因習村の生贄の双子を拾って10年、何故か双子に執着されています

ユッキー

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定められた崩壊

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「おーい二人とも朝飯だぞ~」
「いつもありがとうございます御影さん」
「おう、サンキューな透」

 リビングに現れたのは端正に整った顔立ちの男子高校生二人だった。銀髪碧眼でよく外国の人間と誤解されているが二人とも純日本人だ。あと芸能人でもない。学園ではアイドル扱いのようだが。俺も黙って居れば顔は悪くないとは思うのだが、流石に2人みたいに黄色い声はあげられないな。同業者曰く、桜に攫われてしまいそうな儚さがあるのに喋るとがさつで台無しだそうだ。俺も28といい歳だしそろそろ相手を見つけた方が良いだろうが、そういうのは双子が巣立ってからだな。

「…………嵐」
「はいはい、すみません。ありがとうございます透さん。これで良いだろ?」
「御影さん、だ」
「自分が名前を呼べないからって俺にまで押し付けるの違うくね?」
「…………は?」
「あ?」
「こらこら朝っぱらから喧嘩してんじゃねぇ。さっさと食って学校いきやがれ」

 いがみ合ってる二人は10年前ひょんなことから、俺御影透が引き取る事になった双子だ。一卵性双生児だから外見はそっくりだ。だから黙って居れば今でもどっちがどっちか分からなくなる。だが性格は兄である凪は礼儀正しく俺の事を立ててくれるが、弟の嵐は我が強く俺に対して雑なので分かりやすい。あと何故か事あるごとに対立しており、俺が間に挟まれることが多い。頼むから喧嘩するなら二人でやってくれ。

「御影さん今日の卵焼きも美味しいです」
「透さん料理だけは得意だもんな。料理だけは」
「うるへ~。どうせ他の家事は凪任せだよ。いつも悪いな凪」
「気にしないでください。これくらい手間でもありませんし。それに何もしてない愚弟の発言なんて無視して良いんですよ?」
「誰が愚弟だ、誰が! 俺はサッカー部で忙しいんだよ」
「生徒会が暇だとでも?」
「しらね~興味ねぇ~」
「奇遇だな。僕もサッカー部の活動には微塵も興味ないよ」

 凪は生徒会長として、嵐はサッカー部のエースストライカーとして活躍している。一見文武で分かれてるように見えるが、こいつらどっちも文武両道を地でいく天才だ。なのに二人はまるで分かりやすく区別がつくようにしているのかように、片方の分野でしか活躍しない。まぁ俺は分かりやすくていいんだが。ただでさえ人の顔を覚えるのが苦手だからなぁ……。名前すら怪しい。こいつら以外は仕事で関わってる数名くらいしか認知してないかもしれない。我ながら人としてどうなんだろう? あ、因みに仕事はルポライターをしている。この双子に出会ったのも仕事がきっかけだ。

「ん? この村って……」

 食事中に流れてたニュースによると、とある村が山の土砂崩れで住民がほとんど亡くなり、廃村になったらしい。月影村、それは俺というより双子に縁がある場所だ。何せ彼らが元々暮らしていた場所なのだから。だというのに彼らの表情は陰らない。凪は端を止めないし、嵐も一瞬だけ目を細めるだけだった。

「ま、そうなるだろうな」
「これもまた定めだろうね」
「何言ってんだ二人とも……? 遅れてきた中二病か?」
「言われてるぞ兄貴」
「何自分は関係無いみたいな顔してるんだ、お前もだぞ愚弟」
「俺はまだセーフの範囲内だっつーの」
「つまり僕の発言がアウトだと?」
「ははっ、『これもまた定め」は完全アウトだろ。っ!? おい言い返せないからって足踏むんじゃねぇ!」

 故郷の人間が大勢亡くなったというのに、中には彼らの実の両親すら居ただろうに。なんでこいつらはいつも通りなんだろうか。他人の俺の方が悼んでいるぞ。いやでも、二人からしたら滅びた方が嬉しいのか? そう思われても仕方ない村ではあった。この現代に因習にとらわれたあの場所は。

「村に弔いにでも行くか?」

 一応尋ねたが二人とも無言で拒絶した。そりゃそうか。

「僕には御影さんが居ればそれで良いんです」
「俺に必要なのはアンタだけだ」
「……そうか」

 2人の言葉に嬉しさと悲しさ両方が胸を襲う。育て親として二人から慕われているのは嬉しい反面、悼まれることすらない実の両親と、そうなってしまった二人の環境。自分でも珍しく苛立つのが分かった。けれどその怒りのやり場はもう無い。
 これ以上見ても仕方ないとテレビを消そうとして気づく。そういえばさっきからやけに静かだと。何も聞こえない。朝の喧騒も、テレビの音も、何も、何もかも。

「凪? 嵐? なんか変じゃないか?」
「どうかしました?」
「……どうした」

 思わず双子に声をかけると、双子の声はしっかりと聞こえた。すっかり安堵した俺の耳に再び音が戻ってくる。なんだったのだろう? まるで世界から音が消えたみたいだったが、双子の声だけははっきりと聞こえた。変な現象だ。 

「よく分かんねぇけど、あんま深く考えなくて良いんじゃねぇか? 透さんあんた疲れてるんだよ」
「今日は一日ゆっくりしたらどうですか? 夕食も僕が作りますよ」
「いやいいよ、そこまですることじゃないさ。今日は嵐の好物のハンバーグ作るからな、早く帰って来いよ」
「やり~! 全速力で帰ってくる!」
「まったく現金な奴だ」
「はっ、自分だって逆の立場なら同じようなこと言う癖になんか言ってら」
「お前と一緒にするな」
「あ?」
「は?」
「だからお前らそうやってすぐ喧嘩するのやめろ!」

 俺はいつものように二人の仲裁に駆り出されるのだった。これが10年で作り上げた俺達の日常だった。

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