死神と僕と

笹井ひなか

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第一章

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屋敷を離れ街へ向かう。あの男は何だったんだろう?僕は変装を解いた。影はずっと隣りにいる。

「よ、アルソア!!」

街中の噴水公園にあるベンチで考えていると僕と同世代の青年が声をかけてきた。彼はジョシュア・クライド。あの日僕を馬鹿にした死神に取り憑かれていた子だった。いつもの作業着ではなくキチンとした外出着を着ていたから営業していたのだろう。

「やぁ、ジョシュア。お洒落して仕事は取れたのかい?」

「まぁな、おかげさまで。2件置かせてもらえることになったよ。アルソアはどうしたんだ?」

「僕はちょっと気になることがあって考えてたんだ…そうだ、ジョシュアはユーリエフって貴族かな?その人知ってる?」

ジョシュアは眉をしかめると言いづらそうに答える。

「あぁ、知ってるけどいい話は聞かないな……」

「例えば?」

「隣国が7年前に戦争に敗れて帝国になっただろ?俺達の国は関わらなかったけど国民の一部は支援していたな。で、戦争孤児を集めてるって話だよ。男女問わず顔が良ければそういう趣味のやつに孤児を売ってるとかな。あくまでも噂の域をでないが火のないところになんとやらだ」

「…胸糞悪い話だね……」

「でもユーリエフの話を聞くってことは何か見えたのか?」

「影が訴えて来た。助けを求められたんだよ」

「そっか、必要なら情報集めるぜ」

「ありがとう。お願いするよ」

ジョシュアはニカッと笑うと手を振って去っていく。ジョシュアの才能はアイテム製造。色々なアイデアを駆使して作り上げた作品は多くの人に行き渡っている。そしてそれらを売るために営業をするのもジョシュアだ。だがジョシュアにはアイテム製造は出来てもアイデアを出す事はできない。だから街の人達からアイデアを貰っている。そのために情報収集も出来るようになったらしい。

実際、僕もジョシュアのアイテムを仕事に使わせてもらっている。

「大丈夫だよ」


キュッと影の指を掴むと影も掴み返してきた。










まずはあの商人を調べるとこからだ。

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