無能の瞳 その者は世界の共犯者〜魔力なしで無能と蔑まれ、他力本願の力に依存する。【憑依召喚】で体を乗っ取られて、もうすぐ俺が最強だ〜

雨井雪ノ介

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一章

第9話:意思の静寂と憑依者の脈動(9/10)

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 ダンジョンの謎に興味を持つレンは、その源泉が何かを突き止めたいと考えていた。彼はこの世界の秘密が、自分にとって何かのヒントになるかもしれないと希望を持っていた。

 ある日、ダンジョンの入り口で、レンとルナの間で興味深い会話が交わされる。

 レンはルナに尋ねた。「ルナ、ダンジョンの魔獣がどのように生み出されるのか知ってるか? 魔力だけでここまでの数が生み出されるのか?」

 ルナが答える。「実はレン、ダンジョンの魔獣を生み出すのは魔力だけではないの」

 レンは興味津々で返した。「それなら、一体何が魔獣を生み出しているんだ?」

「うーん、実はその答え、階位に関係してるのよ」ルナのヒントによって、レンは魔獣の魂を吸収して階位を上げるシステムに気づく。「ああ、なるほど! 魔獣の魂か!」

 ルナは微笑んで「そう、大正解! 魔獣の魂の力を吸収することで、ダンジョンは新たな生命を生み出しているのよ」


 レンは、ダンジョンの一階の深奥で、ルナと一緒に魂の本質について話していた。

「魂って具体的に何んだ?」レンが尋ねると、ルナは深く考え込むようにして答えた。「魂は生命力の集合体。私たちが意識や思考と感じるのは脳の機能で、魂自体はそれとは異なるわ。それが、私たちを動かし、感じさせる原動力なのよ」

「なるほど、魔石から得られる魔力と同じように、魂も一種の原動力か」レンは理解を深める。

「正解。魔力は魔石に、魂は生命力に由来するの。魂は純粋な力そのもので、“純力”とも呼ばれることがあるわ」ルナの説明は、レンに新たな認識を与えた。

 レンが衝撃を受けたのは、魔力で肉体を作り出し、魂を注ぐことで自我が芽生える過程だった。「肉体を魔力で形成できるなんて、想像もつかないな」

 思いついたことについてレンが尋ねる。「魔獣の肉を食べると、魔力を直接体内に取り入れることになるんじゃないか? もしそうだとしたらその結果、魔力器官が自然に形成されるかもしれないが、そんなことはあり得るのか?」

「昔の人々も同じことを考えたわ。でも、残念ながら体がその魔力を受け入れず、効果は期待できなかったのよ。理論上は意味があるはずだけどね」

 レンは慎重になる。「もし俺が試したら、予想外の結果になりそうだな」

「確かに、過去には魔力器官を失った人が魔獣の力を得たけれど、それに伴うリスクも大きいわ。気をつけて」

「そうだな、焦らずに行くさ」レンは決意を新たにする。

 そのとき、クロウがレンの影から現れ、元気よく挨拶した。「バフ! バフ!」クロウの犬のような様子に、レンは心癒される。

 レンはクロウとルナの支援を得ながら、難局を乗り越えていく自信を深めていた。彼らの存在は、レンにとって重要な意思決定の助けとなり、彼の道を誤るリスクを減らす。クロウは幽体であり、ルナは魔法と古代知識に精通した妖精で、レンにとってかけがえのない仲間である。

 レンの心をよぎるのは、憑依召喚の魔導書による悪魔の脅威と、それによる精神攻撃がルナやクロウに及ぼす影響だった。

「ルナとクロウは、悪魔からの精神攻撃に耐えられるのか?」レンが尋ねると、ルナは注意深く彼の言葉を聞いた後、ウインクをして答えた。「心配無用よ。私たちは魂の力で精神を守る防御壁を形成しているの」

 レンはこの説明に興味津々で、「つまり、先の純力が防御壁を作れるわけか?」と理解を深める。

 ルナは明るく応じた。「まさにその通り! 悪魔からの攻撃を遮断して、私たちを守っているのよ」

 この対話から、レンはルナとクロウが持つ精神防御の力の一端を理解し、彼らがどんな困難にも対処できることに安心感を得た。レンにとって、これらの知識は未知の脅威への対策として、また新たな冒険における自信となる。
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