異世界転生してBL漫画描いてたら幼馴染に迫られた

はちも

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12話

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「ノーバートの気持ちが成就したところで、私の話もさせてもらっていいかい?
ノーバートが人目に立てるようなら、パルロワールに戻らないか?」

にこやかな顔で王子が水を差すように声を掛けてきた。

そうだね。
ここで止めておかないと、このままよくある展開に突入しそうだ。
ノーバートは暴走系だし、僕は流され系だし。
朝までノンストップ、なんて、想像に難くない。

チラリとノーバートの股間を見る。
んー……ちょっとだけ、今すぐは無理かもしれない。

「えっと、僕の方がちょっと落ち着かないので……先に戻っていてもらえますか?」
「……それはそうですよ。少し二人に落ち着く時間を設けてやってください。
アルバート殿下は少し情緒を学ばれた方がいいと思います」

ユリウス兄、よく言った!
でも連れられてきたとは言え、兄さん達も見たことに変わりはないからね。

「失礼だね、ユリウス。
私は情緒がしっかり育っているよ。
それ以上に時間を無駄にしないことを優先しているだけで」

王子は少し眉を寄せて言う。

「じゃあお茶を淹れ直してもらって待つことにするよ。
ノーバート、エリアスを押し倒さないようにね」

言いおくと、王子は兄達を連れて扉を閉めた。

「……すまないな、俺の情けなさを引き受けてくれて」

ぽそりと恥ずかしそうに呟くノーバート。
うん、僕おまえが情けないのは子供の頃から知ってるし、今更だよね。

魘されて寝てたり、食欲が落ちたり、表情が曇ってたり。
そういう時に色々失敗しては落ち込んだりさ。
ずっと見てきたからね。

しょんぼりモードになって、ノーバートのノーバートもしょんぼりしてくれたみたいだ。

「ちょっとだけ部屋でお茶してから行っても怒られないよね。
本当はいい茶葉で淹れてあげたかったけど、部屋の適当なのでも怒らないでね」

部屋の隅に設置してもらっている簡易キッチンで、種火を熾す。
僕の部屋は広めのワンルームマンションみたいな作りになっている。
全部を一部屋で済ませたいから、文具から得た収益で改装した。
半引きこもりの原因がここにあるね。
居心地良すぎるんだもん。

風呂もトイレも部屋から出なくても用が足せる。
本来のベッドルームは諸々の倉庫になっている。
画材も原稿も資料本も服も食料も、棚に分けてはあるけど全部ここにある。
前世の僕の理想を詰め込んだ空間だ。

で、その空間で、この世界にはなかったティーバッグでお茶を淹れる。
染色前の状態の綿の薄い布をもらったから、それをチクチク小袋にして、その中に茶葉を入れた。
ティーストレーナーだと茶葉捨てて、洗わないといけないじゃん。
地味に開いた茶っぱって洗うのめんどくさいし、ゴミの処理もめんどくさいし。
ティーバッグなら二、三回淹れたらポイ捨て出来るじゃん。
これも茶葉買ってるお店に言って、販売してる。
もちろん、マージンもらって、小銭稼ぎの一端を担っている。

閑話休題。

そんな感じで簡単にお茶を淹れて、熱々のカップをノーバートに渡す。

「はい、お茶。普段僕が飲んでるやつだから、君の口には合わないかもだけど。
君は魘されたり落ち込んだりしてるときに、お茶飲むと落ち着くから」

渡されたカップを持って、ノーバートは茶の匂いを吸い込む。

「……懐かしい香りがする。おまえが好きな茶葉だな」
「そんなことも覚えてるの?」
「ああ、同じ茶葉を、今も飲んでいるからな。
でも全く同じ香りにならなくてな。また飲めるとは嬉しいよ」

うわあああぁぁ……そっかあ……重いやつぅ。

満更でもなく、むしろ嬉しいと思う僕も大概かもだけど。
でもこれは好きって感情がなくても、嬉しいやつだよ。
幼馴染みの同室の男が、いまだに僕を思い出してくれてるんだもん。

やべえな。こいつ濃密な気持ちを小分けにしてぶつけてきやがる。
僕がちゃんとした受けなら、今すぐ抱いて!!ってなっちゃうところだよ。
あぶねえ。

ニマニマしちゃってる僕の顔を、ノーバートが笑顔で見つめてくる。

「両想い、なんだな」

噛みしめるように言わないでよ、ノーバート。

「君の想いよりは、まだ薄いからね。……勘違いしないでね」

僕のツンデレ発言に、ノーバートは茶を一口すすって破顔した。

少しの時間、無言でお茶を飲んで、気持ちを落ち着ける。
穏やかな顔のノーバート。
護衛騎士してるなら、普段こんなに表情豊かじゃないんだろうとは思う。
まあ王子もあんなだし。
子供の頃からのプレッシャーは、大人になって形を変えて更にのし掛かってるだろう。

本当は何も言わずに、付き合えたね、恋人だね、やったねってなりたいけどさ。
誤解だけは解いておきたいし、言い訳もしておきたい。

うん、この部屋に積み上がった僕の創作物について。
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