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ep57 真相
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「フミヒロ様?どうかされましたか?」
ネーコはにゅっと俺の顔をのぞきこむように尋ねてきた。
「い、いや!なんでも...」
俺はいきなり接近してきたネーコの小さい顔にドキッとしてたじろいだ。
「フミヒロ様?今日は遅くなってしまい申し訳ございません。今から急いで夕飯の支度をいたしますね」
ネーコはやさしく微笑んで中に入ろうとした。
「あ、あのさ!」
俺はネーコを呼びとめた。
「はい?」
「ネーコは、その......最近、やっぱり、元気なかったりする?」
「私が?」
「う、うん」
「元気がない...ということはありません」
「そ、そっか!ごめん!また変なこときいて...」
「フミヒロ様は......なぜ、そう思われるのですか?」
「それは......」
俺はこの時、なんとなく気づいてしまった。
そうだよ。
さっき伊野上さんに言われたとおりだ。
俺はさびしくなっていたんだ。
ネーコの〔セクシープログラム〕がなくなってしまって。
俺はいつの間にかネーコとの〔セクシープログラム〕に、なにか特別な繋がりのようなものを見出していたのかもしれない。
(でも、言えない。こんなこと......恥ずかしすぎて言えない!)
結局、俺はなにも口にできずに黙ってしまう。
「フミヒロ様?」
「.....」
「フミヒロ様は、なにかお悩みですか?ネーコでよければ聞きますよ?」
ネーコはあたたかい目で再び俺の顔をのぞきこんできた。
「いや、悩みというか......」
「フミヒロ様。それはトラエには話されたのですか?」
「え?なんでトラエ?」
「先ほどフミヒロ様は、私に元気がないか尋ねられましたよね?それとは別の話ですが、最近ネーコにはひとつだけ不満があります」
「ネーコに不満?」
「それは、最近フミヒロ様がトラエにばかり頼っていることです」
「へ??」
「ネーコは少しだけスネています」
「えええ??」
「フフフ。ネーコはこう見えてもひとりの女の子なんですよ?」
ネーコは悪戯っぽい顔でニイッと笑った。
「う、うん」
俺は照れくさくなって目を逸らした。
ネーコはニッコリと微笑んでから、あっと思い出したように指を立てて話を続ける。
「フミヒロ様がトラエと打ち解けるのと〔セクシープログラム〕の実行ができないタイミングがちょうど重なってしまったので、フミヒロ様がトラエを頼るのは仕方がなかったことですけどね」
「え??」
セクシープログラムの実行ができないタイミング?
一体なんの話だ?
「実は私、数日前から大きなアップデートがかかっておりまして。ひょっとしたらそれがフミヒロ様の目に私が元気なく映ってしまったのかもしれませんね。というか十中八九それですね」
「......そ、そ、そ......そういうことだったのかぁー!!」
「フミヒロ様?」
「俺の...中学二年生男子の繊細な心のざわめきを返してくれー!!」
俺は顔を赤くして泣きそうに叫んだ。
その声は夕方の街路にむなしく響きわたった...。
ネーコはにゅっと俺の顔をのぞきこむように尋ねてきた。
「い、いや!なんでも...」
俺はいきなり接近してきたネーコの小さい顔にドキッとしてたじろいだ。
「フミヒロ様?今日は遅くなってしまい申し訳ございません。今から急いで夕飯の支度をいたしますね」
ネーコはやさしく微笑んで中に入ろうとした。
「あ、あのさ!」
俺はネーコを呼びとめた。
「はい?」
「ネーコは、その......最近、やっぱり、元気なかったりする?」
「私が?」
「う、うん」
「元気がない...ということはありません」
「そ、そっか!ごめん!また変なこときいて...」
「フミヒロ様は......なぜ、そう思われるのですか?」
「それは......」
俺はこの時、なんとなく気づいてしまった。
そうだよ。
さっき伊野上さんに言われたとおりだ。
俺はさびしくなっていたんだ。
ネーコの〔セクシープログラム〕がなくなってしまって。
俺はいつの間にかネーコとの〔セクシープログラム〕に、なにか特別な繋がりのようなものを見出していたのかもしれない。
(でも、言えない。こんなこと......恥ずかしすぎて言えない!)
結局、俺はなにも口にできずに黙ってしまう。
「フミヒロ様?」
「.....」
「フミヒロ様は、なにかお悩みですか?ネーコでよければ聞きますよ?」
ネーコはあたたかい目で再び俺の顔をのぞきこんできた。
「いや、悩みというか......」
「フミヒロ様。それはトラエには話されたのですか?」
「え?なんでトラエ?」
「先ほどフミヒロ様は、私に元気がないか尋ねられましたよね?それとは別の話ですが、最近ネーコにはひとつだけ不満があります」
「ネーコに不満?」
「それは、最近フミヒロ様がトラエにばかり頼っていることです」
「へ??」
「ネーコは少しだけスネています」
「えええ??」
「フフフ。ネーコはこう見えてもひとりの女の子なんですよ?」
ネーコは悪戯っぽい顔でニイッと笑った。
「う、うん」
俺は照れくさくなって目を逸らした。
ネーコはニッコリと微笑んでから、あっと思い出したように指を立てて話を続ける。
「フミヒロ様がトラエと打ち解けるのと〔セクシープログラム〕の実行ができないタイミングがちょうど重なってしまったので、フミヒロ様がトラエを頼るのは仕方がなかったことですけどね」
「え??」
セクシープログラムの実行ができないタイミング?
一体なんの話だ?
「実は私、数日前から大きなアップデートがかかっておりまして。ひょっとしたらそれがフミヒロ様の目に私が元気なく映ってしまったのかもしれませんね。というか十中八九それですね」
「......そ、そ、そ......そういうことだったのかぁー!!」
「フミヒロ様?」
「俺の...中学二年生男子の繊細な心のざわめきを返してくれー!!」
俺は顔を赤くして泣きそうに叫んだ。
その声は夕方の街路にむなしく響きわたった...。
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