長い長い衛星 構想:空をぶち抜くエレベータを作ってみる

東洋クイーン

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四 デブリ

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○協会本社の会長室
   会長と真世がソファーに座っている。
 会長「真世さんは国際機関のアンヌ代表と仲が悪いようですが、国際機関とは協力し合う関係を目指したい。真世さんが提案した『デブリ除去で宇宙開発に貢献』を機会に、仲良くしてください」
 真世「仲が悪くても大丈夫ですよ。要は『デブリ除去』が進めばいいんですから」
 会長「(大丈夫かなあ?)」
 会長「では、電話を……」
   真世は携帯電話を操作している。会長はヘッドホンをつける。
 真世「(携帯電話に)協会の真世です。今、電話大丈夫かしら?」
 アンヌ(携帯電話)「大丈夫よ。何?」
 真世「協会から国際機関に協力をお願いしたいことがあるの」
 アンヌ「(私の誘いを断った真世のお願いなんて……)」
 アンヌ「内容は?」
 真世「協会はデブリ除去技術を支援するため、技術者を探しているの。国際機関でも探してもらえないかしら?」
 アンヌ「国際機関にとってのメリットは?」
 真世「協会がデブリ除去を支援することで、宇宙開発の環境が良くなるでしょ」
 アンヌ「……そうね。デブリ除去は宇宙開発する者には、共通の課題だわ」
 真世「そう思うなら、協会と一緒に支援しましょうよ」
 アンヌ「いえ。『私のやり方』で動くわ」
 真世「『私のやり方』って何?」
 アンヌ「(挑発に乗るかしら)」
 アンヌ「私は、あなたと違って口が軽くないのよ」
 真世「何で私の口が軽いのよ!」
 アンヌ「挑発にすぐ乗るし」
 真世「……口が軽い根拠を聞かせてもらえる?」
 アンヌ「船から脱出する前に『空を飛ぶ』ってバラしたでしょ」
 真世「……ああ。あれね」
 アンヌ「納得できたなら、電話切るわよ」
   会長が真世の携帯電話を奪い、電話に出る。
 会長「待ってください。『一緒に支援』の件はいずれ別の形で明らかになるとして、『技術者探し』の件はお願いできますか?」
 アンヌ「会長ですか?」
 会長「はい」
 アンヌ「(会長のお願いなら、大人の対応で)」
 アンヌ「真世さんを挑発してすみませんでした。デブリ除去技術を支援するための技術者が見つかったら連絡します」
 会長「では、よろしくお願いします」
   会長は電話を切る。
 会長「(真世に)国際機関はライバルかもしれないが、ライバルであっても、お互いに協力し合える関係を作りましょう」
 真世「分かってます。でも、ライバルより先に静止軌道エレベータを作っちゃえば、きっと何とかなりますよ」
 会長「(ため息)……そうですね」

○アンヌの部屋
   アンヌと三十代日本人男性Aが座っている。男性Aはパソコンを操作している。
 男性A「こっちの準備はできています。向こうもあと少しで準備できるそうです」
 アンヌ「ありがとう」
 アンヌ「(協会は自力で『技術者探し』できるはずなのに私に依頼する理由があるとしたら……『協力し合える関係』かしら。協力し合える関係を作るにしても、こっちが主導権を握らなければ……)」
   壁に二十代日本人女性の映像が映る。
 美晴みはる(壁面映像)「はじめまして。スペースデブリ対策研究センターの美晴です」
 アンヌ「お忙しいところをすみません。国際宇宙エレベータのための協力に関する国際機関代表のアンヌです。早速用件ですが、デブリ除去技術を支援したい、という宇宙旅行協会の人に会って頂きたい。資料はお渡ししましたが質問があるのではないかと思い、連絡差し上げました」
 美晴「それでは質問ですが、宇宙旅行協会とはどのような集まりですか?」
 アンヌ「協会は国際機関と別の方法でエレ建設・運営を目指す人の集まりです。領有権を考えると国際機関以外はエレ建設・運営が難しいのですが……」
 美晴「宇宙開発の巨大計画は国際機関が主導すると思っていました」
 アンヌ「そういう常識を持たないのが宇宙旅行協会です」
 美晴「国際機関のライバルですか?」
 アンヌ「ライバルであっても『協力し合える関係』は宇宙開発ではよくありますよ」
 美晴「協会が支援する目的は何かしら」
 アンヌ「デブリ除去と、各国の宇宙機関から好印象を得ること……かしら」
 美晴「技術者との面会を望むのは?」
 アンヌ「技術を重視しているから……でしょうね。だから、あなたを選んだのです」
 美晴「ありがとうございます。でも、協会と協力関係になると、国際機関にとって不利では?」
 アンヌ「(美晴さんは信頼できそうね。秘密の存在だけなら教えても大丈夫)」
 アンヌ「秘密プロジェクトが進んでいるから大丈夫ですよ」
 美晴「(秘密の内容を質問したいけど……)」
 美晴「秘密が……いつか明らかになるのかしら?」
 アンヌ「(やはり信頼できる人ね)」
 アンヌ「ええ、タイミングを選ばないと……」

○協会本社の会長室
   会長が座っている。ビデオ通話の着信音が鳴る。会長がパソコンを操作した。壁にアンヌの映像が映る。
 アンヌ(壁面映像)「会長、『技術者探し』の件話していいかしら」
 会長「大丈夫です」
 アンヌ「日本のスペースデブリ対策研究センターに美晴という技術者を見つけたので連絡しました」
 会長「分かりました。ありがとうございます」
 アンヌ「どういたしまして」
   壁のアンヌの映像が消える。
○東京の郊外にある研究センターの中
   ロビーで真世、野島が待っている。
 野島「デブリ除去は宇宙開発の未来のために、とても大事だからね」
 真世「うん。分かってる」
 野島「ケーブル敷設の前に除去しておきたいところだが……」
 真世「できる範囲で除去するしかないよ」
   二人のところに美晴がやって来る。
 美晴「こんにちは。スペースデブリ対策研究センターの美晴です」
 野島「こんにちは。宇宙旅行協会の野島です」
 真世「同じく真世です。こんにちは」
 美晴「天気がいいので、外の公園で話を聞きましょう」
 野島、真世「はい」

○研究センターの外の公園
   美晴を中心にして三人が歩いている。公園内にベビーカーを押す女性が散歩している。
 美晴「ひなたは、あったかくて気持ちがいいわね」
 真世「ええ、気持ちがいいわ。……ところで、用件に入っていいかしら」
 美晴「どうぞ」
 真世「私たちは宇宙旅行を身近にするため、『静止軌道エレべータ』を作ることにしました。ところが、地球の周りにはデブリがいっぱい回っていて困っています。そこで、デブリ除去技術を支援したいのです」
 野島「デブリは宇宙開発を進める者の脅威です。われわれは脅威除去のために資金を用意しています」
 美晴「デブリ除去のため、資金援助してもらえる、ということですか?」
 野島「そうです」
 美晴「どんな軌道のデブリを除去しますか?」
 真世「静止衛星を上下に伸ばして地球まで届かせるので、赤道を通る軌道全部です」
 美晴「墓場軌道はかばきどうも?」
 野島「墓場軌道の衛星はエレべータが機能してから回収する予定です」
 美晴「回収? 古い衛星を持って帰るの?」
 野島「エレべータが機能すれば、持って帰るのも簡単ですよ」
 美晴「エレべータが機能する前は除去が必要かしら?」
 野島「いえ、墓場軌道は速度が遅く、密度も低いのでカタログ登録されていれば回避します」
 美晴「では、低軌道、中軌道を重点的に除去したいのですね」
 真世「そうです。資金援助、受けてもらえますか?」
 美晴「聞きたいことがあるんですが?」
 真世「なんでしょう」
 美晴「宇宙旅行協会と国際機関はライバルなのかしら?」
 真世「ケーブル技術を協会が持っていて、国際法の主導権を国際機関が持っているんです。お互いが譲らないと前に進めないんです」
 美晴「何とかなりそうですか?」
 真世「はい。何とかします」
 美晴「エレべータの領有権は大丈夫ですか?」
 真世「管轄権で十分です」
 美晴「(本当かしら?)」
 野島「エレべータ建設のため……いや、宇宙開発を進めるためにもデブリ除去は避けられないんです」
 美晴「! その気持ちは同じね。できる限り協力します」

○研究センターの中
   オフィスに美晴が戻る。同僚の二十代日本人男性Bが居る。
 男性B「お帰りなさい」
 美晴「宇宙旅行協会は資金援助してくれるって」
 男性B「その代わりに?」
 美晴「赤道を通るデブリを除去して欲しいそうよ。静止軌道エレべータを安心して使いたいらしいわ」
 男性B「静止軌道エレべータはいつできるんですか」
 美晴「いつか分からないけど、建設中にもデブリの脅威はあるわ」
 男性B「国際機関とどっちが先に出来るんでしょうね」
 美晴「お互いが譲らないと前に進めない、って言ってたわ」
 男性B「国際機関もデブリを除去したいはずですね」
 美晴「いずれ、国際機関からも要請が来るかも知れないわね」
 男性B「『いずれ』ですか……」
 美晴「(秘密プロジェクトの話はまだしない方が……)」

○記者会見場
   会長、美晴、司会(アメリカ人女性)、数名の記者が集まっている。
 司会「お待たせしました。記者会見を始めます」
   壁に箇条書きが映る。

・デブリ除去基金に資金援助
 ・宇宙旅行協会:宇宙旅行を実現するエレベータ建設を計画
 ・スペースデブリ対策研究センター:デブリ除去研究
 ・デブリ除去基金:デブリ除去研究支援
 ・七年計画を五年に:低軌道、二千グラム以上のデブリ除去

 司会「紹介します、スペースデブリ対策研究センターの美晴さんと宇宙旅行協会の会長です」
   美晴と会長がおじぎをする。
 司会「美晴さん。お願いします」
 美晴「今回は、(会長を指して)宇宙旅行協会の支援によりデブリ除去基金を設けることになりました。この基金によりデブリ除去七年計画を五年に短縮されたことを報告します」
 会長「デブリは宇宙開発を進める者の脅威です。宇宙旅行を実現するために、デブリ除去を支援します」
 司会「それでは質疑応答に入ります。はい、どうぞ」
 記者A「宇宙旅行の実現はいつですか? 具体的にお願いします」
 会長「残念ですが、実現時期を発表できる段階ではありません」
 司会「ほかには……はい、どうぞ」
 記者B「デブリ除去の新技術は無いのですか?」
 美晴「……今回、新技術の発表はありません」
 司会「ほかに質問は……無いようなので終わりにします。ありがとうございました」
   司会、美晴、会長がおじぎをする。
 美晴「(記者の関心を……引けたのかしら?)」

○協会本社の会議室
   会長、真世、野島、エレナが集まっている。
 会長「次に、記者会見の反省の件です」
 エレナ「もっと注目される要素が欲しかったですね」
 野島「『五年に短縮』では印象が弱いんでしょう」
 会長「記者会見の責任者としてペナルティーを受けるべきですか?」
 野島「デブリ除去の支援が主目的で、広報効果はオマケと考えています。責任追及は不要では?」
 エレナ「責任追及もいいですが、ほかに広報効果が得られる方法はないですか?」
 会長「真世さんは?」
 真世「私の提案が実現したのに責任追及はないですけど……アンヌが言った『私のやり方』が気になって……」
 会長「『私のやり方』というのは……」
   会長がエレナと野島に説明する。
 野島「二つのやり方でデブリ除去を支援するより、効果の高いやり方に統一した方が良いかも知れませんね」
 エレナ「アンヌさんに『私のやり方』を教えてもらうことはできませんか? 今わかる範囲で……ってことになりますが」
 会長「電話してみましょう」
   会長がアンヌに電話して、経緯を説明する。四人が聞こえる状態でアンヌが『私のやり方』を答える。
 アンヌ(電話)「今は言えないけど、期待していいわよ。じゃ、失礼」
   電話が切れる。
 エレナ「期待していいなら、時か来るまで待ちましょう」
 野島「協会としては、国際機関の動きを見守る……でOKです」
 真世「(『私のやり方』……待つしか……ないのかしら)」
 会長「真世さんは?」
 真世「……国際機関の動きを見守ります」
 会長「では、この件は終了します」

○真世の個室
   朝。BGMにピアノ音楽が流れている。真世は朝食を食べている。携帯電話の着信音楽が鳴る。真世はリモコンでBGMを止め、携帯電話に出る。
 真世「(携帯電話に)真世です。おはよう」
 野島(携帯電話)「急いで、テレビニュースを見るんだ」
 真世「テレビニュース?」
   真世はリモコンを操作する。テレビに映像が映る。
 野島「人工衛星衝突のニュースだよ。じゃ、電話切るね」
 真世「うん。ありがとう」
   テレビニュースが、今回のような人工衛星本体同士の衝突は2009年以来増えている、と報じている。

○協会本社の会議室
   会長、真世、野島、エレナが集まっている。
 真世「今朝のデブリ衝突事故がありました。デブリ除去が注目されるチャンスなので、協会として何かできないかと……」
 会長「真世さんはどんな考えをもってますか?」
 真世「何か……デブリ除去技術を発表できれば……」
 野島「技術発表にはそれなりの準備時間が……」
 会長「協会は影響力のあるデブリ除去技術を持っていませんからね」
 真世「(デブリ除去が注目されるチャンスなのに……何もできない……)」
 エレナ「国際機関は『期待していい』と、言っているので、国際機関を期待しているのですが……」
   会長が携帯電話を取り出して見る。携帯電話に出る。
 会長「(携帯電話に小声で)はい。会長です……手短に……分かりました」
   会長が携帯電話をしまう。
 会長「国際機関の代表が協会を訪問して、宇宙空間基盤整備案を説明するそうです」
 エレナ「『期待していい』の説明ですよ……きっと」
 真世「(だとすると……アンヌが宇宙空間基盤整備の主導権を握る……協会が主導するには……)」

○協会本社の会議室
   アンヌ、会長、真世、野島、エレナが集まっている。アンヌがあいさつをしてから、発言する。
 アンヌ「それでは、宇宙空間基盤整備のために設立する、宇宙空間中央銀行案を説明します」
   壁に箇条書きが映る。

・宇宙空間中央銀行案
 ・デブリ除去基金から発展
 ・宇宙空間利用者が対象
 ・利益を宇宙空間基盤整備に
 ・政策目標と公認:理事会が決定
 ・不正と腐敗→公認取消し

 アンヌ「目的は宇宙空間基盤整備の費用を負担していただく仕組みを作ることです。協会に支援を頂いたデブリ除去基金を担保に中央銀行を設立することで、衛星打ち上げ能力がある宇宙機関の大部分に賛成を頂きました。宇宙空間の利用者が支払うお金を独自に流通させ、利益を宇宙空間基盤整備に回します。もちろん監視機能も整備し、最悪の場合は中央銀行廃止となります。何か質問はありますか?」
 エレナ「このタイミングで協会に説明に来た理由はありますか?」
 アンヌ「デブリ衝突事故で世間から注目されるチャンスなので、一気に進める方針に変更したためです」
 野島「一部の宇宙機関は反対しているのですか?」
 アンヌ「はい。全員の賛成を待つより、実際に宇宙空間基盤整備が機能し始めれば、参加しない宇宙機関は宇宙空間基盤整備に無賃乗車することになり、国際的非難を受け、参加に転じることを期待しています」
 会長「理事会に参加する条件はありますか?」
 アンヌ「マクロ経済と宇宙開発の理解が必要です」
 会長「協会も理事会に参加したいのですが?」
 アンヌ「協会の意思として決定されれば持ち帰って検討します」
 真世「マクロ経済の最重要点は何ですか?」
 アンヌ「短期視点と長期視点、両方の理解です。初心者は長期視点で分析できません」
 真世「(……私では長期視点で分析できない、と言いたいのか?)」
 アンヌ「質問も尽きたところで、休憩後、協会の方針を伺います」
   壁に再開時刻が表示され、会議室から人々が去る。

○協会本社の休憩室
   会長、真世、野島、エレナが集まっている。全員がいすに座って飲み物を手にしている。
 真世「先輩、中央銀行って必要ですか?」
 野島「ん……マクロ経済は分からないから、会長に従うよ」
 会長「各国の中央銀行から宇宙空間中央銀行に変更すれば、各国民の利益志向から宇宙空間利用者の利益志向に変更されますよ。結果的に宇宙空間基盤整備が進みます」
 真世「アンヌの言いなりで、大丈夫かしら」
 会長「通貨発行特権の監視は食い物にされないために必要です。それは日本銀行やFRBに対しても言えることです」
 真世「宇宙空間基盤整備の主導権が、アンヌに取られるような気がして……」
 会長「アンヌさんは日本銀行やFRBの持つ特権を宇宙空間へ動かそうとしてるんですよ。協力することが宇宙開発の利益です」
 真世「アンヌと会長が協力すべきと?」
 会長「ライバルであっても、お互いに協力し合える……そう願ってます」
   会長の服の中からアラーム音が鳴り、携帯電話を取り出して操作し音が止まる。
 会長「みなさん、会議室に戻りましょう」
   全員が部屋から去る。

○協会本社の会議室
   真世が歩いて自分の席に座る。真世の後ろからアンヌが歩いてきて声をかける。
 アンヌ「(真世に)真世。(真世がふりむく)協会との実力の違い、分かったかしら?」
 真世「中央銀行なんて、大げさ過ぎない?」
 アンヌ「頭悪いのね。だから、協会側についてしまった……」
 アンヌ「(意地悪は楽しい)」
   アンヌは歩いて真世から去る。真世はアンヌの後姿を見る。
 真世「(殴りたい!)」
   真世が携帯電話を取り出す。
 真世「(電話に)真世です」
 美晴(電話)「美晴です。お願いがあります」
 真世「何ですか?」
 美晴「中央銀行案に賛成してもらえないかしら?」
 真世「なぜですか?」
 美晴「中央銀行の利益でデブリ除去か進むからよ。信じて!」
 真世「(デブリ除去には費用より仕組みが必要なのか……)」
   会議再開時刻の合図。
 真世「分かったわ。会議が始まるので」
   真世が携帯電話をしまう。
   アンヌ、会長、真世、野島、エレナが集まっている。アンヌが発言する。
 アンヌ「時間です。それでは、協会の方針を聞かせてください」
 会長「宇宙空間中央銀行設立に協力し、理事会への参加を希望します」
 アンヌ「真世さんも協力しますか?」
 真世「(美晴さんと……会長と……アンヌを信じるの?)」
 アンヌ「(ニヤリと笑い……)協力頂けないようなので、理事会は協会抜きで開催」
 真世「待って……会長の方針に従って、宇宙空間の基盤整備を希望します」
 アンヌ「(屈服ね……)」
 アンヌ「では、中央銀行設立に協力して頂きます。協会も理事会に参加できるように調整します」



○次話へ続く。作者コメント
 アンヌの「宇宙空間基盤整備の費用を負担していただく仕組み」を中央銀行と表現するのは……色々悩んだ末に今回はこのままで、次の作品で表現することにしました。
 次話の舞台は南の島です。
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