SLAVE -黒翼の騎士-

1話 騎士の覚醒

#1

朝に目覚まし時計と鳥が鳴く
時刻は7時50分
学校の門限は8時10分まで
寮から学校まではかなり距離がある。
もう間に合わない。

少年は遅刻しそうなのにもかかわらず急ぐそぶりすら見せない。高校生とは思えないくらい大柄な身体をダラダラと起こした。

彼の名前は久松 天馬ひさまつ てんま
乃蘭高校在校
今日停学が解除されたばかりの高校2年生ー

本来彼は退学になっていたはずだった。学校を休まないのを条件に停学処分ですまされ、彼はこうして、いつもの道を登校している。




8時15分
2年7組教室の扉が開けられた。
担任の佐倉由紀さくらゆき先生が入ってくる。
彼女は教壇に上がってすぐ
「みなさんも知っての通り、先月にあった例の件でこのクラスから退学者が4名でました。」

と話し始めた。

「おいおいマジかよ」「4名？」「いや違うくね？」

教室の中がざわつく。
多くの生徒達は彼女が言ったことに疑問を感じている。

なぜかと言うと、この学校は使用していない机は地下一階の倉庫にしまう決まりがある。もう時期消えて行った生徒の机も片付けられるのだ。
現時点で空いてる机は"5個"であり
退学処分を受けた生徒は"4名"だからだ。

したがって、空いた机と退学者の数が合わない。
皆そう思っているのだ。

その時乱暴に教室の扉が開けられた。
皆の視線は教室の扉に向けられ、その先には無愛想で且つ体格の良い生徒が立っていた。

遅れてきた生徒は無言で自分の席に向かって歩き出した。

「天馬君！」

佐倉先生が生徒に向かって叫んだ。

生徒は無言で振り返る。

「何か言うことは？」

「…寝坊して遅れた。」

遅刻してきた生徒、久松天馬はそのまま自分の席に着席したのだった。

今日も一日が始まるー