺等と此処の従業員しかいねぇしさ、気兼ねがあんまないのは良いけど。此処って何処よ?」
キョウの疑問はごもっとも。かなり複雑な道順だったよね。まあ、兄さんなら覚えてそうだけど。
「一言で申しますと、草壁の別荘でございます」
いきなりかけられた声に、みんなが目を見開いてる。
「律子伯母さん。やっぱり、別荘だったの?」
「あの人は何も説明していないのでしょうか?」
「車に乗せられて拉致に近い状態で連れてこられたけどね」
兄さんが少し気怠げに言葉を発した。
「申し訳ございません。草壁の方々は本当に突飛ないと申しますか」
「それは知ってるから問題ないよ」
俺がそう言うと、本当に申し訳なさそうにしている。
「雪兎。さっき、伯母さんって言ってたよね?」
「うん。風月伯父さんの奥さんで、別荘兼旅館の女将だよ。本家にはあまり来ないんだけど」
雪兎の言葉に慌てたのか、改めて畳の上に正座をし、その人は俺達に三つ指をついて頭を下げた。
「遅くなりましたが、私、草壁 律子と申します。風月の妻にございます」
そこまで言うと、頭を上げ、俺達をしっかりと見据えた。
「詳しくは存じ上げませんが、夫から詮索するなと言われておりす。此処での滞在期間、其々のお部屋に専属の者が付きます。呼ばれない限り、近付くことは御座いませんので、安心してください。お食事は此方にご用意させていただきます。出来ましたら内線でご案内申し上げます」
「伯母さんありがとう」
雪兎はそう言うと、俺達に視線を向けた。何が言いたいのか分かるよ。言ってしまいたいんだよね。秘密にするようなことでもないし。
「話しちゃっても良い?」
「雪兎は言いたいんだよね?」
「うん。やましいことじゃないし、伯母さんだし」
兄さんが律子さんとやらを観察してる。相変わらずの抜け目なさ。
「口外しないと約束してくれるならね」
親戚に知れ渡るのは仕方ないとして、その他に知られるのは問題だからね。
「此処でのお話は此処だけのものでございます」
「そう?」
この人、プロだ。兄さんの視線に臆してない。
「言っちゃって良いよ」
兄さん、完全にオフモードに入っちゃったよね。まあ、連れてこられたあたりで、諦めたっぽいんだけど。
「まずね。貴羅さんと紫綺さんと暁が大叔母さんのひ孫なの」
「大叔母様の?」
「うん。でね、暁が僕の恋人で、貴羅さんとキョウが恋人。紫綺さんと春名君が恋人で、春名君のお父さんと婚約者のしょう子さん」
律子さんは少し考えた仕草を見せた。
「分かりました。今の話は親族間でのみ、と言うことでございますね」
「そうしてくれたら嬉しいの」
「承知しました」
「それでね。伯母さんもそんな堅苦しい言葉は止めてほしいの。僕達、本当のお客さんじゃないし」
雪兎が小首を傾げながら言うと、律子さんは小さい笑みを浮かべた。
「分かったわ。雪ちゃんは相変わらずね。元気そうで何よりよ」
その笑みは草壁の人達と全く違っていて、裏表のない柔らかいものだった。
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