異世界転生してBL漫画描いてたら幼馴染に迫られた

はちも

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15話

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うちのジルバー伯爵領は、王都からほどほど近い。
大体馬車で三、四日といったところだ。
領の中を主要街道が通っていて、物流の要所にもなっている。
お隣はノーバートの実家、アイゼナー公爵領。
もう一方のお隣は穀倉地帯として栄えている、王家の直轄地。
穀倉地帯はうちの領にもはみ出ているから、作物もよく穫れる。
あまり大きくはないが鉱山もあって、とても恵まれた土地だ。

だから実家は財布が太い。
めちゃくちゃ太い。

経済と地域振興のために人も呼び込んだ。
鉱山で採れた鉱物の加工も必要だったしね。
そのおかげで、職人の種類も人数も結構多い。

そんな職人さんに、僕は太いお財布から出してもらったお金を元手に、色々無茶振りをお願いしていた。

つけペンのペン先だの、乾きが早くて褪色しなくて色も濃いインクだの、ペン先が引っかからない紙だの。
僕の創作活動に必要なものを、とにかく質が良くなるようにお願いした。

その中でも鉛筆と消しゴムは、貴族の子供達を中心によく売れている商品となっている。

元々金属を使った鉄筆とか、木炭そのまま使った筆記具はあったし、粘土を混ぜ込んだのもあったんだけど、硬いんだよね。
混ぜ込む粘土や含有量なんかを色々試してみながら、前世にあった鉛筆に近いものを作ってもらった。

同時に、元々存在していた天然ゴムの消しゴムも、少しでも消えるよう改良してもらった。
相当試行錯誤してくれたおかげで、合成ゴムのには劣るけど、十分に使える出来にはなった。

大体は前世で文具メーカーの勉強会やカタログから得た知識と、暇つぶしに集めてた雑学だったけど、知っておいてよかったなあ。

せっかくの技術は僕が専有するだけじゃ勿体無いし、お金は出しても人を出してくれたのは職人さんたちだから、出来たものは販路に乗せた。
世間を騒がす大発明的なものはないはずだ。

……多分ね。

販売価格と僕が知識提供者として受け取るマージンは相談して決めた。
工場を増設したり人を増やすくらいには繁盛していて、結構懐は暖まったね。

今はそれを資本金に回して、なおかつ自分の小遣いにも出来る程度には。

ついでにズボラムーブ対策のグッズもね。
掃除とか洗濯とか食事の準備は他人がやってくれるから、最低限だけだけどね。

大きいのは、紅茶のティーバッグ、コーヒーのペーパーフィルターと、コーヒーシロップ。

カフェインは大事。
健康を損ねない程度には、だけど。

ティーバッグは言わずもがな。
ノーバートにも飲ませたやつ。
薄手のモスリンの端切れで作った小さな袋に茶葉を詰めた。
二、三回は抽出できるけど、最後は流石にうっすい。

コーヒーフィルターも、布フィルター洗うのめんどくさくて。
和紙みたいな水に強くて、目の荒い紙を漉いてもらって試していったら、結構正解なんじゃないかなってのが出来上がった。
難点は値段が使い捨て価格じゃないところかな。

インスタントコーヒーが欲しいんだけど、まだフリーズドライ技術がなかったね。
だからコーヒーシロップ。
前世で売ってた水とか牛乳で割るだけってのを目指した。
濃い目に抽出したのを砂糖と煮詰めるだけだから、割と簡単に出来たよ。

改良を重ねる中で、珍しいけれど流通していなかった素材の取引にも手を出し、販路を整えた結果、それなりの利益も出た。

だからね、僕は引きこもって漫画を描くだけの日々を過ごせるし、過ごす権利もあるはずなんだ。

そのためにこんだけ色々やったんだから。

なのに。

なのになんで……。

僕は王都に向かう馬車の中に居るんだろう……。
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