銀の鳥籠

善奈美

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銀の鳥籠Ⅰ ルイ&サクヤ編

063 色々有り得ない

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 風紀委員長が吠えてから幾分日が経った。まあ、まだ、高校一年生だし、卒業後の進路なんて、来年考えればいいって、ルイが言ったから、あの場は有耶無耶になったんだよな。
 
 夏休み前、オレとルイは単位取得のために試験を受けた。ルイは申し分なかったみてぇだけど、オレはというと……。
 
「ギリギリだな。まあ、魔法関係だけじゃなく、魔法使いのなんたるかの知識もないままの状態で、ここまで身についたんだからって、他の先生達も単位を最低だけどくれたからな。夏休み中の補修は免除だ。だが、ルイからの勉強は今まで通り続けろよ」
 
 クラス担任からそう言われて渡された試験結果。あれだけ頑張ったのに、やっぱり、一月二月じゃ簡単に身につかねぇよな。
 
「思ったより成績良いじゃん」
 
 ひょっこり覗き込んできたユエが、失礼きわまりない発言をかました。
 
「どういう意味だよ」
「呪文唱えるたびに、杖振る前に魔力が暴走してたんだから、実技がクリアするなんて奇跡だろう」
 
 言いたいことは分かるけどよ、もう少し控え目に言ってくんね。実技って言ってもさ、初等部の子達が簡単にクリアできるものだけだ。夏休み中、ルイは実家に帰るのかな? 魔法省に帰るとか言わねぇよな?
 
「どうかしたの?」
「夏休み、どうするんだ?」
「サクヤは?」
「オレはうちに帰るお金なんかねぇよ。寮にはいていいって言ってたから」
 
 ルイが何かを考える仕草をした。何考えてるのか、非常に気になるし、嫌な予感も多少する。
 
「じゃあ、私もサクヤの実家に行っていい?」
「はあ?!」
 
 オレ、帰れねぇって言ったよな!
 
「だから!」
「魔法でちょいちょいって、サクヤの実家に行けるよ」
 
 ……そういえば、買い物行くときに移動魔法とか使ってたよな。
 
「場所知らねぇじゃねぇか!」
「簡単だよ。サクヤを媒介に使うから」
 
 こいつに何言っても無駄だ。簡単に不可能を可能にしやがる。
 
「ルイは両親に会いに行かないのかよ?」
「サクヤを連れて帰るよ」
「………」
「私だけ帰っても、間が持たないんだよ。初等部のときも、中等部のときも帰らなかったしね。まあ、向こうから会いには来たんだけど」
 
 親子関係が希薄過ぎだろう。
 
「前に言ったと思うんだけど。魔法使いの親子関係は淡白だって」
「それでもさ。誕生過程はどうであれ、望まれて生まれてきたんだろう?」
「そうであったとしても、魔力が障害になるんだよ」
 
 隣でオレ達の話をおとなしく聞いてるユエに視線を向けた。
 
「なんだよ?」
「ユエはどうすんだよ?」
「ライカ先輩に連れまわされる予定。昨日、嬉々として言ってたしさ。逆らったら後が怖いし」
 
 副会長は口調はルイ並みに穏やかなんだけど、気配が微妙に怖いんだよな。逆らったら何されるか分かんねぇ感じだし。
 
「ああ、挨拶回り?」
「なんかさ。結婚しちゃったし。もう、魔法省から許可されたから、両親云々の話じゃないしさ。あの勢いだと、結婚式とかさせられそうで」
 
 ん? 結婚式? 男同士で?
 
「ユエがドレス着るの?」
 
 俺が思わず一言。その言葉にユエが潰れた。
 
「オレにドレス着せたって、笑い話にしかならないだろう!」
「そうか? 綺麗な顔してっし、身長低いし」
「身長はサクヤに言われたくない!」
「たしか、学校内で結婚式がある筈だけど」
 
 ルイが爆弾投下! なんだって?!
 
「どういうことだよ?!」
「そんな話、聞いたことないけど!」
「ここ数年、なかったらしいから、知らないかもね」
 
 魔力関係で婚姻認められたのは百歩譲る。が、結婚式は論外だ!
 
「先生が面倒がったのも、それがあるからだしね」
 
 ……もう色々、驚くことが多すぎて、どうしていいか分かんねぇ。
 
 
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